【効果なし?】クレンズダイエットの嘘とホントを徹底リサーチしてみた

アメリカのハリウッドスターやセレブたちの間でブームになったクレンズダイエット。本当に効果があるのでしょうか。調べると賛否分かれる意見もあり、信じてよいか判断できない人が多いかもしれません。今回はクレンズダイエットについて、エビデンスを徹底リサーチしてみました。

クレンズとは?

「クレンズ」とは「浄化」または「洗う」という意味の「cleanse」という英語からきています。腸内を浄化するまたは腸内を洗うというような意味合いがあります。体を浄化するというところから、デトックス(解毒)するためにクレンズジュースを飲む美容・健康法として広まっています。

クレンズダイエットとは?

クレンズダイエットのルーツは、1940年代に原型が開発されていたようです。1970年代になって、スタンリー・ボローという自然療法士が著書で「マスタークレンズ」という断食法を紹介して認知されるようになりました。
マスタークレンズは3〜10日間、朝に塩水を飲み、その後レモネードを飲みます。断食期間が終わると、徐々に普通食に戻していくというメソッドです。それが原型になり、「クレンズドリンク」を食事に置き換えるという「クレンズダイエット」がハリウッドスターなどセレブの間で、短期間のうちに体重を落とすダイエット法として流行し、日本にも広がったという背景があります。

クレンズダイエットの方法

クレンズダイエットで使うクレンズドリンクは「コールドプレスジュース」と呼ばれます。コールドは「熱をかけない」という意味で、プレスは「圧搾(あっさく)」を意味します。市販のコールドプレスジュースもありますが、自宅で作ることもできます。自宅で作る場合には、低速回転のジューサーが必要になりますが高価なので、試しに始めてみる場合には市販のクレンズダイエット用ドリンクが手軽でおすすめです。

クレンズダイエットは消化管を休ませることを目的に一定期間断食を行い、その間に体内を解毒するというコンセプトです。
方法はまず準備期間として、体を慣らすために数日間は糖質・脂質・アルコールなどを避けて、消化管に負担があまりかからないヘルシーな食事を心がけます。
次にクレンズダイエットをスタートします。期間は1日から長くても7日程度までと言われていますが、推奨されているのは2−3日です。その期間はコールドプレスジュースだけで過ごします。この断食期間が終わったら、数日かけてスープやおかゆなど流動性のある食事から始めて、徐々に普通食に戻していきます。クレンズダイエット法の詳細は、後述します。

コールドプレスジュースはどんなもの?

コールドジュースの原材料は生の野菜やくだもので、低速回転のジューサーを使って作ります。生の野菜やくだものから作るといえば、従来のジューサーで作るジュースやミキサーで作るスムージと似ています。しかし低速回転のジューサーと一般的な高速回転のジューサーやミキサーとでは、異なる点があります。それは刃の回転速度の違いにより発生する「熱」です。高速回転するジューサーやミキサーは、モーターで発生した熱が刃から原材料に伝わることで栄養素が壊れてしまうことがあります。
低速回転のスロージューサーは発生する熱が比較的少ないので、壊れる栄養素が少ないと言われています。また野菜やくだものに含まれる酵素はタンパク質でできているので、熱がかからない方がタンパク質の変性も最小限に防ぐことができます。

コールドプレスジュースとスムージーの違い

熱の他、コールドプレスジュースとスムージーとの大きな違いは食物繊維の有無です。スムージーは野菜やくだものを丸ごとミキサーにかけるので、食物繊維が含まれています。しかしコールドプレスジュースは圧搾して作るため、食物繊維が取り除かれています。

コールドプレスジュースもスムージーもダイエットに使われますが、利用する目的が異なります。スムージーは毎日の生活に不足しがちな栄養素を補給するために利用します。日本人は食物繊維が不足しがちで、1日の摂取目標値が16歳以上の男性20g、女性18gに対し、16歳以上の男女の1日摂取量の中央値は13.7gです。*1 スムージーは食物繊維を含むので、不足を補うために良い飲み物といえます。食物繊維は腸内環境を整える働きもあり、ダイエットだけではなく美容と健康の維持にも効果的です。

