【マンガンの効果効能】多く含む食品・摂取量基準・研究情報について

炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、ファイトニュートリエント。これらは7大栄養素とよばれ、人の成長や健康維持には欠かせない栄養素です。

7大栄養素の一種であるミネラルは、体内でつくることができないため、食べ物などから摂取する必要があります。不足した場合は欠乏症やさまざまな不調が発生しますが、摂りすぎた場合にも過剰症や中毒を起こすものがあります。

そんな体にとって必須なミネラルの一種であるマンガン。
マンガン電池と言われてピンとくる人も多いかもしれませんが、体内でも重要な役割をになっています。

今回はそんなマンガンについて、マンガンの役割、どれくらい毎日摂れば良いのかなどについて話していきたいと思います。

マンガンとは

マンガンは原子番号25、元素記号は Mn です。

マンガンの一番有名な用途として、二酸化マンガンとして、マンガン乾電池やアルカリ乾電池の正極に使われています。中学や高校の理科の実験で使用したことがある人が多いかと思います。

マンガン単体が金属材料として用いられることはほとんどなく、合金として、マンガン鋼の原料や、フェロマンガンとして鋼材の脱酸素剤・脱硫黄剤などに使用される。鉄鋼用途で耐磨耗性、耐食性、靭性を付加するために、マンガン合金(フェロマンガン)や金属マンガンとしてマンガン分が添加され、使用されています。

また、硫酸マンガンなどの化合物は肥料としても用いられています。

このようにマンガンは合金や化合物として日々の生活に欠かせない元素ですが、体内でも多くの役割をになっていて、無くてはならない存在です。

マンガンの効果効能・体内における作用や役割

ここで体内でのマンガンの役割をまとめてみました。

骨の形成

マンガンが金属酵素として働く、グリコシルトランスフェラーゼと呼ばれる酵素が骨形成時のタンパク合成に必須となっています。

糖質および脂質の代謝

アミノ酸,タンパク質代謝,脂質代謝に関与している酵素の構成成分となっています。

抗酸化作用のある酵素

体内で抗酸化作用のある酵素であるグルタミンシンセターゼ,ピルビン酸カルボキシラーゼによるマンガンスーパーオキシドジスムターゼなどの構成成分となっています。

このようにマンガンは体内で様々な反応に関わる重要な元素となります。

マンガンはどういった時、意識して摂取するべきか

体内での様々な反応にマンガンが必須であることがわかったかと思います。
そんなマンガンですが、どんな時に意識して摂取すればいいのでしょうか。

現代の食生活では、特に意識してマンガンを摂取する必要はないと考えられています。

マンガンは多くの食材に含まれているため、普段の食生活ではマンガンが不足することはないと言われています。体内での様々な反応、酵素に必須ではありますが、体内でもある程度貯蔵され、日常的に摂取できる量であれば十分と言われているためです。

マンガンの欠乏症(症状/対策)

そんな体にとって必須なミネラル、マンガンが欠乏してしまうとどうなってしまうのでしょうか。症状や対策についてまとめてみました。

結論、人でのマンガン欠乏症は滅多に起きないと言われています。
というのも多くの食材にマンガンは含まれていて、現代の食生活では不足することはないと考えられているからです。

症状

マンガンが欠乏してしまうと、血糖値の上昇、血中脂肪酸の上昇、骨などの発育不全、傷の治癒が遅い、糖尿病や性機能の低下、動脈硬化、麻痺、けいれん、めまい、難聴、運動障害などの症状があらわれることがあると報告されています。

原因

現代の食生活では基本起こらないと言われていますが、食事から摂取したマンガンは腸から吸収されるため、腸などに何かしら疾患があり、吸収ができない人ではマンガン欠乏症が起こる可能性があると言われています。

また、マンガンは鉄の吸収と競合することが知られているため、サプリメント等で鉄を必要以上に摂取した場合、マンガンの吸収を阻害することとなり、不足する可能性があるとも考えられています。

