青汁にカリウムが含まれている理由とは?

日本人は野菜の摂取量が不足していると言われています。青汁は野菜の栄養素の中でも、日本人が不足しがちなビタミンやミネラルを手軽に取ることができます。ですが、青汁はミネラルであるカリウムが多く含まれているといった知識から、腎臓に良くないというイメージが先行し、青汁を購入するかどうか迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
青汁のどの成分にカリウムが含まれているか?、カリウムは体でどういった働きをするのか?を確認し、青汁について正しい理解を深めていきましょう。

なぜ青汁にカリウムが含まれる?

青汁のどの成分にカリウムが含まれているかご存知でしょうか?青汁は、原料である野菜を絞った汁ですが、青汁の原料は複数存在しており日本で使用されている原料は主に4つあります。
カリウムを特に多く含む原料はその中でも、ケールや明日葉といった原料になります。ただし、原料によってミネラルやビタミンの種類、カリウムの含まれている量が異なるため、青汁はカリウムが高いと一概に言うことはできません。

大麦若葉

大麦若葉はイネ科の植物の一種であり、ケールより苦みが少ないのが特徴です。データによると青汁3gに対して、大麦若葉に含まれるカリウムの量は96mgでした(参考:山本漢方製薬(*5))。その他、マグネシウムやβカロテンビタミンCなどのミネラル・ビタミンを満遍なく多く含んでいるのが特徴です。

ケール

ケールはアブラナ科の一種で、青汁が発売された当初からよく使用されている親しみのある原料です。青汁3gに対して、ケールに含まれるカリウムの量は111mg(参考:山本漢方製薬(*5))であり、大麦若葉よりカリウム量が15mg多く含有しています。ちなみに、文部科学省の日本食品成分表(*6)では、ケールのカリウム含有量は100g当たり420mgでした。また、大麦若葉と同様、マグネシウムやβカロテンビタミンCなどのミネラル・ビタミン多く含みます。

明日葉

明日葉はセリ科の植物の一種です。βカロテンやビタミンC、ビタミンE,、食物繊維を多く含むのが特徴です。また、抗酸化ポリフェノールであるカルコンを含み、美容にも効果があると言われています。文部科学省の日本食品成分表(*6)によると、明日葉(生)のカリウム含有量は100g当たり540mg含有しています。

桑の葉

桑の葉はクワ科の植物の一種です。桑の葉も、青汁の原料によく使われますが、主に鉄や亜鉛、カルシウム、マグネシウムを多く含むといった特徴があります。また、1-デオキシノジリマイシンという成分は食事の糖の吸収を抑える働きがあるとされ、そちらに特に注目されています。

身体でのカリウムの役割

カリウムは人にとって重要なミネラルで、大人の身体に約120~200gのカリウムが存在します。カリウムは主に身体の浸透圧を調整しています。インターネットでは、カリウムは塩分を調節するから血圧に重要、カリウムは腎臓と関連があるといった様々な情報がありますが、一度、ここで正しいカリウムの働きを確認してみましょう。カリウムが身体でどのような働きをしているのか?ご紹介します。

カリウムと血圧

血液内の塩分濃度を調節するのに、ミネラルであるカリウムとナトリウムが関わっています。例えば、血液中のナトリウム(塩分)が過剰であると高血圧になると言われています。ナトリウム(塩分)が増えると、人は血液中の塩分濃度を下げようと血管内に水分を引き入れて血液量を増やします。増えた血液によって血管内の壁に対する負荷が大きくなるため、血圧が高くなると言われています。カリウムはナトリウムが血液内に再吸収されるのを抑える働きに関与しており、血圧調整にも重要な働きをしています。

カリウムと腎臓

カリウムと血圧の項でご紹介した通り、血液内の塩分濃度の調節にミネラルであるカリウムとナトリウムが関与していますが、この2つのミネラルの量は腎臓で調整されています。そして、腎臓はカリウムを体外に排出する役割を担っています。腎臓の機能が低下していると、体外にカリウムが排出されにくく、高カリウム血症を引き起こす恐れがあります。

