【ビタミンPの効果効能】多く含む食品・摂取量基準・研究情報について

炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、ファイトニュートリエント。これらは7大栄養素とよばれ、人の成長や健康維持には欠かせない栄養素です。

その中でもビタミンは身体の生理機能の重要な役割をになっていますが、人は体内で生成することができず食事から摂る必要があります。

そんなビタミンの中にビタミンだけど、ビタミンじゃないものがいることをご存知でしょうか。何言ってるんだという感じかもしれませんが、それらはビタミン様物質と呼ばれるもので、その代表的なものがビタミンPです。

今回はそんなビタミンPについて、ビタミンPの役割、どれくらい毎日摂れば良いのかなどについて話していきたいと思います。

ビタミンPとは

ビタミンPはフラボノイド(色素)の総称です。ルチンやヘスペリジン、ケルセチンなどのフラボノイドをあわせてビタミンPと呼びます。

ビタミンPの一種である、ヘスペリジンはビタミンCを発見しノーベル生理学・医学賞を受賞したハンガリーの生化学者セント=ジェルジ・アルベルトが1936年にレモンの果実中から発見しました。毛細血管の抵抗性増強作用や血管透過性の増大を抑制する作用があることから、透過性を意味する「permeability」の頭文字であるPを取って、ビタミンPと名付けられました。

また、ビタミンPはビタミンと名乗っていますが、「ビタミン様物質」と呼ばるものの一種でもあります。「ビタミン様物質」とは、体内でビタミンによく似た働きをする成分のことです。作用としては熱に弱く、壊れやすい不安定なビタミンCを安定させる働きがあります。ビタミンPは、発見当初はビタミンと思われていましたが、研究が進むにつれて、実は数種類のフラボノイドからなる混合物であることが判明しました。

「ビタミン様物質」にはビタミンP意外にも存在し、ビタミンUは「キャベジン」、ビタミンQは「コエンザイムQ10」とも呼ばれています。

そもそも、フラボノイドとはポリフェノールの一種で天然に存在する有機化合物群の植物色素の総称です。植物の葉、茎、幹などに含まれており種類は4,000以上あると報告されています。最近では人の体の特定の生理調節機能に働きかけるので、機能性成分として注目され、様々な研究が行われています。

ビタミンPの効果効能・体内における作用や役割

そんなビタミンPの体内での作用や役割をまとめてみました。

毛細血管の強化

毛細血管は膜を通じて酸素や栄養をやりとりしていますが、ビタミンPの一種であるヘスペリジンはビタミンCと協力して毛細血管の膜の透過性がよくなりすぎないように調整する役割があります。 毛細血管からの出血を防いだり、細胞内に細菌が進入したりしないように、毛細血管のメンテナンスを行っています。また細菌が体内に入るのを防ぐのも、この働きによるものだと言われています。

ビタミンCサイクル

人間はビタミンCを体内で合成できないため、毎日の食事から摂る必要があります。ビタミンCには抗酸化作用があり、ストレスなどを感じるとビタミンCが酸化型ビタミンCへと変換されます。酸化型ビタミンCになってしまうと本来の抗酸化作用を発揮することができなくなります。

ビタミンPの一種であるヘスペリジンには酸化型ビタミンCを元の状態に戻す作用があり、ビタミンCをリサイクルして効率的に使うことを可能にする働きがあると考えられています。

それ以外にも、フラボノイドとして体内で多くの反応に関与しています。

ビタミンPはどういった時、意識して摂取するべきか

ビタミンPは体にとって重要な栄養素であることがわかりました。そんなビタミンPは特にどういった時に意識すべきなのでしょうか。

結論から言いますと、特にどういった場合に意識した方が良いということはないようです。
というのもビタミンPは補助的な役割が強く、欠乏症・過剰症がないビタミンと言われているからです。

