【実施前必見】さつまいもダイエットのデメリット・リスク・注意点

さつまいもはダイエットの敵だと思っていた人が多いかもしれませんが、実はさつまいもに含まれる栄養は、美容と健康を手に入れたい女性には必要であることが知られるようになりました。さらに韓国でコグマ=さつまいもを使った「コグマダイエット」が流行。美容の最先端をいく韓国での流行ということもあり、さつまいもダイエットは日本でも一気に広がりました。
さつまいもは安価で手に入りやすく、おいしい上に、サプリメントなどと違い加工されていない食材のため、自然志向の人にも受け入れやすく、幅広い支持層が存在するダイエット法です。そのため「さつまいもを使うダイエットだったらできそう」と思う人が多いのは、自然なことですね。

「さつまいも=おいしい」はダイエットの敵ではないのか?

ところがいざ始めようと思って「さつまいもダイエット」をキーワードに検索すると、おいしそうなレシピがたくさん出てきて「こんなにおいしそうな料理を食べて、本当にダイエットできるの?」と感じて不安になるかもしれません。
体験談を読めば成功した話がたくさんあって、それを全て信じてもよいのかなとも思うでしょう。

その感覚は正しいと思います。どんなダイエットも誰でも絶対に痩せられるという方法はないと思った方がよいでしょう。どのダイエット法にもメリットとデメリットがあり、ダイエットをする人の生活スタイルや考え方などで、合う方法・合わない方法が存在します。

さつまいもはおいしいという認識が一般的かもしれませんが、さつまいもの味が嫌いな人にはさつまいもダイエットは向きません。味の好みだけではなく、この他にもさまざまな理由でデメリットが大きいと感じる人、メリットが大きいと感じる人がいます。
さつまいもはおいしいと感じる人には、さつまいもは時にダイエットの敵にもなり得ます。また、さつまいものレシピの中でも砂糖などを使い、高カロリーになったものを好んで食べてしまったり、単純に食べすぎたりした場合にも、さつまいもがダイエットの敵になってしまいます。

このようにさつまいもはダイエットの味方になったり敵になったり、そもそもさつまいもが好きではない人には向かなかったりするのです。そういうことを前提に、この記事を進めていきましょう。

さつまいもダイエットが有効な科学的根拠

さつまいもダイエットは韓国で流行っているから、手に入りやすいから、安価だからという理由以外に、なぜさつまいもダイエットがよいと考えられているかについて、科学的根拠から示します。

白米やパンよりも低カロリー

さつまいもは下表にあるとおり、主食である白米やパンと比べると低カロリーです。

食品名100gあたりのカロリー
白米168kcal
パン260kcal
さつまいも生蒸し焼き
134kcal134kcal163kcal

【参照】食品データベース(文部科学省)

そのため白米やパンをさつまいもに置き換えて、摂取カロリーを抑えることができます。さつまいもは蒸した場合と焼いた場合とでは含まれる水分量が異なり、焼いたさつまいもの方が水分が蒸発して軽くなるため、調理後に100gをはかるときは注意が必要です。摂取カロリーを考えて、置き換えするときは、さつまいもを焼くいて調理する場合は特に、生の状態で測った重さでカロリー計算をするようにしましょう。

韓国では芸能人などの有名人が、主食をさつまいもに置き換えて「コグマダイエット」を実践している様子がメディアで発信され、注目されました。

腹持ちがよい

さつまいもは腹持ちがよい食品として知られています。ところで「腹持ちがよい」とはどういうことでしょうか。「お腹がすきにくい」という感覚で捉えている人は多いと思います。そして確かにその捉え方であっているのですが、お腹がすきにくい食品というのは、どういう意味だと思いますか?
消化しにくいという意味なのでしょうか。消化しにくい食品なのだとしたら、体に負担のかかる食品なのでしょうか。疑問に感じる方は、この先を読むとスッキリすると思います。

腹持ちがよいとは、お腹がすきにくいことをいいますが、それは血糖値が緩やかに上昇するためです。私たちが空腹を感じるメカニズムは複雑で、さまざまな体内物質が関与しているようですが、その中の一つに血中のブドウ糖濃度(血糖値)があります。低血糖になると、グレリンというペプチドホルモンが、胃の内分泌細胞から放出され、迷走神経を介して食欲中枢のある視床下部へ伝えられ、空腹感を生じます。*1