カリウムと筋肉

カリウムは筋肉にも関与しています。人は筋肉が収縮するときにナトリウムを利用し、筋肉の収縮を緩める際にカリウムを利用します。筋肉の収縮と弛緩といった働きを正常に保つのに、カリウムは重要な役割を担っています。

カリウムと心臓

心臓は心筋という筋肉でできたポンプのような臓器です。心筋が収縮したり、弛緩したりして、ポンプが動き、全身に血液を送ります。カリウムと筋肉の項でご紹介した通り、カリウムは筋肉を正常に働かせるために重要な役割を持っています。心臓の正常な働きを維持するためにもカリウムは非常に重要なのです。

カリウムと神経

カリウムは神経の伝達にも関連しています。ミネラルであるカリウムやナトリウムによって神経の働きが調整され、人は感覚を感じることができます。精神症状は神経伝達とも関連があります。神経の働きを調整するカリウムは精神の安定にも重要な役割を持っています。

カリウムの過不足による影響

インターネットでカリウム不足を検索すると、低カリウム血症などの病気が検索上位に上がり、不安になられる方もいらっしゃると思います。実際、カリウムが不足した場合に実生活において身体にどのような影響を受けるのでしょうか?低カリウム血症になった場合の症状とはどのようなものなのでしょうか?

不整脈、脱力感、倦怠感、食欲不振、精神症状

身体でのカリウムの役割で見た通り、カリウムは心臓、筋肉、神経、腎臓など様々な臓器に関わって役割を担っています。カリウムが不足すると身体のナトリウムとカリウムのバランスが崩れ、体調に不調が現れてきます。臓器ごとに不調が現れ、心臓であれば不整脈、筋肉であればだるさや体が思うように動かない・体が重たい、神経であれば、だるさ、食欲がないなどの症状が現れます。また、神経は精神症状にも関連しています。カリウム不足によって精神症状に影響も出るため、イライラや落ち込みなどの症状も現れる方もいます。

低カリウム血症

摂取するカリウムが過度に不足すると、低カリウム血症を引き起こします。軽度のカリウム不足では目立った症状は引き起こしません。血液中のカリウム濃度の正常値は3.6~4.9mEq/Lですが、3mEq/L未満になると症状が現れ、低血圧、筋力の低下、痙攣、手足の麻痺などの症状を引き起こします。原因は体外から摂取するカリウム量が過度に少なかったり、体外に放出されるカリウムの量が極端に多かったりといったものがあります。

食事からカリウムを摂取するなら

カリウムは食品から摂取することもできます。主に野菜や、豆類に含まれていることが多いです。ですが、カリウムは尿中に排出される量が多いため、すぐ体外に出ていきます。食品で摂取する場合、継続的に適切な量を摂取する必要があります。では、どのような食材にカリウムが含まれているのか?1日に必要なカリウムの摂取量はどの程度なのか等ご紹介したいと思います。

カリウム含有量の多い食品

一般的にカリウムを多く含まれている食品は、パセリやザーサイ、たくあん漬け、よもぎ、アボカド、にんにく、里芋、納豆などがあります。中々、毎日摂取しづらい食品が多かったり、工夫が必要な食材もあったりします。文部科学省の食品成分データベース(4)によると
パセリは100g当たりカリウム含有量は1000mgとなっていますが、カリウム値が高くても、それだけ様々な食品を食卓に並べるのも大変になります。

カリウムの一日に必要な摂取量

「日本人の食事摂取基準(2015)」(*6)では、生活習慣病の予防を目的とした1日当たりのカリウム摂取の目標量を成人男性3000mg以上、成人女性2600mg以上としています。1日の基準量を食品で摂取しようとすると結構大変な量です。また、カリウムは加熱・調理などで失われやすく、食事で意識的に取っていても不足しがちなミネラルと言われています。なので、摂取できるカリウムの量が多い青汁を毎朝1杯飲むなど習慣づけることでカリウムを簡単に摂取することができます。また、カリウムだけでなく、日本人に不足しがちなビタミンや食物繊維をとることができ、健康に繋がりやすいです。

カリウム量に注意すべき人ってどんな人?

