青汁でアレルギーになる可能性はある?反対にアレルギー対策にもなる?
青汁はさまざまな健康効果をもたらす代表的な健康食品の一つです。その健康効果としては、アレルギー症状に対する改善効果があることが近年注目されています。でも、なぜ青汁にアレルギーを抑える作用が期待できるのでしょうか?また、実際に改善した事例は本当にあるのでしょうか?単に青汁を飲めば治るというわけではなく、青汁の取り入れ方にもポイントがあります。
ここでは青汁がアレルギー改善にもたらす効果を臨床的なデータも交えてご紹介します。アレルギー体質で悩んでいるという方はぜひ参考にしてください。
アレルギーとは
一年中どんな時期も関わらず関係するアレルギーですが、正しく理解している人は案外と少ないかもしれません。アレルギーとはどんな反応で、どんなメカニズムで起きるものなのでしょうか?
アレルギーの定義とメカニズム
アレルギーとは無害なものに対して異常に反応することであり、免疫系の異常が関係しています。例えば、スギ花粉など樹木の花粉に対して、免疫が過剰に反応すること生じる不快な症状を花粉症といいます。
免疫反応は体を守る防御の仕組みです。免疫のおかげで、アレルゲンとなる物質(花粉や食品のタンパク質など)が入ってきても、体を守ることができます。
しかし、免疫過剰に反応すると体の中でさまざまな物質が生成されて、蕁麻疹や皮膚の赤み、鼻水、くしゃみなどさまざまなアレルギー症状を起こすようになります。ときにアナフィラキシーと呼ばれる重症なアレルギー反応が起きると死に至ることもあり、アレルギーを甘くみてはいけないケースもあります。
アレルギーの種類
アレルギーといっても非常に多くの種類があります。例えば次のようなアレルギー疾患があります。
- アトピー性皮膚炎
- 花粉症
- ぜんそく
- 食物アレルギー(小麦、ナッツ、そばなど)
- 金属アレルギー
アトピー性皮膚炎や花粉症は私たちにも身近なアレルギーであり、多くの日本人が患っています。また、意外なところでは血液疾患や難病にもアレルギー性の病気があります。一旦発症してしまうとなかなか根治が難しく、辛い症状を繰り返して生活レベルを下げてしまうこともアレルギー性疾患の特徴です。
現代人を悩ますアレルギー症状
現代では昔に比べてアレルギーに悩まされる人が非常に増えています。とくに花粉症は国民病とも言われるほどで、日本人の3人に1人が患っているとも言われています。また、子供の食物アレルギーも増加傾向にあり、とくに小麦、牛乳、卵などにアレルギーを持つ子が増えているといわれています。
現代人がアレルギー疾患を多く抱えるようになった理由としては、次のような原因が考えられます。
- 清潔すぎる環境
- 機密性の高い住宅
- 食生活の欧米化
- 腸内環境の乱れ
- 食品添加物
ある文献によればライフスタイルの変化や、食生活の変化、潔癖すぎる衛生観念、また腸内環境の乱れがアレルギー疾患の増加に関わっていると述べられています。とくに食事が西洋化して小麦製品を多く食べるようになり、野菜や穀類など日本古来の食生活が失われたことがアレルギー増加の原因として考えられています。
青汁の成分とアレルギー改善効果の関係
では、どうしてアレルギーの改善に青汁が役立つのでしょうか?それには青汁に含まれている栄養に秘密があります。青汁の栄養とアレルギーとの関係について掘り下げてみましょう。
食物繊維が腸内環境を改善
青汁に含まれている食物繊維が腸内環境を改善することが第一の理由です。食物繊維は腸内環境を整えてくれる効果があり、腸内細菌のエサとなったり、腸内の毒素や老廃物の排出を促します。でも、なぜ腸とアレルギーが関係しているのでしょう?
