青汁にカフェインは含まれている方がいい?カフェインの作用と注意点
「青汁にカフェインが含まれているの?」と疑問を抱く方もいると思いますが、青汁にはカフェインが含まれている商品があります。コーヒーや紅茶などでカフェインという言葉を聞くことが多いですが、カフェインの作用や気を付けるべき点などをご存知でしょうか。今回はなぜ青汁にカフェインが含まれている商品があるのかに加えてカフェインの詳しい作用や注意点について紹介していきます。
青汁にはなぜカフェインが含まれているのか?
青汁にはなぜカフェインが含まれているのでしょうか。パッケージの成分表を見ても記載されていないため、青汁にカフェインが含まれていることを知らない方もおられるかもしれません。
青汁の原料としてケールや大麦若葉、明日葉などが代表的です。しかし、これらにはカフェインはほとんど含まれていません。ケールなどの原料は植物性の栄養素をバランスよく吸収できるため青汁の主成分となっていますが、苦味が強いという特徴もあり青汁独特のニオイや風味を醸し出しています。
そこで、青汁のニオイや風味が苦手な方にも飲んでもらえるよう緑茶や抹茶、煎茶などをブレンドすることで飲みやすくしている商品が販売されています。この緑茶や抹茶、煎茶などにカフェインが含まれています。
カフェインの含有量
緑茶や抹茶などに含まれるカフェイン量について確認してみましょう。以下はカフェインを多く含む主な食品を示しています。
食品名 | カフェイン量(100mLあたり) | 備考 |
---|---|---|
コーヒー | 60mg | 浸出方法:コーヒー粉末 10 g/熱湯 150 ml |
インスタントコーヒー (顆粒製品) | 57mg | 浸出方法:インスタントコーヒー2 g/熱湯140 ml |
玉露 | 160mg | 浸出方法:茶葉 10 g/60 ℃の湯 60 ml、2.5 分 |
紅茶 | 30mg | 浸出方法:茶 5 g/熱湯 360 ml、1.5~4 分 |
煎茶 | 20mg | 浸出方法:茶 10 g/90 ℃430 ml、1 分 |
ウーロン茶 | 20mg | 浸出方法:茶 15 g/90 ℃の湯 650 ml、0.5 分 |
エナジードリンク又 は眠気覚まし用飲料 (清涼飲料水) | 32~300mg | 製品によって、カフェイン濃度及び内容量が異なる |
文部科学省:日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)(2015)
カフェインといえば、まずはじめにコーヒーを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。コーヒーのカフェイン含有量はインスタント製品と多少異なりますが、コーヒー1杯(150mL)あたり約90㎎です。エナジードリンクや眠気覚まし飲料水では商品によって異なりますが、多いもので約300㎎ものカフェインが含まれているようです。
煎茶や抹茶をコーヒーを同量の1杯150mlで計算すると、煎茶では約30㎎、抹茶では約69㎎のカフェイン量となります。青汁にはカフェインの含有量が記載されていないためはっきりとした数値は分かりません。しかし、抹茶1.5gに対してカフェイン含有量が48㎎であるため、抹茶をブレンドして飲みやすくした青汁であってもカフェインは少量であることがわかります。反対に原材料のケール100%や大麦若葉100%と言った商品にはカフェインが含まれていないため、日頃からカフェインを多く摂取される方やカフェインに気を付けている方などはこれらの商品を選ぶと良いでしょう。
カフェインの作用とは?