青汁はマグネシウムやビタミンCやビタミンK、ビタミンEなど多くのミネラル・ビタミンを含んでいます。持病や持病の治療に使用しているお薬と合わないこともあります。また、青汁は手軽にカリウムを摂取できますが、カリウムを取りすぎてしまうことによって身体に影響を受けてしまう方もいらっしゃいます。どういった栄養素がどのような持病と合わないのかをご紹介します。

腎機能が低下している方、腎臓病をお持ちの方

腎臓はカリウムを体外に排出する働きを持っています。腎臓病の方が、体外にカリウムを排出する機能が弱く、体内にカリウムが貯まりやすくなります。青汁を摂取することで、体内にカリウムをため込むようになってしまい、高カリウム血症を引き起こす恐れがあります。高カリウム血症は症状が悪化すると吐き気や脱力感、しびれなどを引き起こし、重大になれば、心停止にもなりかねないので、必ず主治医に確認しましょう。

脳梗塞で薬を服用されている方

青汁にはカリウムだけでなく、ビタミンKといったビタミンも多く含まれています。脳梗塞の治療で使用するワーファリンをいう薬を内服されていると、ビタミンKがワーファリンの効果が低下する恐れがあります。必ず、治療中の方は主治医に確認してください。

甲状腺機能が低下している人

アブラナ科の野菜を非常に多く摂取すると動物は甲状腺機能低下症を引き起こすことが分かっています。また、数か月にわたって推定で1.0~1.5kg/日の生のパクチョイを食べた88歳の女性が、重篤な甲状腺機能低下症を発症し昏睡状態になったという報告もあります。(参考:微量栄養素情報センター(*7))アブラナ科の野菜に含まれる何種類かの成分が甲状腺ホルモンの生成を抑制する働きがあります。甲状腺機能が低下している人がアブラナ科であるケールが原料の青汁を摂取すると甲状腺機能に影響がでる恐れがあります。一度でも、甲状腺機能に低下があると診断された方は、主治医に確認して下さい。

食物アレルギーを持つ人

植物の科によってアレルギー反応を引き起こす方もいらっしゃいます。植物アレルギーで自身がアレルギーを起こす植物科がないか確認することも重要です。特に、他に食物アレルギーを多く持つ方は、一度病院でアレルギー検査を行って、自身が何に対してアレルギー反応を引き起こすのか確認しておき、反応しない野菜を使用している青汁を飲むなどするようにして下さい。

まとめ

青汁とカリウムについて正しい理解を深めることが大切です。青汁の全てがカリウムが高いというわけではありません。カリウムは加熱・調理で失われやすいミネラルであり、毎日継続して摂取することが重要です。ですが、食材も調理に工夫が必要であったり、食卓に数品を毎日食卓に並べるのは大変だったりします。用法・用量を守り、習慣として青汁を飲むことは、身体にとって、重要なミネラルであるカリウムを手軽に取ることができ、健康にいられることに繋がります。もし、ご自身が持病をお持ちであったり、特に腎臓病のあったり、透析を受けておられる方は主治医にしっかり相談をして下さい。

参考資料
(1)厚生労働省 e-ヘルスネット
(2)竹内昭博.Qシリーズ新生理学.日本医事新報社,2016
(3)FANCL ONLINE
(4)文部科学省 し好飲料類/青汁/ケール
(5)山本漢方製薬株式会社
(6)文部科学省 日本食品成分標準表2015
(7)Oregon State University Linus Pauling Institute 微量栄養素情報センター

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