治療

偏った食生活によるマンガン不足の場合は食生活の見直しを、何かしらの疾患等でマンガンの吸収ができない場合などは、サプリメントや点滴等で補うことが推奨されています。

マンガンの過剰症(症状/対策)

逆に体内でマンガンが過剰になってしまった場合もまとめてみました。

健康な人では、マンガンの過剰摂取に伴う症状はほぼないと言われています。

しかし、欠乏症のところでも述べましたが、鉄との吸収と競合するため、マンガンの過剰摂取に伴い鉄の欠乏症になる可能性があると言われています。

鉄の欠乏症

一番多いものに鉄欠乏性貧血というものがあります。
鉄不足に伴い、体内で酸素を運ぶ赤血球の生成が不十分となり、貧血になるというものです。
基本的にはサプリメントなどで鉄を補充すれば治癒できると言われています。

マンガン中毒

マンガンを含む金属合成過程で勤務されている方で稀にマンガン中毒となる方が報告されています。
それらの多くが経気道吸収によるマンガンの過剰摂取が原因です。マンガン中毒では、強い精神障害やパーキンソン病に似た中枢神経系障害、マンガン肺炎が起こることが報告されています。

マンガンを摂取に気をつけるべき人(薬の飲み合わせ等)

また一部、マンガンのサプリメント等を服用する場合に注意が必要な場合があるので、まとめてみました。

鉄のサプリメントとの併用

欠乏症の項目でもお話ししましたが、マンガンと鉄は吸収時に競合するため、お互いに過剰摂取に気をつける必要があります。

経腸栄養剤

マンガンは腸から吸収されるため、腸に何かしらの疾患がある場合などではマンガンが吸収できない可能性があります。そのような疾患の場合、経腸栄養剤などで栄養を補充しているケースが多いかと思いますので、注意が必要です。

ただし、基本的に医師が栄養状態を考慮した薬剤を処方してくれるので、しっかり処方通りの薬剤を摂取することが大事になってきます。

一部紹介しましたが、これ以外にも何か気になることがあれば、かかりつけの医療機関にて相談をしてみましょう。

マンガンの1日摂取量の目安(年齢別)

マンガンの効果について説明しましたが、1日どれくらいのマンガンを摂ればいいのでしょうか。厚生労働省が発表しています「日本人の食事摂取基準」というものを見ていきましょう。

マンガンの食事摂取基準(mg/日)

男性女性※
年齢等目安量目安量
1~2(歳)1.51.5
3~5(歳)1.51.5
6~7(歳)2.02.0
8~9(歳)2.52.5
10~11(歳)3.03.0
12~14(歳)4.04.0
15~17(歳)4.53.5
18~29(歳) 4.03.5
30~49(歳) 4.03.5
50~64(歳) 4.03.5
65~74(歳)4.03.5
75~(歳)4.03.5

参照:厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020年版)

マンガンを多く含む食品上位20位

マンガンの効果や1日の必要量がわかったところで、具体的にどのような食品にマンガンが多く含まれるかを紹介します。

順位食品名成分量(mg/100g)
1せん茶 茶55
2シナモン 粉41
3しょうが 粉28
4紅茶 茶21
5あおさ 素干し17
6米ぬか14.97
7あおのり 素干し13
8バジル 粉10
9はす 成熟 乾8.25
10けし 乾6.88
11パセリ 乾6.63
12こしょう 黒 粉6.34
13きくらげ 乾6.18
14アマランサス 玄穀6.14
15ヘーゼルナッツ フライ 味付け5.24
16しょうが 根茎 生5.01
17カレー粉4.84
18こしょう 白 粉4.45
19かぼちゃ いり 味付け4.39
20凍り豆腐 乾4.32

