【クロムの効果効能】多く含む食品・摂取量基準・研究情報について

炭水化物、脂質、たんぱく質と呼ばれる3大栄養素。そこにビタミン、ミネラルが加わり5大栄養、さらに食物繊維、ファイトニュートリエントが加わり7大栄養素と呼ばれるようになりました。

栄養素に関する多くの研究が行われることで、体に必要と考えられている栄養素が増えてきています。そんな栄養素の中でもミネラルは特に体内での合成できず、食事から取り続けることが必須と言われています。
そんな必須栄養素、ミネラルの一種であるクロム。

正直馴染みがない栄養素かもしれません。しかし、糖尿病、高脂血症の治療予防効果があるのではと期待されたり、注目の栄養素でもあります。

今回はそんなクロムについて、クロムの役割、どれくらい毎日摂れば良いのかなどについて話していきたいと思います。

クロムとは

クロムは原子番号24、元素記号は Cr のクロム族元素の一つです。
別名クロニウムとも言われています。

金属として工業的に用いられることが多い元素です。

光沢があること、硬いこと、耐食性があることが特徴でそれらを利用したクロムメッキとしての用いられることが多いです。また、鉄とニッケルと10.5%以上のクロムを含む合金はステンレス鋼と呼ばれ、ほとんど錆を生じないため車両や機械といった重工業製品から流し台、包丁などの台所用品まで幅広い用途があります。

また、クロムにも種類があり、主に単体、3価イオン、6価イオンが知られていて、単体、3価イオンは毒性はないことが知られています。ステンレスなどの工業製品として出回っているものの中に含まれているクロムは毒性を持たず、3価イオンのクロムは人体の必須栄養素でもあります。6価イオンのクロム化合物は毒性が高く、金属に使用された場合、土壌汚染などの問題があり、近年はほぼ使われていません。また、4価イオンのクロム化合物はWHOの下部機関IARCより発癌性があるとType1の勧告が出ています。

もともとクロムは体内に吸収されにくいミネラルであるが、穀物を精製するとクロムが大幅に失われてしまう問題が存在していました。例えば、小麦粉の場合、精白すると約98%のクロムが失われ、米を精米すると92%のクロムが失われると言われています。

クロムの効果効能・体内における作用や役割

クロムは様々な働きに関わっています。
ここでは体内でのクロムの役割をまとめてみました。

糖代謝、脂質代謝、たんぱく質代謝

エネルギー代謝において、糖質の代謝に必要な酵素の活性にクロムが必要だと言われています。また、脂質代謝においては脂肪酸やコレステロールの合成を促進する働きをクロムがになっているため、必要な栄養素だと言われています。

血糖値を正常に保つ

詳細な作用機序は現在も研究が進められていますが、クロムがインスリン受容体の感受性を高めることで、インスリンの作用増強に伴う血糖値の減少、正常に保つ役割をになっているのではないかと言われています。

クロムはどういった時、意識して摂取するべきか

体内での様々な反応にクロムが必須であることがわかったかと思います。
そんなクロムですが、どんな時に意識して摂取すればいいのでしょうか。

糖尿病、高脂血症を予防・改善

現在多くの研究が行われていて、糖尿病、高脂血症を予防・改善したい人に取っては重要な栄養素であることが報告されていますが、実際どのくらいの量を摂取すれば良いのか、具体的な効果効能はどうなのかといったことは研究中です。

また、肥満や体質改善の効果も研究が行われていますが、実証されていないのが現状です。

最低限必要なクロムは日々の食生活で十分摂れているとも言われているので、研究が進むにつれてよりクロムの重要性が明らかになることが期待されています。

クロムの欠乏症(症状/対策)

そんな体にとって必須なミネラル、クロムが欠乏してしまうとどうなってしまうのでしょうか。症状や対策についてまとめてみました。

クロム欠乏症は先進国ではまれで、静脈からの栄養補給(完全静脈栄養)を長期間使用した場合に生じることがあると言われています。
現在は完全静脈栄養剤にもクロムは含まれていますが、注意が必要と言われています。

症状

症状には体重減少、錯乱、協調運動障害、血液中のグルコースに対する反応低下、またこれにより糖尿病のリスクが増加するなどが報告されています。

治療

クロム欠乏症の治療にはクロムのサプリメントが用いられることがあります。

クロムの過剰症(症状/対策)

逆に体内でクロムが過剰になってしまった場合もまとめてみました。

基本的にクロムの過剰症になるケースはあまり報告されていません。

しかし、工場などで工業用のクロムを扱っている場合にまれに起こることが報告されています。その場合、クロムは皮膚、鼻の軟骨、肺、消化管を刺激することがあると言われ、肺がんを発生させることもあると報告されています。