血糖値は急激に上昇すると、インスリンが分泌されて速やかに血糖値を下げる働きをしますが、血糖値が緩やかに上昇する食品を摂ると、血糖値が下がるまでに時間を要します。つまり空腹を感じないということです。腹持ちがよいとは、緩やかに上昇するために低血糖になりにくい(お腹がすかない)食品ということになります。これは後で説明するGI(グライセミック・インデックス)という、食後血糖値の上昇を表す指標とも深く関わっています。

食物繊維が豊富で腸内環境によい

さつまいもは食物繊維を豊富に含んでいます。生のさつまいも100gに2.3gの食物繊維が含まれています。白米100gに含まれる食物繊維が1.5gなので、さつまいもに置き換えることで摂取カロリーを減らせるだけではなく、食物繊維の摂取量を増やすこともできます。*2

食物繊維を摂ることのメリットは、不溶性食物繊維が腸の動きを活発にするためお通じの改善につながることと、水溶性食物繊維が腸内の善玉菌の栄養になるため、腸内環境を整えるのに役立つことです。
成人の食物繊維摂取量は13.7g/日で、目標値である18.9g/日を下回っています。*3 さつまいもへの置き換えダイエットにより、食物繊維の摂取量が増やすことができるので、間食にも取り入れると目標値を達成しやすくなります。

脂肪がつきにくい

「腹持ちが良い」ことについて解説した箇所で、GI(グライセミック・インデックス)に触れました。ここでは血糖値を下げる働きを持つインスリンと肥満の関係を解説する過程で、GI値についても詳しく紹介します。

食事により血糖値が急激に上昇すると、膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンの指令により、血中のブドウ糖が筋肉でエネルギーとして使われます。筋肉で使われなかったブドウ糖は、脂肪に変えられて脂肪細胞に蓄積されます。*4 これを避けるためには、血糖値の急激な上昇を抑えなくてはなりません。つまり緩やかに腸からブドウ糖が吸収される食品を選ぶことで、ブドウ糖から脂肪への変換を少なくすることが可能になります。

先ほど腹持ちについて書いたときに、GIという食後血糖値の上昇を表す指標があることを述べましたが、GIの数値が70以上のものを高GI食品、56〜69のものが中GI食品、55以下のものを低GI食品と定義されています。*5

さつまいもは中GI食品に分類され、脂肪がつきにくい食品ということができます。次にいくつかの食品についてGI値を紹介します。高GI食品は、血糖値を急激に上昇させるので、エネルギーが必要なマラソンなど運動中に摂取するのはよいのですが、ダイエット中は極力控えた食生活を心がけるようにしましょう。

<上図>元気通信 特集記事 【2012年1月号】 “食べても太らない”法則 ~GI値ってナンだ?~ | 養命酒から引用

むくみを取るカリウムが豊富

カリウムには、ナトリウムを体外に排出しやすくする働きのあることが知られています。さつまいもにはカリウムが豊富に(100g中480mg *5)含まれています。カリウムはナトリウムと共に、浸透圧を調整する働きがありますが、ナトリウムには体液(細胞の外にある水分)を保つ働きもあります。
ナトリウムを過剰に摂取すると、体液も過剰になってむくみが生じます。*7
カリウムを豊富に含む食品は、体内の過剰なナトリウムを排泄するため、むくみを取ってくれます。*8

デメリットを引き出してしまうNG行為

さつまいものレシピは蒸すだけではなく焼いたり油であげたり、砂糖やバターなどを使うお菓子など、非常に豊富です。また、主食にをさつまいもに置き換えると安心してしまうことなどにより、次のようなNG行為につながる危険性があります。

  1. 食べすぎない
  2. 油、砂糖、バターなどを使う調理はしない
  3. さつまいも以外のメニューが高カロリー

これらはさつまいもがおいしいがゆえ、または安心感からの油断へと繋がりやすいので、注意したいところです。

他のダイエット法ではなくさつまいもダイエットを選ぶメリットはあるのか?

