【5つの予防法】新型栄養失調の特徴・予防法・改善法・セルフチェックなど紹介

栄養失調といえば食べ物が手に入らず飢餓状態にあることを想像しますが、現代の日本では毎食しっかり食べているのにもかかわらず、栄養失調に陥る人が意外と多いのです。このような栄養失調を「新型栄養失調」といいます。飽食と言われる現代の日本で起きている新型栄養失調は、気づかないうちに自分もなっているかもしれません。この記事で新型栄養失調になっていないか、ならないためにはどうしたらよいか、もしもなってしまったらどうやって改善できるかについて学びましょう。

新型栄養失調とは

新型栄養失調とは、食事をしていて摂取カロリーは足りているのに、特定の栄養素が足りていない状態のことをいいます。十分な食べ物が得られずに栄養失調になると、ガリガリに痩せた状態になります。しかし新型栄養失調は、痩せた体型から肥満体型まで見られるのが特徴です。

なぜ新型栄養失調になってしまうのか

新型栄養失調に陥る理由は、「偏食」(栄養の偏り)です。栄養が偏ってしまう原因は一つではなく、年代や生活パターンにより異なりますが、大きく分けると「好き嫌い」「多忙」と、同じものばかり食べる「ばっかり食べ」の3つ型の偏食に分類できます。

新型栄養失調になるとどうなる?

身体の健康を維持するために必要な栄養素が足りない状態になるので、身体がうまく機能できなくなります。代謝が低下するため老化が促進され、血管が硬くなり動脈硬化や高血圧、脳出血などのリスクが高くなります。免疫機能も低下するので、風邪などの感染症にかかりやすくなるばかりか、癌のリスクも高くなります。カルシウムが足りないと骨が弱くなり、鉄不足は貧血の原因になります。*1
高齢者の新型栄養失調は特に、これらの病状が進行しやすいため注意が必要です。若い世代でも、新型栄養失調が続くと実年齢以上に身体が老化していることがあるので、若さを過信しないようにしましょう。

どのような人が新型栄養失調になりやすい?

「好き嫌い」「多忙」「ばっかり食べ」をもう少し詳しく見ていくと、どのような人が新型栄養失調になりやすかが見えてきます。

子どもに多い「好き嫌い」型偏食

野菜が嫌いな子どもは、大人に比べると多いです。野菜全部が嫌いな子もいれば、特定の野菜だけは食べたがらない子もいます。また、果物も好んで食べない子もいるようです。
野菜や果物にはビタミン・食物繊維・ミネラルが多く含まれていて、健康な身体を維持するためには必要な栄養素です。炭水化物などエネルギー源になるものを食べていても、それを体内で利用するためには代謝を行わなければならず、ビタミンやミネラルが必要です。

野菜に多く含まれる食物繊維は、腸内の環境を整えるのに必要な栄養素です。腸は身体を作るために必要な栄養素を吸収する重要な器官であると同時に、免疫機能の60%以上が集まる場所でもあります。健康を維持するためにはこれらの栄養素を必要なだけ摂取しなければなりません。

30〜50代男性に多い「多忙」型偏食

男性に限りませんが、仕事で忙しくゆっくり食事を摂る時間のない人に多いです。ランチタイムは手早くカップラーメンで済ませてしまう、コンビニで買ったパンやお弁当などで済ませてしまうという方は要注意です。ランチだけならまだ良いのですが、帰宅時間が遅い場合には、栄養のある食事ができなかったり、夜遅く食べるのは身体に良くないからと量を減らすなどの習慣が身についていると、ビタミン・ミネラル・食物繊維を中心に、あらゆる栄養素が不足してしまう可能性があります。

手軽に食べられる食品は炭水化物が多く、カロリーは摂取できているのですが、身体の器官を動かすためにはビタミンやミネラルなども必要です。代謝が落ちるため細胞の老化が進み、血管年齢が実年齢を超えるなど、健康を脅かされることもあります。

高齢者や若い女性に多い「ばっかり食べ」型偏食

高齢者は色が細くなり、食べる量が減ることとさっぱりした食事を好むことから、タンパク質不足に陥ることが多いです。高齢になると動くことが大変になり、買い物に出かける回数が減り、家にある保存のきく食品で済ませてしまうことが多くなります。その場合、タンパク質だけではなく新鮮な野菜や果物も十分摂取できないので、ビタミン・ミネラル・食物繊維も不足してしまいます。

若い女性の場合は痩せたい願望が強く、無理なダイエットを行いタンパク質や脂質が不足することが多いです。野菜ばかり食べていたり、油物を徹底して避けていると、必要なタンパク質や脂質が摂取できません。タンパク質が不足すると筋肉が作られず代謝が落ちていきます。脂質はエネルギー源になる他、細胞膜を構成する物質なので、不足すると肌も荒れてきます。

こんな症状に心当たりがあれば新型栄養失調かも?