クロムの研究情報

そんなクロムですが、多くの研究が行われていますので、その一部を紹介します。

耐糖能異常と2型糖尿病予防

2型糖尿病では、膵臓は通常十分なインスリンを産生しているが、何らかの理由によって、体内で効率的にインスリンを利用することができなくなることが原因で高血糖状態になると考えられています。

また、2型糖尿病が発症する一般的な原因の一つに、特に肥満の場合に、筋肉や他の組織を構成している細胞がインスリンの作用に抵抗を示すようになることであげられています。インスリンはブドウ糖をほぼすべての細胞に運ぶ役割をしている。そしてブドウ糖は細胞内でエネルギーに利用され、肝臓と筋肉でグリコーゲンとして蓄えられ、多いときは脂肪に変換される。インスリン抵抗性があると、血糖値が正常値よりも高くなってしまう高血糖症になると考えられています。
クロム欠乏症では、体に必要なエネルギーを作り出すためにブドウ糖を利用する能力を阻害し、インスリン必要量を増加させることが報告されています。そのため、2型糖尿病患者もしくは、発症するリスクが高い人のブドウ糖とインスリンの反応をコントロールするのに、クロムの補給が有用であると言われています。

実際に耐糖能異常を持つ患者を対象としたいくつかの試験で、クロムの補給がブドウ糖消費の値を向上させたり、血中脂質動態に有益な効果があることが報告されました。

一般的に、多様な形でのクロムの補給を約200 μg/日の用量で2~3ヶ月行うことが糖尿病患者にとって有効であることが報告されています。また、いくつかの研究における効果のバラ付きや効果がなかった理由ははっきりしていないが、クロムの欠乏のみが耐糖能異常の原因ではないと考えられています。

参考文献
Mertz W. Chromium in human nutrition: a review. J Nutr. 1993;123(4):626-633.

脂質代謝

アテローム性動脈硬化症患者、高コレステロール患者、そしてこれらの疾患治療に心血管治療薬であるβ-遮断薬を使用している患者を対象にしたいくつかの研究で、150~1,000 µg/日でクロムを摂取した群では、総コレステロールとLDLコレステロールと中性脂肪の値が減少し、HDLコレステロールの値が増加したと報告されています。

しかし、他の研究ではクロムの効果が実証されていない場合もあり、研究結果に一貫性がないのは、試験開始時における患者のクロムの状態を正確に測定するのが困難であることと、血中脂質濃度に影響を及ぼす食事的な要因を、研究者がコントロールできていないことに一因があるかもしれないと考えられています。

参考文献
Roeback Jr. JR, Hla KM, Chambless LE, Fletcher RH. Effects of chromium supplementation on serum high-density lipoprotein cholesterol levels in men taking beta-blockers. A randomized, controlled trial. Ann Intern Med 1991;115:917-24.

Abraham AS, Brooks BA, Eylath U. The effects of chromium supplementation on serum glucose and lipids in patients with and without non-insulin-dependent diabetes. Metabolism 1992;41:768-71.

Hermann J, Arquitt A. Effect of chromium supplementation on plasma lipids, apolipoproteins, and glucose in elderly subjects. Nutr Res 1994;14: 671-4.

クロムを摂取に気をつけるべき人(薬の飲み合わせ等)

一部、クロムのサプリメントを服用する場合に注意が必要な場合があるので、まとめてみました。

制酸薬、副腎皮質ステロイド、H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬

胃の酸性度が変化することで、クロムの吸収が阻害もしくは排出が促進されることがあるので、注意が必要です。

β-遮断薬、副腎皮質ステロイド、インスリン 、ニコチン酸、NSAIDS

クロムと併用すると薬剤の作用が増強し副作用の可能性、もしくはクロムの吸収が促進されることがあるので、注意が必要です。

今回は一部紹介しましたが、他にも気になることがあれば、かかりつけの医療機関にて相談をしてみましょう。

クロムの1日摂取量の目安(年齢別)

クロムの効果について説明しましたが、1日どれくらいのクロムを摂ればいいのでしょうか。厚生労働省が発表しています「日本人の食事摂取基準」というものを見ていきましょう。

クロムの食事摂取基準(μg/日)

男性女性※
年齢等目安量目安量
1~2(歳)
3~5(歳)
6~7(歳)
8~9(歳)
10~11(歳)
12~14(歳)
15~17(歳)
18~29(歳) 1010
30~49(歳) 1010
50~64(歳) 1010
65~74(歳)1010
75~(歳)1010

