【モリブデンの効果効能】多く含む食品・摂取量基準・研究情報について

7大栄養素とよばれる炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、ファイトニュートリエント。その中のミネラルと言えば、血液に必要な鉄、骨や歯をつくるカルシウムを思い浮かべる人も多いかと思います。

最近では、不足しがちなミネラルを補うサプリメントなどをコンビニ等で見かけることも多くなりました。

そんなミネラルの一種であるモリブデン。
馴染みがない栄養素かもしれませんが、これも人間の体には必須な栄養素です。

今回はそんなモリブデンについて、モリブデンの役割、どれくらい毎日摂れば良いのかなどについて話していきたいと思います。

モリブデンとは

モリブデンは原子番号42、元素記号は Mo でクロム族元素の1つです。

金属として使用されることが多く、金属のなかで5番目に融点が高く、熱膨張率が低く、高温の環境下でも形状安定性がきわめて高いのが特徴です。
また、比較的大きな電気抵抗を持つため、高温炉のヒーターや照明の電極用として多くの製品に使われています。

栄養素としてのモリブデンは、人の体では肝臓や腎臓に多く存在し、量は微量ですが必要なミネラルです。鉄分の働きを高め、造血に関わる作用があることから、「血のミネラル」とも言われています。

モリブデンの効果効能・体内における作用や役割

モリブデンは様々な働きに関わっています。
ここでは体内でのモリブデンの役割をまとめてみました。

尿酸の代謝

痛風の原因となるプリン体。食事などから摂取したヒポキサンチンやキサンチンを無毒な尿酸への反応をモリブデンが触媒することによって、プリン体の無毒化への役割をになっております。

鉄分の利用

血液中の赤血球を構成する主な成分は鉄です。しかし、鉄だけでは赤血球を生産することはできず、さまざまな栄養素が必要になります。そのうちの一つがモリブデンで、モリブデン不足になると赤血球の生産ができなくなり、貧血を引き起こすとも言われています。

酵素の構成成分

モリブデンは亜硫酸オキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、アルデヒドオキシダーゼなどの補酵素中に存在しており、有害成分の無毒化、排泄など代謝に係る重要な役割をになっています。

モリブデンはどういった時、意識して摂取するべきか

体内での様々な反応にモリブデンが必須であることがわかったかと思います。
そんなモリブデンですが、どんな時に意識して摂取すればいいのでしょうか。

妊婦

妊娠中に通常よりも追加で必要となるモリブデン量に関して、それを推定し得るデータは存在しませんが、母乳中にモリブデンが含まれていることから同年齢の女性よりはモリブデンの必要量が多くなると言われています。

しかし、現代の日本での食生活では特に不足する心配はないとも言われいますので、特別意識してモリブデンを摂取するのではなく、バランスの良い食生活を継続することが大事になると言われています。

モリブデンの欠乏症(症状/対策)

そんな体にとって必須なミネラル、モリブデンが欠乏してしまうとどうなってしまうのでしょうか。症状や対策についてまとめてみました。

基本的に現代の日本では、モリブデン欠乏症になることはないと言われています。

先天的にモリブデンの遺伝性の欠乏症および摂取不足による欠乏症が報告されていますがまれであり、長期間TPN(中心静脈栄養)を受けている患者にも生じたケースが報告されています。

症状としては、頻脈、頻呼吸、頭痛、悪心、嘔吐、および昏睡などがあり、モリブデンを投与することで速やかな回復が認められました。

モリブデンの過剰症(症状/対策)

逆に体内でモリブデンが過剰になってしまったという報告はほぼありません。

1961年にモリブデン中毒の症例が発生した可能性があるとの報告があります。その時は、痛風様症状、ならびに消化管、肝臓、および腎臓の異常が起こったと言われています。

モリブデンの研究情報

そんなモリブデンですが、多くの研究が行われていますので、その一部を紹介します。

慢性疾患の治療薬

モリブデンが体内の硫黄と反応することで、血中の銅の値を減らす作用が働き、その結果ウィルソン病やがん、多発性硬化症の治療薬になるのではと期待され、多くの研究が行われています。

腎臓がん患者15名にモリブデンを40 mg/日投与し、症状が安定するかの研究が行われました。投与開始後すぐに血中の銅の値が急速に減少し、4名の患者は平均して34週間の間、症状が安定し生活することができたと報告されています。

参考文献

George J Brewer, Fred Askari, Robert B Dick, Julia Sitterly, John K Fink, Martha Carlson, Karen J Kluin, Matthew T Lorincz.Transl Res. 2009 Aug;154(2):70-7.Treatment of Wilson’s disease with tetrathiomolybdate: V. Control of free copper by tetrathiomolybdate and a comparison with trientine

Bruce G Redman, Peg Esper, Quintin Pan, Rodney L Dunn, Hero K Hussain, Thomas Chenevert, George J Brewer, Sofia D Merajver.Clin Cancer Res
. 2003 May;9(5):1666-72.Phase II trial of tetrathiomolybdate in patients with advanced kidney cancer

細かな作用機序を含め、現在も研究が行われています。

モリブデンを摂取に気をつけるべき人(薬の飲み合わせ等)

モリブデンのサプリメント摂取する際に、特別薬との飲み合わせで注意が必要と言われているものはありません。

しかし、モリブデン単体のサプリメントはほぼ存在しておらず、マルチミネラル等で摂取するかと思いますので、モリブデン以外の栄養素と飲み合わせがある場合があるので、サプリメントを服用している場合はかかりつけの医療機関にはきちんと報告する必要があると言われています。