一方、食物繊維を含まないコールドプレスジュースは腸内環境を整えるというのではなく、消化管を休める目的があります。消化管は毎日3食を消化吸収し、不要物を体外へ排出する役割を担っています。人間は食物繊維を消化することはできませんが、腸内細菌が利用して分解物を産生し、それを腸から体内に吸収します。食物繊維を含まないコールドプレスジュースを飲むことで、腸の活動を最小限に抑えることができます。

クレンズダイエットでデトックス

クレンズダイエットの考え方は、数日間固形の食事を断ち、コールドプレスジュースだけの摂取により消化器官を休め、デトックス効果を高めようというものです。
デトックスとは解毒のことをいいますが、「毒」とは体にとって有害な物質を意味し、私たちの体は普段の生活でも肝臓と腎臓で解毒を行っています。

デトックス用飲料を販売している会社の中には、固形物を摂取を断ってから「約36時間でデトックスが始まる」と説明するウェブサイトもあります。しかし36時間後からデトックス(解毒)が始まるという学術論文などは見当たらず、科学的根拠は不明です。また断食は栄養や水分の摂取を極度に制限するものであり、期間や方法によっては危険を伴うことがあるため、実施には細心の注意を払うことが必要です。

関連する学術論文

近年、米ウィスコンシン大学と米国立加齢研究所がアカゲザルへのカロリー制限の長期実験をしたところ、健康長寿に効果があったという共同の見解が発表しました。*2
このことは直ちにクレンズダイエットとデトックス、及びデトックスと健康長寿に結びつくものではありません。しかし食事を減らすことによるカロリー制限が、健康状態を改善するエビデンスの一つになり得ます。

それとは別に、カロリー制限が体重などに与える影響についての研究結果があります。継続的に摂取カロリーを制限するグループ、断続的に摂取カロリーを制限するグループ、対照としてカロリー制限をしないグループで体重などの推移を調べました。結果は断続的・継続的にカロリー制限をしたグループでは体重の減少はあったものの、両者に有意な差はありませんでした。*3
この結果からは、短期間の断食と継続してカロリー制限をするダイエット法は、いずれも体重減少の効果はあるものの、どちらがより効果的であるとまでは言えないことがわかります。つまり短期的にカロリー制限をするクレンズダイエットは、長期的なカロリー制限をするダイエット法に比べてダイエット効果が高いかは不明ということです。

デトックスとダイエットとの関係は?

断食に関してはまだまだ研究が不足しており、もともと体に備わっているデトックス作用(解毒作用)が断食によりさらに活発になると結論づけるエビデンスがないのが現状です。そのため先に紹介した2つの論文のように、できるだけ近い研究結果から推測するしかありません。
以上のことから現時点でクレンズダイエットの効果について言えることは、数日間の断食とコールドプレスジュースにより摂取カロリーが制限され、体重の減少が見込めることです。
しかし断食によりデトックスが活発になるかについては、不明と言わざるを得ません。

賛否分かれるクチコミがあるのはなぜ?

クチコミが賛否分かれる理由は、決定的な科学的根拠がないこともあり、間違った情報に基づく方法も混在している可能性があるためと考えられます。また他のダイエット法にも共通することですが、体質によっても合う方法が異なることも原因の一つといえるでしょう。

正しいクレンズダイエットの方法

クレンズダイエットは実施期間中、普通の食事はせずにコールドプレスジュースだけで一定期間過ごします。間違いやすいのは、クレンズダイエットに入る前後に準備期間と回復期間を設けずに、いきなりクレンズダイエットを実施してしまうことです。

クレンズダイエットは固形物を食べることができないため、空腹を強く感じます。またいきなりジュースしか飲まなくなると体に負荷がかかるため、体を慣らす期間を設けなくてはなりません。クレンズダイエットを終了するときも同じで、数日間ジュースや水しか飲まなかったのに、いきなり固形の食事で消化しにくいものを食べてしまうと、体に負担がかかります。そのため回復期間を設けて消化の良い消化管に負担をかけない食事で体を慣らす期間が必要です。