参照:厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020年版)
※1歳〜17歳に関し、摂取量に関する十分な報告がないため、目安量は設定しなかった。

クロムを多く含む食品上位20位

クロムの効果や1日の必要量がわかったところで、具体的にどのような食品にクロムが多く含まれるかを紹介します。

順位食品名成分量(μg/100g)
1あおさ 素干し160
2バジル 粉47
3あおのり 素干し39
4てんぐさ 粉寒天39
5パセリ 乾38
6パプリカ 粉33
7刻み昆布33
8こしょう 黒 粉30
9きくらげ 乾27
10ひじき ほしひじき ステンレス釜 乾26
11ひじき ほしひじき 鉄釜 乾26
12あまに いり25
13ミルクチョコレート24
14カレー粉21
15さんしょう 粉21
16紅茶 茶18
17とうがらし 粉17
18精白米 もち米16
19さらしあん14
20シナモン 粉14

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

クロムを多く含む野菜上位10位

次に野菜類に特化し紹介します。

順位食品名成分量(μg/100g)
1かんぴょう 乾5
2パセリ 葉 生4
3たかな 葉 生4
4切干しだいこん 乾3
5リーフレタス 葉 生3
6みずな 葉 生3
7ひろしまな 葉 生3
8しそ 葉 生2
9しょうが 漬物 甘酢漬2
10ほうれんそう 葉 冬採り 生2

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

クロムを多く含む魚類/肉類上位10位

次に魚類/肉類に特化し紹介します。

順位食品名成分量(μg/100g)
1さざえ 生6
2まさば 焼き6
3まさば 水煮6
4あわび 生5
5かき 養殖 水煮4
6かき 養殖 生4
7牛肉 リブロース 脂身つき 焼き4
8鶏肉 つくね4
9あさり 生4
10牛肉 焼き3

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

クロムを多く含む穀類上位10位

最後に穀類に特化し紹介します。

順位食品名成分量(μg/100g)
1精白米 もち米16
2アマランサス 玄穀7
3即席中華めん 油揚げ7
4そば粉 表層粉6
5玄米粉6
6プレミックス粉 から揚げ用6
7米ぬか5
8プレミックス粉 ホットケーキ用5
9そば粉 全層粉4
10ビーフン4

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

クロムはサプリメントで意識的に摂取すべきか

これまでクロムの必要量や、含まれている食材について紹介してきましたが、そもそも私たちはきちんと必要な亜鉛を毎日摂ることができているのでしょうか。

詳細なデータはありませんが、現代の日本人のほとんどはクロムが足りていると言われています。
ほとんどの食事にクロムは含まれているため、過度な食事制限を含むダイエットや静脈からの栄養補給を長期使用した場合を除き、基本的には足りていると言われています。

どうしても食事制限をしないといけない時などは、他の栄養も不足していることが考えられるため、マルチミネラル等で代用することで欠乏症は防げると言われていますので、選択肢に加えてみると良いでしょう。

しかし、クロムのみの補給に特化したサプリメントはほぼないので、マルチミネラルを選ぶことになるかと思いますが、食生活の改善で解決することがほとんどなので、日々の食生活を見直すのが一番だと言われています。

クロムと合わせて摂取すると効果的な栄養素

一般的にミネラルを摂取する時は他のミネラルと一緒に摂取することで、吸収を助けたり、お互いの作用を強化する働きがあると言われています。

クロムは他のミネラルと一緒に摂取するのも良いのですが、ビタミンCとも一緒に摂取するとより良いでしょう。

理由として、クロムはビタミンCと一緒にとると吸収率が上がるからです。
さざえやあわびの蒸し焼きた生牡蠣にレモンが添えてあるお店も多いと思います。香りや味だけではなく、栄養のことも考えられた組み合わせだと言われていますので、積極的に組み合わせてみると良いでしょう。

青汁でクロムは効率的に摂取可能か

先ほど、クロムの欠乏が心配される場合、サプリメントを利用するということを紹介しましたが、サプリメントの代わりに青汁はどうでしょうか。

結論から話しますと、青汁は効果的ではありません。
青汁に使われている緑黄色野菜にはそこまで多くのクロムが含まれていないからです。


過度な食事制限や疾患により食事摂取が難しい、偏っている場合を除き、基本的には現代の食生活で十分な量が摂れていると言われています。

サプリメントの補充も効果的ですが、規則正しくバランスの取れた食生活を心がけていくことも大事になります。

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