そもそもカフェインにはどのような作用があるのでしょうか。コーヒーを飲むと「目が覚める」「トイレが近くなる」などのイメージがあるかと思いますが、なぜそのような作用を示すかご存知ですか?ここからはカフェインについてもう少し深く見ていきましょう。
カフェインは1819年にドイツの科学者によってコーヒーから世界で初めて単離された物質であり、このことからカフェインと名づけられました。
カフェインの構造式は体内で抑制系神経伝達物質であるアデノシンに類似していることがわかり、カフェインはアデノシンの働きを抑えることで作用を示していると考えられています。アデノシンはアデノシン受容体と結合することで神経活動を安定化させる役割があります。カフェインがアデノシンの働きを抑えることで示す主な作用は以下の通りです。
覚醒作用
カフェインは神経活動を抑えるアデノシンとアデノシン受容体の結合を邪魔することにより、間接的に興奮性伝達物質のドーパミンを放出させ、神経回路を興奮状態にします。よって、カフェインを摂取すると目が覚めるような感覚になります。
利尿作用
アデノシンは腎臓にあるアデノシン受容体と結合することで、体内から腎臓へと送られた水分を再び体内へと戻る働きをします。カフェインがアデノシンの邪魔をすることで、水分が体内へと戻ることがなくなり尿量が増える、つまりトイレが近くなる現象が起こります。
昇圧作用
カフェインを摂取すると血圧が上昇するといわれています。これはアデノシンとアデノシン受容体の結合を邪魔することや、活動している時に優位となる交感神経の刺激に似た作用など様々な作用が関わっていると考えられています。
疲労感軽減
カフェインの摂取により疲労感を軽減するという報告があります。日頃カフェインを摂取していた方がカフェインの摂取を中止した時、疲労感や倦怠感がカフェインを再摂取することで減少したとのことです。しかし、疲労の感度を低下させているのか、疲労そのものを減少しているのかは不明であり、防御反応の低下などマイナスの面も考えられるため疲労軽減目的で摂取するのは控えるべきです。
他にも体温上昇や心臓の働きを改善するなどの作用があると考えられています。
カフェインを摂りすぎるとどうなる?
医薬品に作用と副作用があるように、カフェインにも上記のような作用がある反面摂りすぎると身体に不都合な健康被害を起こす場合があります。
カフェインの上限量に関して様々な国が基準値を設定していますが、大半の国が健康成人では400㎎/日、妊婦や授乳中の方、妊娠を予定している方では200㎎/日としています。また、1回の摂取量は200㎎以下が望ましいと定めているところもあります。
では、カフェインを摂りすぎるとどのようなことが起こり得るのでしょうか。
カフェインは先述の通り覚醒作用があり、適度な量であれば程よく目を覚まして勉強や作業の効率をあげることに役立ちますが、カフェインを摂りすぎると不眠を引き起こすことが分かっています。また、カフェインの過剰な摂取(400㎎~500㎎以上)はイライラ感や不安感を誘発するといわれています。
また、過剰摂取は不整脈を誘発する可能性があると考えられています。カフェイン200㎎~250㎎/回の摂取では、コーヒーを日頃から飲まない非常習の健康人において血圧や交感神経を活発にする物質の増加などにより不整脈を誘発すると考えられています。
他にも中枢神経系の刺激によるめまいや心拍数の増加、興奮、震え、下痢、吐き気などの健康被害がおこるとされています。
しかし、カフェインを含むコーヒーやお茶は昔から嗜好品として楽しまれているものであり、適度な量の摂取は身体に健康被害を与えないことをこれまでの歴史が証明してくれています。カフェインを摂りすぎているのではないかと心配の方は、どの商品にどのくらい含まれているかなど把握することが過度なカフェイン摂取を防ぐ方法になります。
注意すべき人ってどんな人?