摂取カロリーは足りているのに、不足している栄養素があるのが新型栄養失調です。不足している栄養素によって、症状も異なります。次のようなことに心当たりがある場合は、新型栄養失調かもしれないので、食生活を振り返って見ましょう。

タンパク質が不足しているサイン

タンパク質の摂取不足になると筋肉が作られないため、基礎代謝が低くなります。基礎代謝が低くなるためにダイエットをしても痩せにくい身体になってしまいます。筋肉量が増えないため運動をしても体力がつきにくく、手足がむくみやすくなります。

髪はケラチンというタンパク質で作られているので、摂取タンパク質が十分出ないとケラチンも合成されなくなり、その結果毛のハリ・ツヤが低下し、抜け毛が増えます。
タンパク質は身体を作るために必須の栄養素なので、不足していると全身に不調が現れます。集中力や意欲が低下するのもたんぱく質不足が考えられます。

【たんぱく質不足のサイン】

  • 基礎代謝の低下
  • 痩せにくくなる
  • 体力がつきにくい
  • 手足がむくむ
  • 毛髪にハリ・ツヤがなくなる
  • 抜け毛
  • 集中力・意欲の低下

ビタミン・ミネラルが不足しているサイン

ビタミンやミネラルが不足していると、摂取した栄養をエネルギーに変えるための代謝がうまく行われず、脂肪がつきやすくなったり疲れやすくなったりします。肌の新陳代謝もビタミンを必要とするため、ビタミン不足になると肌荒れやニキビなどのトラブルが多くなります。ビタミンは免疫力を高める役割もあるため、不足すると風邪をひきやすくなります。

ミネラルのうち鉄分が不足すると、貧血でふらつきやめまいを感じることがあり、カリウム不足になると身体がむくみやすくなります。カルシウム・マグネシウムは筋肉の働きに関与しているため、不足すると足がよくつるようになります。

【ビタミン・ミネラル不足のサイン】

  • 脂肪がつきやすい
  • 疲れやすい
  • 肌荒れやニキビなどの肌トラブル
  • 風邪をひきやすい
  • ふらつき・めまい
  • 足がつる
  • むくみ

新型栄養失調かなと思ったら食生活の見直しを

新型栄養失調かも?と思ったら、食生活の見直しから始めると良いでしょう。まずは現状でどのような栄養素が不足しがちになっていることが多いのか、それはどのような食生活が原因になっているかを厚生労働省が行った調査結果を参考にしながら考えてみます。

食事を摂っているのに不足しがちな栄養素

厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査結果」*1から、30代から60代で不足しがちな栄養素及び食品は、タンパク質・カルシウム・鉄と野菜です。野菜は年齢が若いほど摂取量が少なく、20代の女性は肉類だけではなく野菜も摂取不足であることがわかります。

性別(年齢)男性(30〜64歳)女性(30〜64歳)
平均摂取量<目標値>平均摂取量<目標値>
タンパク質(g)78.8 <75〜135>66.4 <57〜100>
カルシウム(mg)503 <740>494 <660>
鉄(mg)*28.3 <7〜7.5>7.5 <10.5〜11*>*:月経ありの女性
野菜(g)288.3 <350>273.6 <350>
令和元年 国民健康・栄養調査結(厚生労働省)より抜粋

外食や惣菜の利用率

厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査結果」*1によると、週に1回以上外食をしている人は、男性が41.6%、女性が26.7%で、20代が男女とも最も多く、男性が66.9%、女性が56.6%です。また、持ち帰りの弁当または惣菜を週に1回以上利用している人は、男性47.2%、女性44.3%で、男女ともに20代から50代まで50%台となっています。

令和元年 国民健康・栄養調査結(厚生労働省)より引用

外食や惣菜を利用する理由

外食や弁当・惣菜などを利用する理由として「忙しいから」が、20代から50代で非常に多く、「面倒だから」という理由もそれに次いで多くなっています。ちょうど働き盛りということもあり、仕事が忙しく食事を作るのが面倒という理由は納得できます。

令和元年 国民健康・栄養調査結(厚生労働省)より引用

しかしこのまま同じことを繰り返していると、栄養状態を改善することができません。不足しがちな栄養を摂るために、少しの手間と時間をかける努力は必要ですが、どうしても忙しい時には工夫が必要になります。そこで時間があるときに面倒くさがりの人におすすめできる限り簡単・短時間でしっかり栄養補給することが可能な、いくつかの提案がありますので次に紹介します。

どうすれば新型栄養失調にならずにすむ?予防法は?

