【経済】青汁市場は上がり気味?下がり気味?

青汁といえば、年配の方が健康に気を使い青汁を飲むという習慣があったものの、最近では若者の間でも青汁を飲む習慣が増えているのが現状です。

メーカーも味の種類や素材にこだわり、飲みにくさをカバーしてお茶代わりに飲めるものを追及している商品が数多くあります。

その背景には何があるのか、今回は、詳しく調べてみました。

青汁市場は1050億円!手軽に飲める青汁が好調、伊藤園の青汁

青汁の市場は、2014年と比べて13%増の1050億円(2019年)まで伸びています。
青汁は粉末タイプで通販による定期購入が主流でしたが、現在は、ドリンクタイプが好調で、2014年と比べて73%増の142億円も拡大しました。

伊藤園で発売されているドリンクタイプは好調で、シェア約39%も占めています。
青汁は「まずい」というイメージがありましたが、粉末タイプが主流だったこともあり、手軽に美味しく飲みやすいドリンクタイプを開発しました。
その後は、手軽に飲めるペットボトルタイプの容器販売を開始。

ダイエットで糖質やカロリーを気にする人が増えたことから、無糖タイプの青汁を販売し、食事中でも飲める青汁ということで若者からも支持を得て2017年と比べて3.5倍の54億円まで伸びています。

なぜ、青汁事業が伸びてきているのか?

伊藤園マーケティング本部の志田光正本部長は、「コロナ禍でなるべく家にいることが多く、健康を意識しつつ緑黄色野菜を購入している人たちが青汁に注目し、青汁市場が今までよりもさらに大きな変化が生まれてきている。」とのことで、
健康意識が高い人たちから手軽に摂れる青汁が好まれる背景があることを語っています。

伊藤園と言えば、緑茶販売のイメージが大きいかと思いますが、茶畑の農閑期を利用して、青汁の原料の大麦若葉の栽培をしています。

大麦若葉の作付面積は、2019年と比べて24%増の128ヘクタールまで広げており、緑茶の飲料化比率29.1%と並ぶ20%代まで伸びるように試行錯誤を繰り返しながら成長し続けているのが伊藤園です。
以下は青汁市場のグラフです。

2017年より減衰していますが、2004年と比べると増加傾向にあります。
2020年はコロナが流行っているのもあり、2019年よりもさらに増加する可能性があります。

伊藤園「毎日一杯の青汁」の特徴

伊藤園毎日一杯の青汁には美味しく飲める秘訣があります。

1. 国産原料100%の大麦若葉を使用

大麦若葉とは、穂が出来る前の大麦のやわらかい若い葉っぱのことで、約30㎝くらいまで成長したものです。
大麦若葉は、食物繊維、亜鉛、カルシウム、ビタミンなど栄養成分が多く含まれています。
伊藤園の毎日一杯の青汁に含まれる大麦若葉は、国産の大麦若葉を使用して作られていて安心・安全です。

2.超微粉砕粉末で粉っぽい青汁から飲みやすい青汁へ

青汁を飲まれている方ならわかってもらえるかと思いますが、粉末青汁といえば、粉っぽさが不満の中で一番多くあげられます。
粉っぽさを解決するために、超微粉砕の大麦若葉粉末を使用しているのが特徴です。
なめらかに飲めることで、のどに引っかかったような不快感もなく、飲みやすく仕上がっています。

3.ナチュラルグリーン製法により、鮮やかな緑色(ドリンクタイプのみ)

伊藤園の青汁は、色素を全く使わず鮮やかな緑色をキープするナチュラルグリーン製法(独自の製法)を開発。
紙パックやペットボトルに入れても、きれいな緑色を保っています。
(ドリンクタイプのみ)

青汁市場が伸び続ける今、青汁を飲む理由とは?

健康ブームやコロナ禍であるために、青汁を飲む人が増えています。
青汁と言っても飲む理由はさまざま。
そこで、青汁を飲む理由を調べてみました。

青汁を飲み始めた理由は?

  • 健康のため(52.8%)
  • 野菜不足解消のため(16.4%)

青汁を飲む理由としては、健康や野菜不足解消のためが多く、青汁を飲むことで普段の食事では補いきれない野菜や栄養をプラスして日々の健康を意識しているということがわかりました。

厚生労働省では、さまざまな疾患予防のために、「野菜は1日350g以上食べること」としています。
実際は、男性は約290g、女性は約270gと目安量よりも下回っているのが現状です。

厚生労働省が推奨している野菜の摂取量を少しでも補うために青汁を飲む人が増えてきているというのも頷けます。

最近では、個人で飲むよりも家族、子供からお年寄りまでに広がっています。

また、ペットも家族の一員という観点から、ペットフードに青汁を混ぜたり、草食系の小動物には専用の大麦若葉を乾燥させたおやつや大麦若葉栽培セットも登場しています。

飲みやすいと感じている青汁の原料は?

1位 大麦若葉(40.2%)
2位 明日葉(28.5%)
3位 ケール(22.1%)

大麦若葉は苦みが強いケールと比べてクセがなく、緑茶のような風味がして、飲みやすいため各種メーカーは大麦若葉を使った原料をメインに青汁を作っています。

明日葉は、20代から30代の男性が飲みやすいとされています。
ちなみに、明日葉は、ポリフェノールがたくさん含まれていて、栄養価が高く人気の1つになっている原料です。

青汁を飲んでいる年齢層は?