さまざまなダイエット法があるなかで、さつまいもダイエットを選ぶメリットについて、考えてみたいと思います。

腸活ダイエットvs. さつまいもダイエット

腸活ダイエットとは腸内細菌叢(腸内フローラ)を整えることで、ダイエットをする方法です。腸活ダイエットは乳酸菌を含む食品、食物繊維、十分な水分を摂取して、腸内の善玉菌にとって住み心地のよい環境を作ります。

これに対してさつまいもダイエットは、摂取カロリーを抑え、食物繊維を摂取します。
両者は食物繊維を摂取することで、腸内に及ぼす効果など、重なる部分があり、全く別物とはいえません。腸活ダイエットの中にさつまいもダイエットが含まれるといってもよいかもしれません。

そういう意味で、腸活ダイエットは少し難しいなと感じる場合、もっと単純なダイエット法であるさつまいもダイエットを始めるメリットはあると思います。

短期間の断食ダイエットvs. さつまいもダイエット

食べない期間を設ける断食ダイエットは、長期間行うことは体への負担が大きいため、おすすめできません。半日から長くても2−3日の断食で、その期間は水分やジュースなどは飲んでもよいという「クレンズダイエット」が主流です。

短期間の断食ダイエットは、摂取カロリーを大幅に抑えるダイエット法で、さつまいもダイエットに比べるとハードなダイエットになります。厳しい食事制限はしたくないという人には、さつまいもダイエットを選ぶメリットはあるでしょう。

青汁ダイエットvs. さつまいもダイエット

青汁ダイエットは、市販の青汁や市販または手作りのグリーンスムージーを1日に1回〜数回飲むダイエットです。1食置き換えをする方法もあります。断食に比べると、栄養バランスが考えられています。青汁やスムージーは味や舌触りに好き嫌いが出てくるので、好きな人は続けられますが、どうしても苦手という人には厳しいダイエット法です。

これに対してさつまいもダイエットは、食材として慣れ親しんだものなので、青汁ほど抵抗を感じる人は少ないでしょう。青汁やグリーンスムージーが苦手な人には、さつまいもダイエットを選ぶメリットはあるといえます。

カロリーと栄養面の管理が大事

さつまいもダイエットだけではなく、どんなダイエット法にもメリット・デメリットがあります。ダイエット法はどれか一つに決めて実践すべきというものでもないので、複数のダイエット法を取り入れ、それぞれのメリットを取り入れることも可能です。

まだダイエットで気をつけなくてはならないのは、栄養不足にならないようにすることです。さつまいもダイエットは主食をさつまいもに置き換えるだけのわかりやすい方法なので、ダイエット初心者でも初めやすいといえます。

しかし普段の食生活が充実しているとはいえない人にとっては、不足している栄養素を補えるような青汁ダイエットが向いているかもしれません。栄養面を考えてメニューを考える時間がない人や苦手な人は、栄養価の高いチアシードやグルコマンナンなどが入ったスムージーが飲みやすくおすすめです。乳製品に混ぜると、さらにおいしく飲むことができます。

青汁やグリーンスムージーについてもっと知りたい方におすすめの記事はこちらです。

ダイエットを成功させるためには、栄養面に加えて摂取カロリーも考えなくてはなりません。消費カロリーよりも摂取カロリーが多ければ、体重は増えていくことになります。常に摂取カロリーを把握して、食べすぎたと思った時は食事の量を調整したり運動をしたりすることも大切です。

(参考文献)

*1: 空腹・満腹のメカニズム 中枢性摂食調節機構について(鎌倉女子大学学術研究所報 第 12号 1-12頁 2012年)

*2: 食品成分データベース(文部科学省)

*3: 日本人の食事摂取基準(2020年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書(4-1-1-2 目標量の策定方法 p156)厚生労働省

*4: 糖尿病教室 インスリンの発見と糖尿病(京都大学 糖尿病・内分泌・栄養内科|京都大学院 医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学)

*5: GIについて学ぼう(大塚製薬)

*6: 食品成分データベース(文部科学省)

*7: 3.水・電解質異常(体液過剰、高カリウム血症) ~むくみはないですか?~(腎臓内科 東京女子医科大学病院 腎臓病総合医療センター)

*8: カリウム(e-ヘルスネット)厚生労働省

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