クレンズダイエットの期間は1〜7日までさまざまですが、体への負担を考えて2−3日に留めておくことが推奨されています。準備期間と回復期間は、クレンズダイエットでジュースだけ飲んでいた日数と同じだけの時間をかけます。クレンズダイエットを3日間行う場合には、準備期間と回復期間はそれぞれ3日間確保します。

クレンズダイエットの準備期間を設ける

クレンズダイエットを始める前の準備期間は数日かけて、徐々にジュースだけの生活に慣れるような食事にしていきます。初日は脂質やタンパク質を控え、野菜中心で消化の良いものを摂ります。最終目には柔らかく煮た野菜スープやスムージーなど、流動食に近く消化しやすい食事だけで過ごします。

この期間中に摂ってはいけないものは、お酒やカフェインの入った飲み物、パンやパスタなどの炭水化物が多い食品、お肉や揚げ物など脂質の多い食品です。うっかり摂取してしまいそうになるのはヨーグルトや牛乳などの乳製品。これらは脂質を多く含むので摂らないようにしましょう。牛乳の代わりに豆乳なら使えます。

クレンズダイエット期間

クレンズダイエットでは、コールドプレスジュースだけを1日に2Lほどを5回程度に分けて摂取します。ただし回数はあくまでも目安であり、それほど回数にこだわる必要はなく、お腹が空いた時に適宜摂ることが望ましいようです。

期間中は通常の食事はもちろん、カフェインの入ったコーヒーや紅茶も飲めませんし、塩や砂糖などを加えることも禁じられています。とても厳しいダイエットなので、体調が良くない時や投薬中の人は行わないでください。

クレンズダイエット終了後は回復期間を設ける

クレンズダイエット終了後、いきなり通常の食事に戻るとリバウンドしてしまうので要注意です。せっかく我慢した数日間が無駄になってしまうばかりか、断食により体は飢餓に備えて脂肪を蓄えやすくなっています。断食終了後は、炭水化物(糖質)や脂質などをいきなり普段通り摂らないように気をつけましょう。

回復期1日目には食物繊維も含むスムージーのような流動食がベストです。次第に固形物に慣らしつつ、脂質やタンパク質も徐々に取り入れるようにしましょう。炭水化物(糖質)は野菜や果物にも含まれるので、パンなど炭水化物を多く含む食材は摂らないよう注意が必要です。

お酒やカフェインも回復期間では避け、ノンカフェインの紅茶やコーヒー、またはハーブティーを選びましょう。牛乳などの乳製品も準備期間と同じく摂らないよう気をつけてください。

良い結果が出せるダイエットの基本的考え方

クレンズダイエットはハリウッドスターやセレブの間でブームになり、数日で美しく痩せた姿を目にすることで、手軽に痩せられる方法という認識が広まったと思います。
しかしクレンズダイエットは数日間コールドプレスジュースだけを飲むという、過酷なダイエットであることと体への負担も大きく、正しい方法で行わなければ良い結果が出せないという情報もたくさんあります。

良い結果が出せるダイエットの基本は、体の健康を第一に考えることです。必要な栄養素を知り、栄養不足に陥った時の体がどのように変化するのかも、ダイエットをする上で役に立つ知識です。ダイエットで健康を損なうのは本末転倒ですので、単に食事量を減らすなど「食べない」ことだけで痩せようとしないことが大事です。

自分に合ったダイエット方法を見つける

ダイエットの方法は今回紹介したクレンズダイエット以外にもたくさんあります。結果が出せるダイエット選びはダイエットを行うことと同じくらい大事です。一人ひとり性格やライフスタイルなどが異なり、苦手なこと・得意なことも異なります。
事例だけ見て効果がありそうなダイエット法を試すよりも、「これならできそう」と感じるダイエット法から試してみると、自分に合ったダイエット法に出会えるかもしれません。強いストレスも、ダイエット効果に悪い影響を及ぼすからです。

(参考文献)

*1: 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書 炭水化物 | 厚生労働省

*2: Caloric restriction improves health and survival of rhesus monkeys (Nat Commun. 2017 Jan 17;8:14063)

*3: Effects of intermittent and continuous calorie restriction on body weight and metabolism over 50 wk: a randomized controlled trial (The American Journal of Clinical Nutrition, Volume 108, Issue 5, November 2018, Pages 933–945)

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