新型栄養失調を予防するために、今までの食生活で不足しがちだった栄養素を意識的に摂る必要があります。調査で明らかになった外食や弁当・惣菜の利用、多忙、面倒くさいという、新型栄養失調になりうる原因を踏まえた上で、予防できる方法を考えてみましょう。

1.外食や惣菜は同じものばかり食べない

外食や惣菜だから悪いわけではありません。問題はいつも同じ料理ばかり注文したり買ったりすることで、栄養が偏ってしまうことです。料理に使われている食材の種類が少なかったり、揚げ物ばかりだったりすることは多いと思います。外食などの頻度が高くなればなるほど、栄養バランスが偏ってしまうので、週に1回以上利用する人は回数を減らすか、栄養バランスを意識して利用しましょう。

惣菜や弁当を利用する場合には、できるだけたくさんの食材を使っているものを選んだり、1−2品は副菜や果物などにしてみるのも良いですね。外食は同じものばかり食べないこと、ファストフードばかり食べないことに気をつけてください。

2.簡単食材の組み合わせで調理の負担を軽くする

仕事が忙しく、帰宅する時間が遅かったり疲れていて料理をしたくないこともあると思います。しかし少しならがんばれそうなときは、弁当や惣菜だけで食事を済まさず、野菜をちぎってサラダを作り、ナッツ類・チーズ・ハム・大豆などをトッピングするとたんぱく質・カルシウム・ビタミン類が摂取できます。のせるだけなので忙しくても簡単です。

忙しい時でもタンパク質を手軽に摂れるように、時間がある時にゆで卵を作っておいたり、豆腐な納豆などの植物性タンパク質が手間なく食べられるよう、常備しておくと良いと思います。

3.フルーツでビタミン・ミネラルを補給

フルーツは皮をむいたり切ったりする程度で、すぐに食べられる食品なので、常備しておきたい食品の一つです。一度にたくさん食べたりする必要はなく、食後に少しつまんだりおやつとして食べたりするだけで十分です。毎日少し食べるのがおすすめです。

4.身体に良いものでも同じものを食べ続けない

健康に関する情報は、テレビ・家族・インターネットで得る人が多いようです。そこで身体に良い食材に関する情報を得たとしても、毎日そればかり食べることは良くありません。「ばっかり食べ」は栄養が偏ってしまいます。いろんな食材からいろんな栄養素を取り入れることを心がけましょう。

5.青汁や野菜スムージーなどを補助的に活用する

野菜が不足していることで、ビタミン・ミネラルが足りていない人は、不足を補うために青汁や野菜スムージーなどを補助的に活用するのも一つの選択肢です。新型栄養失調を防ぐために、食事の代わりに青汁やスムージに置き換えることはせず、お茶の代わりとして、デザートとして、おやつとして取り入れるようにしましょう。

6.食事のバランスを考えた献立を作る

時間がある時には、自宅で料理をしましょう。手の込んだものでなくても、栄養バランスのとれた料理は作れます。
全年代で不足しがちな栄養素と、その栄養素を多く含む食材を紹介しますので、献立づくりの参考にしてください。

ビタミンB1

ビタミンB1は糖質をエネルギー変える際に必要とされる栄養素です。豚肉・うなぎ・豆類に多く含まれます。

ビタミンA

ビタミンAは皮膚・粘膜・眼の健康を守ります。レバー・卵・緑黄色野菜などに多く含まれます。

鉄は赤血球のヘモグロビンを構成し、酸素を全身に運ぶ働きがあります。牛肉・レバー・納豆・小松菜などに多く含まれます。

カルシウム

骨や歯を作る物質で、筋肉や神経の働きに関与しています。チーズ・干しエビ・牛乳・水菜に多く含まれます。

食物繊維

腸の働きを整え、便の量を増やします。ごぼう・切り干し大根・りんごに多く含まれます。
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以上、どの年代においても不足しがちな栄養素を意識しつつ、バランスの取れた献立作りが重要です。献立というと、難しく感じるかもしれません。そんな時は厚生労働省・農林水産省が決定した「食事バランスガイド」(下図)を参照すると、わかりやすいです。

「食事バランスガイド」農林水産省HPより引用

新型栄養失調の予防に役立つ情報を集めて実践しよう

1日3食、献立を考えるのはとても面倒です。主婦が毎日頭を悩ませていることの一つです。しかし食事は私たちの身体を作り、健康を守ってくれます。忙しいから・面倒だからといって新型栄養失調を放置すると、健康が損なわれてしまいます。

インターネットで簡単なレシピを調べて作ってみるのも良いですし、青汁やスムージーの中には、栄養バランスのことを第一に考えた「栄養特化型」のものがあります。「栄養特化型青汁」や「栄養特化型スムージー」などのワードで検索して、自分に合いそうな青汁やスムージーを探してみると、選択肢が広がると思います。

青汁やスムージーは食事とは別のものと考えず、料理に使うという発想もありです。「青汁 レシピ」または「スムージー レシピ」で検索すると、料理に青汁やスムージーを使ったレシピがたくさん見つかります。おやつ作りでも使われていて、とても美味しそうです。
このように栄養バランスや料理に関する情報は、インターネットで簡単に手に入れることができるので、新型栄養失調の予防に役立つ情報を積極的に集めて実践しましょう。

<参考文献>
*1:新型栄養失調を予防しよう | 東京都北区
*2:令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要 | 厚生労働省
*3:鉄の食事摂取基準 | 厚生労働省
*4:気になる!新型栄養失調とは? | ABC Cooking Studio

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