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

マンガンを多く含む野菜上位10位

次に野菜類に特化し紹介します。

順位食品名成分量(mg/100g)
1しょうが 根茎 生5.01
2しそ 葉 生2.01
3かんぴょう 乾1.60
4モロヘイヤ 茎葉 生1.32
5みょうが 花穂 生1.17
6えだまめ 冷凍1.12
7パセリ 葉 生1.05
8ゆりね りん茎 生0.96
9れんこん 根茎 生0.78
10らっかせい 未熟豆 生0.75

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

マンガンを多く含む魚類/肉類上位10位

次に魚類/肉類に特化し紹介します。

順位食品名成分量(mg/100g)
1かき 養殖 生0.38
2鶏肉 肝臓 生0.33
3かき 養殖 水煮0.31
4鶏肉 つくね0.21
5あなご 生0.20
6鶏肉 もも 皮なし から揚げ0.18
7鶏肉 もも 皮つき から揚げ0.17
8あゆ 天然 生0.16
9豚肉 ヒレ 赤肉 とんかつ0.15
10かたくちいわし 生0.13

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

マンガンを多く含む穀類上位10位

最後に穀類に特化し紹介します。

順位食品名成分量(mg/100g)
1米ぬか14.97
2アマランサス 玄穀6.14
3小麦 輸入 硬質4.09
4小麦 強力粉 全粒粉4.02
5小麦 輸入 軟質3.79
6玄米粉2.49
7そば そば粉 表層粉2.42
8ライむぎ 全粒粉2.15
9玄米2.06
10もろこし 玄穀1.63

参考:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

マンガンはサプリメントで意識的に摂取すべきか

これまでマンガンの必要量や、含まれている食材について紹介してきましたが、そもそも私たちはきちんと必要なマンガンを毎日摂ることができているのでしょうか。

詳細なデータはありませんが、現代の日本人のほとんどはマンガンが足りていると言われています。
マンガンは多くの食材に含まれているため、普段の食生活であれば、必要量に対して十分にマンガンを摂取していると考えられています。


ただし、過度のダイエットや何かしらの疾患を有する場合ではマンガンが足りず欠乏症に繋がってしまう可能性もあります。

どうしても食事制限をしないといけない時などは、他の栄養も不足していることが考えられるため、マルチミネラル等で代用することで欠乏症は防げると言われていますので、選択肢に加えてみると良いでしょう。
しかし、マンガンのみの補給に特化したサプリメントはほぼないので、マルチミネラルを選ぶことになるかと思いますが、食生活の改善で解決することがほとんどなので、日々の食生活を見直すのが一番だと言われています。

マンガンと合わせて摂取すると効果的な栄養素

マンガンは鉄と吸収において競合するとお話ししましたが、基本的にビタミンと同様にミネラルも一緒に摂取することで相乗効果が期待できます。

マンガンと亜鉛がその一例です。
マンガンは、亜鉛の吸収をサポートする役割があります。亜鉛は吸収しづらく、不足しがちな成分でもありますが、他の食材の栄養成分をプラスする事で効率よく摂取することができます。

例えば亜鉛を豊富に含む牡蠣を食べる時は、一緒にほうれん草やシジミ、ハマグリなどの食材を一緒に食べると吸収効率がアップすることが期待されています。

青汁でマンガンは効率的に摂取可能か

先ほど、マンガンの欠乏が心配される場合、サプリメントを利用するということを紹介しましたが、サプリメントの代わりに青汁はどうでしょうか。

結論から話しますと、青汁は効果的です。
しかし、マンガン不足を補うというよりも全般的な栄養不足を補うという意味で効果的だと思います。マンガンは多くの食材に含まれているため、大抵の食事であれば必要量をカバーすることができると言われています。


そのため、マンガンに特化したというよりも栄養全般の補充という意味で多くの栄養がバランスよく摂取することができる青汁を選択肢に加えてみるのも良いかもしれません。

しかし、マンガンは多くの食材に含まれているので、規則正しくバランスの取れた食生活を心がけていればわざわざサプリメントや青汁を選ばなくても問題ないでしょう。

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