健康な成人であれば1日400㎎以上の摂取を常習的に行わなければ上記のような健康被害が起こる可能性は低いと考えられます。しかし、先述したように妊婦や授乳中の方、妊娠を考えている方は健康な成人と違い半分量の1日200㎎と定められています。このように人によって摂取量に違いがあるのはなぜでしょうか。カフェインの摂取に注意すべき人について見ていきましょう。
妊婦、授乳中の方、妊娠を考えている方
ある成分を摂取したものが体内で半分の量になった時の時間を「半減期」と呼びます。例えば、カフェインを100㎎摂取し、代謝や排泄により体内のカフェイン量が50㎎になった時間が4時間の場合、「半減期は4時間」と表現されます。
成人のカフェインの半減期は個人差があるため2~8時間とされていますが、約4時間と覚えておいて良いです。一方、妊娠中の女性ではカフェインの半減期が6~16時間に延長します。出産すると4週~15週経過したころに通常の2~8時間へと戻るといわれています。これは女性ホルモンであるエストロゲンやゲスタゲンが代謝酵素を抑制することと一致しています。カフェインの半減期が延長するということは、健康な成人に比べてカフェインが体内に残りやすいことを表します。そのため、妊娠中、特に妊娠後期の方は体内にカフェインが高濃度で維持されやすく、作用が強く現れる可能性があります。このことから妊婦に対しては1日200㎎という上限が定められています。
また、カフェインは胎盤関門と呼ばれる関所を通過して胎児に作用します。母体のカフェイン濃度は胎児のカフェイン濃度に指標になるとともに、母体のカフェイン半減期の延長、胎児のカフェイン代謝能の低さから胎児は長期にわたってカフェインの影響を受ける環境にあります。
授乳中の方も注意が必要です。カフェインは乳腺関門を通過するため、母親がカフェインを摂取すると乳汁中にも移行します。
カフェイン含有の食品を好む方
カフェインは上記で示したようにコーヒーやお茶に多く含まれることが知られていますが、他にも色々な製品に含まれています。知らず知らずのうちにカフェインを摂取している場合がありますので確認してみましょう。
製品 | 容量 | カフェイン量(mg) |
---|---|---|
キリンファイア挽き立て微糖 | 190mL | 137 |
ダイドブレンド ブレンドコーヒー | 185mL | 159 |
午後の紅茶 ミルクティー | 500mL | 80 |
マウンテン・デュー | 500mL | 100 |
コカ コーラ | 500mL | 35 |
レッドブル | 250mL | 80 |
リポビタンD | 100mL | 50 |
眠眠打破 | 50mL | 120 |
強強打破 | 50mL | 150 |
明治ミルクチョコレート | 1枚(50g) | 15 |
コンビニや自動販売機で手軽に購入できる缶コーヒーには1缶当たり100㎎前後のものから多いもので160mg前後の商品があります。缶コーヒーは開けると一本飲み切ることが多いことや手軽に買える分、1日に数本飲むことも多いと思います。また、コカコーラや午後の紅茶などにもカフェインは含まれています。これらの商品を日頃から好んでいる方は知らず知らずのうちに過剰摂取となっている場合がありますので注意しましょう。
その他に注意が必要な方
カフェインの代謝・排泄には肝臓や腎臓が関わってきます。これらの機能に障害のある方はカフェインの持続時間が長くなり、カフェインの作用が強く出る可能性があります。
成分をよく見て商品を選びましょう
青汁には抹茶や煎茶などをブレンドすることで飲みやすくしている商品があり、これらにカフェインが含まれています。青汁に含まれているカフェインの量は表示されていませんがコーヒーなどに比べると少ないことが分かるため、青汁にカフェインが含まれている商品と含まれていない商品と比較して「〇〇のほうが良い」ということはありません。注意いただきたいのは他の食品と合わせると知らないうちにカフェインを過度に摂取している可能性があるという点です。カフェインの摂取量が気になる方は「ノンカフェイン」や「カフェインレス」といった商品が青汁にはありますのでこれらを選択するのが良いでしょう。特に妊婦の方や授乳中の方にはおすすめです。
コーヒーやお茶、青汁などは日常生活の中での楽しみの一つです。成分について理解して含有量などを自分で調節できればさらに楽しく付き合っていけるでしょう。青汁の商品も様々な種類がありますので、ご自身に合うベストな商品を見つけてください。
参考文献
第2章 日本食品標準成分表 Excel(日本語版):文部科学省
食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
日常生活の中におけるカフェイン摂取 −作用機序と安全性評価−
チョコレートに含まれるカフェインの量