「健康食品の裏側」薬機法により表現が曖昧に!商品選定の3つのポイント!

『体に脂肪がつきにくい、食後の脂専門トクホ。黒烏龍茶』
ラーメンや焼肉など脂っこい食事をする時に愛用している方も多いかと思います。

私もコッテリ系のラーメンを食べる時には気にして愛用しています。

しかし、こんな疑問が。
「言い方回りくどいな。もっと直接伝えることはできないのか?」

実際同じような表現をしている健康食品がたくさんあります。
その中で表現が曖昧で、どれを選んで良いのか悩んだことありませんか?

今回は健康食品を選ぶ時に、薬機法ライター・コンサル業務をしている筆者が、何に気をつけて選んだら良いのか。についてまとめてみました。

健康食品に人気が急上昇

近年、新型コロナウイルスの影響で、健康への意識が高まっています。
働き方も大きく変わり、在宅ワークから外食の頻度が減り、運動する機会も減り、より普段の食事内容にこだわる人が増えたとも言われています。

実際、健康食品の市場は拡大し続けています。

矢野経済研究所が発表した国内の健康食品市場調査によると、2019年度の健康食品市場規模はメーカー出荷金額ベースで、8,623億円(前年度比0.1%増)、2020年度は8,680億1,000万円(同0.7%増)が見込まれていると報告されました。

参考:株式会社矢野経済研究 調査報告

品目別にみると、「コロナ太り」の問題が顕在化する中でダイエット関連や、新型コロナウイルスの第一波収束後に運動関連の需要が急増し、プロテインが大きく伸長する動きが見られたと言われています。

また、全般的に健康意識への高まりが強まる中で、ビタミンなどの基礎栄養素関連や、血圧や体脂肪など自身で計測できる生活習慣病予防関連指標への対策を機能とする機能性表示食品などが好調に推移しているようです。

また、その中でも「機能性表示食品」の市場拡大が続いています。
機能性表示食品の市場規模はメーカー出荷金額ベースで、2019年度が2,542億8,000万円(前年度比13.5%増)、2020年度は2,843億4,000万円(同11.8%増)が見込まれていると報告されました。

この市場の拡大は、新型コロナウイルスの影響による一時的なものではなく、これからも続いていくと言われています。

健康食品の主力ユーザー層である高齢者における健康長寿に対する関心の高まりや、定年が60歳から65歳へ延長されたことなどによる高齢者の労働力活用が本格化し、健康を維持し動ける身体づくりへの対策、アンチエイジング意識の高まりは、今後も高止まりの状態が続くでしょう。

また、高齢者だけではなく、中年層における生活習慣病や加齢に伴う身体変化への対策、若年層における身体づくりや健康・美容への配慮、といった意識が今後も強まる見通しである。さらに、特に機能性表示食品における保健用途の拡大により、身体状況に合わせた商品選択がより可能になり、自身の健康維持の一つの選択肢としての認知が進むことも期待されています。

健康食品は原則効果効能が謳えない!?

このように健康食品の市場は拡大の一途をこれからも続けていくでしょう。
その中で、多くのメーカーが新たな効果が期待される商品を発売し続けると言われています。

しかし、ここで冒頭の
『体に脂肪がつきにくい、食後の脂専門トクホ。黒烏龍茶』
に話を戻しますが、何でも好きなキャッチコピーや表現をして良いわけではありません。

例えば先ほどの黒烏龍茶、
『食後の体に脂肪がつかないようにする。黒烏龍茶』
このような表現の方が直線的でわかりやすく意味が伝わると考えてしまいます。

しかし、この表現をすることはできないのです。
日本では「表現の自由」というルールはありますが、大前提、消費者、お客様を守ることが第一優先と考えられています。

そのため、消費者の方に誤解を招くような表現をしてはいけないというルールが存在します。具体的には、薬機法、健康増進法、景品表示法など多くの法律が健康食品の宣伝をする関わっています。