あえて意識的に摂取するという意味では、食べる際に意識する点があります。
ビタミンPは果物や野菜に含まれる物質です。中でも、柑橘系の果物には豊富に含まれていると言われています。ゆず、みかん、レモン、グレープフルーツの皮、袋、スジには多くの「ビタミンP」が入っています。そのため、みかんを食べる際にはスジを取らずに食べてみると良いでしょう。

ビタミンPの欠乏症(症状/対策)

ビタミンPが重要なことがわかりましたが、そんなビタミンP不足になってしまうとどうなってしまうのでしょうか。

なんとビタミンには珍しく、ビタミンPには欠乏症がないと言われています。これが「ビタミン様物質」と呼ばれている所以とも言われています。
ビタミンPが欠乏したから何か症状が生じるというよりも、他の栄養不足による体調不良が多いと言われています。

なので、ビタミンPに特化した栄養の摂取を意識するよりも、バランスの良い食生活を意識するのが良いでしょう。

ビタミンPの過剰症(症状/対策)

欠乏症と同様にビタミンPの過敏症はないと言われています。
ただ、サプリメント等でビタミンPに特化し過剰摂取した場合、どのような作用があるかは正確にはわかっていません。
適正量を守りつつ、摂取すると良いでしょう。

ビタミンPの研究情報

体に必要なビタミンPですが、現在でも多くの研究が行われていますので、その一部を紹介します。
(ビタミンPとしてではなく、フラボノイドとしての研究になります。)

心臓血管疾患

米国およびヨーロッパで行われたいくつかの前向きコホート研究で、食事からのフラボノイド摂取量の値と冠動脈心疾患リスクの関係が調査されました。フラボノイドの高摂取がCHDリスクの大きな減少と関連しているとする研究もありましたが、何の関係もないとする研究もありました。
多くの研究では、フラボノイドの豊富な食品の高摂取がCHDから体を守るのに役立つかもしれないと報告していますが、しかしながら、そのような保護性がフラボノイドによるのか、フラボノイドの豊富な食品に含まれるその他の栄養素や植物性化学物質によるものなのか、それとも食品全体によるものなのかは決定できていません。

参考文献
Geleijnse JM, Launer LJ, Van der Kuip DA, Hofman A, Witteman JC. Inverse association of tea and flavonoid intakes with incident myocardial infarction: the Rotterdam Study. Am J Clin Nutr. 2002;75(5):880-886.

Hertog MG, Feskens EJ, Kromhout D. Antioxidant flavonols and coronary heart disease risk. Lancet. 1997;349(9053):699.

Hirvonen T, Pietinen P, Virtanen M, et al. Intake of flavonols and flavones and risk of coronary heart disease in male smokers. Epidemiology. 2001;12(1):62-67. 

Knekt P, Kumpulainen J, Jarvinen R, et al. Flavonoid intake and risk of chronic diseases. Am J Clin Nutr. 2002;76(3):560-568.

Yochum L, Kushi LH, Meyer K, Folsom AR. Dietary flavonoid intake and risk of cardiovascular disease in postmenopausal women. Am J Epidemiol. 1999;149(10):943-949.

がん

肺がん、口腔がん、食道がん、胃がん、結腸がん、皮膚がん、前立腺がん、および乳がんの動物モデルで、化学的に誘発されたがんの発症を様々なフラボノイドが抑制することが報告されていますが、疫学的研究では食事由来のフラボノイドの高摂取がヒトのがんリスクの大幅な減少と関連しているという根拠のあるエビデンスは報告されていません。
そのため、特定のフラボノイドががんの予防や治療に有益であるかを決定する臨床試験が必要であるが、いくつかの臨床試験が進行中です。

参考文献
http://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/clinical-trials