アレルギーは免疫の異常が原因であり、免疫は「腸」によって司られています。じつは腸には免疫細胞であるリンパ球の7割が存在していて、腸の免疫細胞が病原体や異物から体を守ってくれています。
そのため、腸内環境が乱れると免疫のバランスも崩れやすくなり、アレルギー症状が起こりやすくなると考えられています。実際に、アトピー性皮膚炎などアレルギー性皮膚炎の人の腸内では、健康な人よりも乳酸菌やビフィズス菌が少ないというデータがあるほどです。
青汁には食物繊維が豊富であり、飲むだけで手軽に不足分を補えることがメリットです。アレルギーを根本的に対処していきたいのであれば、腸内環境の改善から目指しましょう。
ビタミン・ミネラルが免疫細胞の働きをサポート
2つ目の理由としては、青汁に含まれる豊富なビタミン・ミネラルが免疫細胞の働きを助けることが挙げられます。免疫細胞が順調にはたらくためには、ビタミンやミネラルの存在が欠かせません。現代人の食生活ではこれらの栄養素が不足しがちなため、アレルギー症状を余計に悪化させやすくしている可能性があります。
とくにアレルギーと関わりの深いビタミン・ミネラルには次のような種類があります。
- ビタミンB6・・・タンパク質の代謝、神経伝達に関わる。
- ビタミンC・・・免疫細胞(マスト細胞)が生成するヒスタミンの作用を抑える。コラーゲン繊維の生成を促して皮膚や粘膜を強くする。
- ビタミンA(β-カロテン)・・・皮膚・粘膜の健康維持に関わる。
- ビオチン・・・皮膚・粘膜の健康維持。とくにアトピー性皮膚炎に欠かせない栄養素。
- 亜鉛・・・白血球の生成に関わる。ビタミンAの働きを助ける。血糖値の維持。
これらの栄養が不足すると体内の細胞の活動や免疫バランスが崩れ、さらには皮膚や粘膜が弱ってきてしまいます。アレルギーに悩んでいる方は、ぜひこれらのビタミン・ミネラルを意識してみると良いでしょう。
ポリフェノール・フィトケミカル
体内の老化を進める「活性酸素」が、アレルギー反応や炎症を活性化させることが分かっています。この活性酸素の働きを抑えるのが抗酸化物質です。
青汁には抗酸化作用に優れたポリフェノールなどフィトケミカルが豊富に含まれています。βカロテンやビタミンC,ビタミンEも活性酸素を抑える抗酸化作用が高いため、同時に摂取できるという点でも青汁はおすすめです。
さらにポリフェノールには、生活習慣病を抑える効果もあります。活性酸素による細胞やDNAなどのダメージを防ぎ、老化の進行を抑えるため、若々しさを維持したいという方はぜひ積極的に補っていきましょう。なお、ポリフェノールの種類は食材によって異なり、とくにケールはポリフェノール量が多く、栄養バランスに優れているので「野菜の王様」とも呼ばれているほど。普段の食生活から取り入れづらい野菜でもあるので、青汁を有効活用すると良いでしょう。
乳酸菌
青汁に乳酸菌を加えて付加価値を高めたタイプが増えています。乳酸菌は非常に多くの仕事をしてくれる良い菌の代表です。乳酸菌は腸内にも多く住んでいて、整腸作用、免疫の調整作用、コレステロールの吸収を防ぐなどの作用があります。
とくに乳酸菌とアレルギーには深い関わりがあります。乳酸菌やビフィズス菌には花粉症などのアレルギー症状を軽減してくれる効果だけでなく、根本的にアレルギーを元から改善する効果があることが期待されています。アレルギーに悩んでいるならば、乳酸菌は要注目の成分です。
エビデンスが実証?!青汁のアレルギー改善効果
青汁はさまざまな栄養成分の相乗作用によって、アレルギーのお悩みをサポートしてくれる食品です。
でも、青汁でアレルギーが本当に改善されるのか?と疑問に思う方も多いはずです。そこで、とくにエビデンスが多いケールの情報を中心に、アレルギー改善効果の根拠となる臨床的なデータをご紹介します。
ケールによる目と鼻のアレルギー症状軽減
あるメーカーによる研究では、青汁によく用いられているケールのアレルギー軽減効果を臨床試験で実証しました。目および鼻の不快感が軽い方からやや重い方で、ダニまたはハウスダストに対して抗体反応がある方を対象にケール粉末を12週間にわたって摂取させた結果、目と鼻の不快感による日常生活の質は摂取 4 週目で有意に改善したという結果が出ています
ケール青汁の摂取によるアトピー性皮膚炎の肌状態の改善
ある調査によれば、日常的にケール青汁を飲む習慣のある人は、飲む習慣のない人に比べて、血中好酸球数が少なく、血清IgE値も減少しているという結果が得られています。好中球、血清IgEのいずれもアレルギー反応の指標となる体内物質です。