そのルールを簡単にまとめますと、いわゆる健康食品では、医薬品と誤認されるような効能効果を表示・広告することはできないというものです。

「糖尿病を治します」
「糖尿病の方にオススメです」
「腸内環境を整えます」
「これを飲めば夜もぐっすり眠ることができます」

といった表現はできないということです。

そもそも健康食品は、医薬品と違い、病気の治療・予防を目的とするものではありません。病気の治療や予防に役立つことを説明したりほのめかしたりする表示や広告を行っている製品は、「医薬品」と判断されます。疾病の治療や予防効果の表示・広告は、医薬品としての承認を取得して初めて可能になります。そのため、健康食品には、栄養補給や健康の維持など一般的な食品の範囲の目的しか持たせることができません。

ただし、特定保健用食品・栄養機能食品に認められている効能効果は、医薬品的とは見なされず、表現することは可能です。

しかし、薬機法上問題のない表現であっても、食品の説明として適切かどうかなど、食品表示法、食品衛生法、健康増進法、景品表示法の視点からもルールを守る必要はあります。

薬機法とは

ここで薬機法について簡単にまとめてみました。

薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」といいます。

今まで薬事法と呼ばれていたものが、2014年(平成26年)11月、名称変更と共に施行された法律です。2019年にも大きく内容が見直されていて、2021年の夏にも見直しが予定されています。

「薬機法」は正式名称のとおり、医薬品、医療機器等の品質と有効性および安全性を確保するなど、製造・表示・販売・流通・広告などについて細かく定めた法律です。

ここで、重要なのことは薬機法は医薬品、医療機器等について定めている法律であり、健康食品の定義を行っている法律ではないということです。
正確には、医薬品、医療機器等の定義を定めているので、そのルールに表現次第では、健康食品であっても抵触してしまうということです。

今後ルールが厳しくなっていく

先ほど、今年の夏に薬機法のルールが見直しされるということを紹介しました。
具体的には「課徴金制度」というものが始まります。

もともと、薬機法違反になった際は、重たい刑事罰でも「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金」に処され、またはこれら両方で済んでいたため、正直、指摘されてから考えれば良いという人もいたようです。

しかし、「課徴金制度」が始まりますと、「原則、違反を行っていた期間中における対象商品の売上額×4.5%を課徴金として支払うこと」になってしまいます。

そのため、今まで以上に気にかけ、表現を気をつけ、効果効能等の表現を守るメーカーが増えると考えられています。

今までもほとんど見る機会はなかったと思いますが、
「糖尿病を治します」
「糖尿病の方にオススメです」
「腸内環境を整えます」
「これを飲めば夜もぐっすり眠ることができます」
といったキャッチーな表現はほぼ見られなくなっていくでしょう。

消費者はどのように商品を選べば良いのか

これまで健康食品を取り巻く、世の中のルールや流れをまとめてみました。
冒頭にお話しした回りくどい表現になってしまっている理由がある程度わかったかと思います。

しかし、そうなりますと消費者からはこんな疑問が出てくるかと思います。
「どのように商品を選べば良いのか?」

これの質問がでることは当たり前だと思います。
商品説明の表現が制限されている中、大きく広告の文言だけで他との差別化を図るのは難しいかもしれません。
かと言って、商品の成分を見て、違いがわかる人はほとんどいないと思います。

値段が安いから、CMで見たから、有名企業が出しているから、有名人がオススメしているから、知り合いに勧められたから、など色々な基準があると思いますが、ここでは特にオススメする健康食品選びのポイントをまとめてみました。

選定する3のポイント

1、効果効能が書いていない

効果効能が書いてあるとそもそも薬機法違反なのですが、正直、市場にはまだまだ効果効能をアピールしている商品がたくさんあります。

先ほど、薬機法の課徴金制度について記載しましたが、こちら除外となる条件があります。
それは、「累計の売上高が5,000万円未満」の場合です。

すごい極端な話かもしれませんが、売上が5,000万円いかないと思っていた場合、効果効能を謳い、薬機法違反してもいい。という考えや、指摘されたら直せば良いや、という考えの会社が平気で効果効能を謳っているケースが見られます。