神経変性疾患

日系アメリカ人男性の集団を25~30年間追跡した結果では、中年の頃に茶からフラボノイド摂取をしても、晩年のアルツハイマー病やその他の認知症リスクとの相関はなかったと報告されています。別の研究では、中年の頃にイソフラボンの豊富な豆腐の摂取が多いと、晩年の認知障害や脳萎縮と関連があったと報告されています。
最近行われた1,640人の年配の男女の研究で、食事由来フラボノイドの摂取が多い(13.6 mg/日より多い)者は、フラボノイド摂取の少ない(0~10.4 mg/日)者に比べて、研究開始時の認知行動能力がより高く、10年間にわたって加齢に関連する認知機能低下が有意に少なかったと報告されています。
多くの研究が行われている通り、加齢化する脳を保護するかもしれないフラボノイドに関心が持たれていますが、フラボノイドの摂取がヒトの神経変性疾患リスクにどのように影響するのか不明であり、今後も調査が必要と言われています。

参考文献
Laurin D, Masaki KH, Foley DJ, White LR, Launer LJ. Midlife dietary intake of antioxidants and risk of late-life incident dementia: the Honolulu-Asia Aging Study. Am J Epidemiol. 2004;159(10):959-967. 

White LR, Petrovitch H, Ross GW, et al. Brain aging and midlife tofu consumption. J Am Coll Nutr. 2000;19(2):242-255. 

Letenneur L, Proust-Lima C, Le Gouge A, Dartigues JF, Barberger-Gateau P. Flavonoid intake and cognitive decline over a 10-year period. Am J Epidemiol. 2007;165(12):1364-1371.

ビタミンPを摂取に気をつけるべき人(薬の飲み合わせ等)

ビタミンPとしては薬や他の栄養素との飲み合わせによって、副作用や何か悪いことが起きることはないと言われています。

しかし、ビタミンPはルチンやヘスペリジン、ケルセチンなどのフラボノイドの総称であるため、それぞれの成分がどう他の薬に影響を与えるかなど気になることがありましたら、かかりつけの医療機関に相談してください。

ビタミンPはサプリメントで意識的に摂取すべきか

これまでビタミンPの必要量や、含まれている食材について紹介してきましたが、そもそも私たちはきちんと必要なビタミンPを毎日摂ることができているのでしょうか。

ビタミンPはビタミンでありながら、欠乏症・過剰症がないビタミンです。
そのため、意識的にビタミンPをサプリメントで摂取する必要はないと言われています。


しかし、ビタミンPの作用やフラボノイドの可能性を見ると、定期的に摂取していきたいと思う方もいるかもしれません。
そういう場合は、サプリメントなどを上手く活用すると良いでしょう。

例えば、ビタミンPの一種であるヘスペリジンは「水に溶けにくく、体に取り入れるのが大変」という欠点をがあります。また、みかんやオレンジなどの果実に含まれていますが、含有量も少なく、未熟果の果皮に豊富なところなど、毎日多くの量を摂取するには難しい部分が多いと言われています。

そのため、サプリメントなど摂取しやすく加工されているもので摂取するのが良いでしょう。

ビタミンPと合わせて摂取すると効果的な栄養素

ビタミンPと意識して摂取すると良いと言われているのがビタミンCです。
そもそも自然界に存在するビタミンPはビタミンCとセットで存在することが多いと言われています。
ビタミンPの一種であるヘスペリジンは体中でビタミンCの働きを助けることで、健康や元気の巡りやバランスを整えたり、日々のイキイキとした活力の維持に寄与する働きを担っています。

このようにビタミンPはビタミンCの働きをサポートする役割が多いので、一緒に摂取することを意識してみると良いでしょう。

青汁でビタミンPは効率的に摂取可能か

先ほど、ビタミンPを食事から吸収できない時はサプリメント等で代用することを提案しましたが、サプリメントの代わりに青汁はどうでしょうか。

結論から話しますと青汁は効果的ではないです。
と言うのも、主に青汁に使われている緑黄色野菜にはあまりビタミンPは含まれておらず、ビタミンPを摂取する場合は、それに特化したサプリメントを選択した方が良いでしょう。

また、繰り返しになりますが、ビタミンPには欠乏症や過剰症がないと言われています。
そのため、ビタミンP摂取量に関して過剰に反応する必要はなく、普段からバランスの良い食事を心かけるのが一番良いでしょう。

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