さらにケール青汁を飲んでいる人は、飲んでいない人に比べて、頬の角層水分量が多いというデータも出ています。この結果から、アトピー性皮膚炎の肌状態の改善にケール青汁の摂取がプラスに働く可能性が示唆されました。
ケールのフラボノール配糖体による花粉症の改善
ケール摂取による花粉症状緩和作用は、ケールに豊富に含まれるフラボノール配糖体によるものであることが分かっています。この物質をアレルギー性疾患に関与する免疫細胞に添加するとインターロイキン-4(IL-4)というアレルギーや炎症反応に関わる物質の生成が顕著に減少しました。
アレルギー対策におすすめの青汁の選び方
アレルギー症状で悩んでいる方は、少しでも症状を改善したいと様々な対策を行っていることと思います。生活習慣や食生活の改善を行うとともに、どのような青汁を選べば良いのでしょうか?ここではアレルギー対策におすすめの青汁の選び方をご紹介します。
1.食物繊維を十分に補えること
アレルギーを改善するためには、少し遠回りに感じられるかもしれませんが腸内環境を整えることが非常に大切です。ほとんどの青汁には食物繊維が豊富に含まれていますが、とくに注目したいのが水溶性食物繊維です。
お腹が張ったりガスの原因になりやすい不溶性食物繊維よりも、体質を選ばずに摂取しやすいことがメリットです。主原料の他に使っている野菜や果物などの種類によって食物繊維のバランスは変わるので、ラベルをよくチェックしてみましょう。
2.エビデンスが多いケールを試してみる
先にもご紹介したように、アレルギー症状を改善した効果が示されているケールなどの素材を試してみるのも手です。
ただし、青汁はお薬ではないため確実に効果が出るものではありません。少しずつ体内環境を整えて、アレルギーを起こしづらい体づくりをサポートするものとして取り入れていきましょう。
3.乳酸菌入りを選ぶ
アレルギー改善効果を求めるならば乳酸菌も取り入れると効果的です。様々なメーカーから乳酸菌入り青汁が登場しており、とくにサプリと併用しなくても手軽に乳酸菌を補うことができるところがメリットです。
ただし、乳酸菌といっても様々な種類があり、体にあっているものを選ぶことも大事です。体質によってはお腹が緩くなることもあるので、様子を見ながら摂取すると良いでしょう。
青汁をアレルギー対策に飲む上での注意点
アレルギーに青汁が良いとはいえ、飲んですぐに症状が改善したり、確実に発症を抑えるほどの効果はありません。また、青汁が逆にアレルギーの原因になることもあります。どんな点に注意すれば良いのか、あらかじめ確認しておきましょう。
青汁を飲むだけでなく生活習慣も見直す
青汁にはアレルギー症状を改善する成分が含まれているとはいえ、あくまでも食品であり効果が確実に得られるものではありません。アレルギーの原因はさまざまで、食事を改善しただけで簡単に治るわけではありません。
ただ、栄養バランスが悪い状態、乱れた腸内環境はアレルギーにとってマイナスであることは確かです。日々の食事からは補いきれない栄養の補給のため、腸内環境を整えるためのサポートに青汁を取り入れましょう。
青汁でアレルギーを起こすこともある
青汁に含まれている成分で、逆にアレルギーを起こすこともあります。アレルギー体質の方は、さまざまな成分が入っている青汁を摂取するときは注意が必要です。アレルギーの主な原因は食品中のタンパク質であり、タンパク質を含んでいる場合はどんな食品でもアレルギーを起こす可能性があります。青汁がとくに危険という訳ではありませんが、日本人の食生活にあまり馴染みのない素材が使われていることもあるので注意しましょう。
長く続けられる青汁を選ぶ
青汁は続けてこそメリットを発揮してくれるものです。数回飲んだだけで体に大きな変化が起きるものではなく、とくにアレルギーのような慢性的なお悩みに対しては長く取り組む必要があります。
毎日続けて飲むためには、飲みやすさ、価格、入手しやすさなども考慮して青汁を選ぶことも大事です。ご自身にとって最適な青汁を見つけて、ぜひ毎日の習慣として取り入れていきましょう。
おわり
アレルギー症状はさまざまな不快な症状を引き起こす厄介な存在です。簡単に治る病気ではありませんが、日々の食生活や生活習慣を見直すことで症状を抑えたり、悪化を防いだりすることはできます。毎日の食事で不足しがちな栄養を補うため、腸内環境を整えて内側から体調を整えていくため、ぜひ青汁を活用してみてください。