もちろん、メーカーとしては違反していないつもりだったとうケースもあるかもしれません。

どちらにしろ、そのような会社の商品はあまり信用できない。というのが個人的な感想です。もちろん良い商品もあるとは思いますが、きちんとルールを守って宣伝している企業の商品の方が、商品自体にも信頼が置けるのではないでしょうか。

2、過度な安全・安心に関する表現をしていない

医薬品は副作用があるから危険だ。
健康食品は食品だから、安全だ。
今はそこまでこういった考えは聞きませんが、それでもこういった考えを持っている人もいると聞きます。

こちらは半分正しい情報で、半分正しくない情報だと考えられます。
実際、医薬品には副作用があります。全くない医薬品はありません。こちらは食品であっても同様です。

体に合わないからアレルギー反応が起きてしまう、食べ合わせて何かしらの反応を引き起こしてしまうこともないわけではありません。
また、健康食品は副作用がないわけではなく、副作用が明らかになっていないだけです。

医薬品開発では数年〜数十年の年月をかけて、多くの研究を行い、そのデータを国に申請して、国の審査機関が承認して初めて医薬品として認められます。ここで注意していただきたいのが、承認された=安全ではなく、安全性の問題を加味しても有効性や必要性が高いということです。

健康食品はそもそもこのような研究が行われていないことが多いです。
誤解していただきたくないのですが、研究が全く行われていないというわけではなく、全てのケースを想定いないということです。

医薬品の安全性に関する研究では、場合によっては子供、高齢者、腎臓疾患患者、飲み合わせなど様々なケースを想定して行うことがルールとして決められていますが、健康食品はその限りではありません。

このように健康食品は医薬品と比べると安全かもしれませんが、完全に安全・安心ではありません。メーカーによっては効果だけではなく、「天然成分で体に優しい」「販売数No.1だから安心」といった表現で安全・安心を売りにしているものもあるかもしれませんが、注意が必要だと考えられます。

3、しっかりと情報収集を行いましょう

毎日、CM等の広告で多くの商品を見る機会があると思います。芸能人の方がお勧めするケースなどもあり、どれも良さそうに見えるのも事実だと思います。

情報がたくさん溢れている世の中だからこそ、しっかりと情報収集や相談を忘れずに行いましょう。

例えば、ドラッグストアで健康食品を購入する際には、薬剤師が相談に乗ってくれることが多いかと思います。自身の健康状態を伝えることで、適切な健康食品を提案してくれるでしょう。また状態次第では、健康食品ではなく、医療機関の受診を勧められることもあるかもしれません。

また、メーカーに直接問い合わせしてみるのもいいでしょう。
「どういう方に飲んでほしいと思って作った健康食品ですか?」「一番多く入っている原料は何でどれくらい配合していますか?」「他社と比べて何が違うのですか?」「サンプルをもらえますか?」など聞かれて困ることはないと思いますので、ぜひ聞いてみましょう。

そこまでする必要があるの?と思う方もいるかもしれませんが、自身の健康、ましてや安全を確保するためにはこれだけやっても損はないと思います。

ここで良いなと思った健康食品を試す時のポイントですが、最低でも1ヶ月は続けてみましょう。体に何かしらの異変を感じた場合はすぐに取るのをやめていただきたいのですが、一般的に健康食品の効果を実感できるのには最低でも1ヶ月はかかるとも言われています。
医薬品と異なり、即効性は期待できないので、気長に待ってみましょう。

また、健康食品の安全性や有効性に関する信頼できる情報源として、国立健康・栄養研究所のホームページ「健康食品の安全性・有効性情報」があります。このサイトの「素材別データベース」には、健康食品の素材別に科学的根拠のある安全性・有効性の情報が集められています。気になる成分があれば、こちらで検索して情報を集めることをお勧めします。

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所

まとめ

大前提、健康食品は食品です。

体調不良や病気を治すものではないので、体に不調がある場合は、医療機関を受診することをお勧めします。

しかし、日々の食生活で摂取できる栄養が十分ではないことはよく聞く話かと思います。上記の3つのポイントをしっかり抑え、健康食品を選び、健康で素敵な日々を過ごしていきましょう。

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