最近では、青汁王子の登場で20代女性に火が付き、青汁ブームが若者にも広がりつつありますが、全体でどのくらいの年齢層が青汁を飲んでいるのでしょうか?

今までは、ご年配の方が飲むイメージでしたが、現在は20代の若者から特に30~40代女性に人気が出ています。

背景としては、

  • 飲みやすくなったこと
  • 粉末タイプだけでなく飲料タイプ・ペットボトルタイプが登場してきたこと
  • はちみつやフルーツなど甘味のついた青汁が登場し、さらに子供からの支持も得やすくなったこと

以上があげられます。

ダイエットを意識している若者には無糖タイプが人気です。

年齢別、人気の青汁タイプ

年齢に応じて、人気の青汁タイプが分かれます。

  • 無糖タイプの青汁:20~30代は20% 40~50代は30% 60~70代は45%
  • 甘味料タイプの青汁:20~30代は35% 40~50代は35% 60~70代は30%
  • 粉末タイプの青汁:20~30代は20% 40~50代は35% 60~70代は45%
  • ドリンクタイプの青汁:20~30代は40% 40~50代は30% 60~70代は30%

若者には、甘味のついた青汁でドリンクタイプが人気があります。
全体的に見ると、偏りはありつつも健康志向高めであれば青汁はどの年齢層でもおすすめです。

海外でも日本の青汁は大人気

海外では、日本の青汁の認知度は100%に近く、日本の青汁を輸入してまで飲む人も増えてきています。

海外の食文化事情

海外(特にアメリカ)の食文化は食物繊維が少なく、糖質・カロリーが多いものが多く、肥満大国です。
お肉や油分過多になる食事が多く、ファーストフードも野菜が少なく、野菜不足を気にする海外の人たちにも、健康を意識した人たちが増えてきています。

生活習慣病・高血圧・糖尿病などの疾患を抱えている人も多いはずです。

健康志向の人は、こまめな運動と食事に気を使いつつ、健康情報をアンテナのようにして張り巡らせていち早く仕入れて取り入れている背景がうかがえます。

海外で青汁が流行った理由

日本の青汁が海外で流行っているのは、スーパーモデルやハリウッド女優がSNSで発信してブームになりました。
海外でも健康や美容を意識している人たちが常に情報をSNSから取り入れて発信しているお陰でもあります。

海外には「グリーンスムージー」というものがあります。
グリーンスムージーは糖分やカロリーが高いので、ダイエットを考える人には不向きです。
ただし、青汁には糖分・カロリーが低いためダイエット志向の人にも受け入れられていることから日本の青汁は世界から高評価を得ています。

飲みやすさに関しては、海外の人には「草を飲んでいるようだ」という口コミが多く、オレンジジュースで割ったり、アーモンドミルクと合わせてみたり、工夫して飲んでいるようです。

海外の青汁文化は?

海外の青汁は大麦若葉を主流として作られています。
日本では、大麦若葉の他にケール、明日葉などの葉っぱを原料として作られていますが、海外ではケールや明日葉を原料にしている青汁は少ないです。

日本の青汁は緑茶を飲む感覚で人気があり、お水や牛乳・豆乳で割って飲むことが多いのですが、海外は、お茶というイメージでは飲みません。

海外は野菜ジュース、フルーツジュース、スムージーとして販売されていたり、家庭でもスムージーとして青汁を入れたり、ジュースに混ぜた飲み方をしています。
アメリカは、朝食代わりに飲んだり、空腹時に飲むことが多い傾向にあります。

海外の人にとっては、お水で割ってで飲むと草のような味がして、受け付けられにくいのかもしれません。

青汁のタイプは、日本は粉末タイプが主流で、最近になって若者向けにドリンクタイプが青汁のシェアとして伸びてきています。
海外の青汁タイプは、粉末タイプはほとんど売っておらず、ドリンクタイプや錠剤タイプがメインとなっています。

海外の青汁の特徴は?

海外製の青汁はオーガニックにこだわった製法で値段も日本と比べると安価です。
ただ、日本と同じレベルの青汁を購入するとなると、2倍以上の値段になる場合がほとんどで、それだけ品質にこだわった結果ということになります。

日本と違う海外の青汁は非加熱製法で作られた製品が多く、酵素が活きている状態で飲めるのが海外の青汁のメリットです。

添加物においては、日本と大差はないのですが、不必要な添加物を使用しないメーカーが多く存在します。

青汁の味は日本が優れています。飲みやすさにこだわって作っているため、若者からご年配の方まで気軽に飲めるように仕上がっています。
ところが、海外の青汁の味はとても不味くて飲みにくく、苦労します。
ただし、海外の人たちは、「健康のため」という認識があり、多少不味くても大歓迎のようです。

健康ブームとコロナで青汁市場はまだまだ伸びる傾向にあり

今回は青汁市場について取り上げてみました。
伊藤園はお茶ブランドというイメージがありますが、お茶以外にも青汁展開を今後も視野に入れて新CMなどで青汁認知に取り組んでいます。
青汁と言えば、ご年配の方が健康のために飲むというイメージから今では20代から全ての年代に広がっていて、野菜嫌いのお子様でも飲める青汁も販売されています。

現在、世界を震撼しているコロナウイルスの影響もあり、野菜不足や栄養を補うために気軽に飲むことができる青汁文化は日本だけでなく世界でもこれからも伸び続けることでしょう。

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