モリブデンの1日摂取量の目安(年齢別)

モリブデンの効果について説明しましたが、1日どれくらいのモリブデンを摂ればいいのでしょうか。厚生労働省が発表しています「日本人の食事摂取基準」というものを見ていきましょう。

モリブデンの食事摂取基準(μg/日)

  男性 女性
年齢等 推定平均必要量 推奨量 推定平均必要量 推奨量
1~2(歳) 10 10 10 10
3~5(歳) 10 10 10 10
6~7(歳) 10 15 10 15
8~9(歳) 15 20 15 15
10~11(歳) 15 20 15 20
12~14(歳) 20 25 20 25
15~17(歳) 25 30 20 25
18~29(歳)  20 30 20 25
30~49(歳)  25 30 20 25
50~64(歳)  25 30 20 25
65~74(歳) 20 30 20 25
75~(歳) 20 25 20 25

参照:厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020年版)

モリブデンを多く含む食品上位20位

モリブデンの効果や1日の必要量がわかったところで、具体的にどのような食品にモリブデンが多く含まれるかを紹介します。

順位食品名成分量(μg/100g)
1いり大豆 青大豆800
2全粒 ブラジル産 黄大豆 乾600
3きな粉 全粒大豆 青大豆450
4りょくとう 全粒 乾410
5きな粉 全粒大豆 黄大豆380
6ささげ 全粒 乾380
7らいまめ 全粒 乾380
8きな粉 脱皮大豆 黄大豆370
9全粒 国産 黄大豆 乾350
10全粒 国産 黒大豆 乾350
11全粒 米国産 黄大豆 乾300
12いり大豆 黄大豆290
13糸引き納豆290
14青えんどう 乾280
15赤えんどう 乾280
16湯葉 干し 乾270
17そらまめ 全粒 乾260
18いり大豆 黒大豆240
19えだまめ 生240
20えだまめ 生220

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

モリブデンを多く含む野菜上位10位

次に野菜類に特化し紹介します。

順位食品名成分量(μg/100g)
1えだまめ 生240
2えだまめ 冷凍190
3そらまめ 未熟豆 生150
4グリンピース 冷凍70
5グリンピース 生65
6らっかせい 未熟豆 生58
7りょくとうもやし 生55
8パセリ 葉 生39
9ケール 葉 生38
10いんげんまめ さやいんげん 若ざや 生34

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

モリブデンを多く含む魚類/肉類上位10位

次に魚類/肉類に特化し紹介します。

順位食品名成分量(μg/100g)
1豚肉 肝臓 生120
2牛肉 肝臓 生94
3鶏肉 肝臓 生82
4豚肉 腎臓 生72
5牛肉 腎臓 生43
6あわび 生 13
7鶏肉 つくね12
8あさり 生9
9鶏肉 チキンナゲット7
10豚肉 ヒレ 赤肉 とんかつ6

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

モリブデンを多く含む穀類上位10位

最後に穀類に特化し紹介します。

順位食品名成分量(μg/100g)
1玄米粉120
2えんばく オートミール110
3穀類混合品 五穀81
4そば粉 表層粉77
5上新粉77
6半つき米76
7七分つき米73
8精白米 うるち米69
9アルファ化米 学校給食用強化品69
10アルファ化米 一般用69

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

モリブデンはサプリメントで意識的に摂取すべきか

これまでモリブデンの必要量や、含まれている食材について紹介してきましたが、そもそも私たちはきちんと必要な亜鉛を毎日摂ることができているのでしょうか。

詳細なデータはありませんが、現代の日本人のほとんどはモリブデンが足りていると言われています。
欠乏症、過剰症ともに日本ではほとんど報告されておらず、過度な食事制限や何かしらの基礎疾患を持っていない限り、特別気にする必要はないと言われています。

どうしても食事制限をしないといけない時などは、他の栄養も不足していることが考えられるため、マルチミネラル等で代用することで欠乏症は防げると言われていますので、選択肢に加えてみると良いでしょう。また、基礎疾患で栄養不足が気になる場合は、かかりつけの医療機関に相談してみると良いでしょう。

しかし、モリブデンのみの補給に特化したサプリメントはほぼないので、マルチミネラルを選ぶことになるかと思いますが、食生活の改善で解決することがほとんどなので、日々の食生活を見直すのが一番だと言われています。

モリブデンと合わせて摂取すると効果的な栄養素

一般的にミネラルを摂取する時は他のミネラルと一緒に摂取することで、吸収を助けたり、お互いの作用を強化する働きがあると言われています。

モリブデンも同様に他のミネラルと一緒に摂ると良いと言われていますが、特別この栄養素と一緒に摂ると良いという報告はありません。
しかし、インスタント食品・加工食品にはモリブデンの吸収を阻害するリンが多く含まれているので、食べすぎには注意が必要と言われています。

モリブデンの栄養摂取を考えるのではなく、普段の食事がバランスよく摂れているかを考えてみると良いでしょう。

青汁でモリブデンは効率的に摂取可能か

先ほど、モリブデンの欠乏が心配される場合や過度の食事制限を行う場合に、サプリメントを利用するということを紹介しましたが、サプリメントの代わりに青汁はどうでしょうか。

結論から話しますと、青汁は効果的ではありません。
青汁に使われている緑黄色野菜にはそこまで多くのモリブデンが含まれていないからです。


繰り返しになりますが、日本ではモリブデンの欠乏症や過剰症はほぼ起こり得ないと考えられており、日々バランス良い食生活を心がけることが一番だと言われています。

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