書籍「免疫力が10割」は人生100年時代に欠かせない知識が身につく

今回ご紹介する書籍は、コロナ禍である現在にぴったりな小林 弘幸 著『免疫力が10割』

世界中で発表されている5万件の新型コロナウィルス関連の論文と最新の研究データをもとに、腸内環境と自立神経の面からコロナ対策と傾向について解き明かしています。

著者である順天堂大学医学部教授 小林 弘幸氏は日本スポーツ協会公認スポーツドクターでもあり、自律神経研究第一人者としてプロスポーツ選手やアーティスト、文化人へのコンディショニングやパフォーマンス向上を行っています。

不摂生な生活習慣により、50代で急性喉頭蓋炎を患ったことをきっかけに腸内環境と自律神経を正し免疫力を高くすることを意識した著者。

酷かった花粉症はピタリと治り、60歳を超える現在も病気知らずの日々を送っているようです。

この自らの体験を活かして、現在までに『眠れなくなるほど面白い 図解 自律神経の話: 自律神経のギモンを専門医がすべて解説!』
『整える習慣 (日経ビジネス人文庫)』など数々のベストセラーを出版。

今回の『免疫力が10割』では免疫力を高めることからコロナ対策を行うことで一生ものの健康法が身につく驚きのメソッドや、何故アジア人は死亡者数が少ないのかなど、私たちが疑問に抱いていることに対しての真相を追及しています。

さらに医者という観点から世間では公表されていない事実や体のメカニズム、効果的な対策法をイラストつきでわかりやすく解説しています。

誰でも簡単にできる免疫力を高める方法なども合わせて紹介されているので、この一冊を読み終える頃には、一生ものの知識が身についていますよ。

コロナは明らかに他のウイルスと違う特徴をもつ

SARSやMERSなど、これまでに確認されたコロナウィルスは新型コロナウィルスを含め約7種類あります。

しかし新型コロナウィルスは他のウィルスと明らかに違う特徴があることが本書では述べられています。


それは重症患者ほど抗体が多いというデータが発表されていること。ニュースや新聞などの表だったメディアでは中国武漢で初めての新型コロナ患者が出てから現在まで、何故かこの事実には触れていません。

また1度作られれば一生体内に残るはずの抗体が、回復したコロナ患者の体内から1,2ヶ月すると消えていくといった事例があったことも一部報告されています。

実際に感染患者のPCR検査が陰性反応になり完治したにもかかわらず、再度感染したというニュースが記憶に残る方も多いのではないでしょうか。

これらの事実を考慮すると、従来の方法で作ったワクチンだけでは感染予防が困難であると著者は懸念しています。

一旦沈静化したように思えたコロナウイルスですが、最近では変異株の猛威が感染者数を爆発的に再び増やしている傾向にあります。

人間がいくら対策を練ったところでウイルスも賢くなっているなら、すぐに終息するはずがありません。

都心部で通勤しなければならない満員電車に乗車しなければならない状況では、いくら気をつけていても感染するかは運といえざる得ないこともあります。

そこで本書では、私たち一人ひとりの免疫力を高めておくことの重要性について喚起しています。

〝ウイルスへの最強の対策は消毒でもワクチンでもありません。ただ、「健康であること」です。〟

冒頭からはじまるこの文書は、著者が最も読者に伝えたい言葉であることが感じとれます。

個々の免疫力を高めておくことが新型コロナウイルスに対抗する最も有力な手段なのではないでしょうか。

免疫細胞を暴走させるサイトカインストームの存在

前項でお伝えしたコロナウイルスの明らかに違う特徴。
何故このような現象が起こるのかについても本書ではわかりやすく解説されています。

通常であれば、「自然免疫」が最初の防衛隊となり体に侵入したウイルスと戦います。

この自然免疫との戦いのなかでウイルスの情報が分析されると、第二次防衛隊となる「獲得免疫」に情報が引き継がれ、より効果的にウイルスを攻撃してくれます。

この時に「サイトカイン」という物質が分泌されることによって結果的に抗体が作られますが、このサイトカインはウイルスからダメージを受けた細胞からも放出され、炎症を起こし免疫細胞を集めるといった特性があります。


新型コロナウィルスに感染すると、このサイトカインに刺激された免疫細胞や組織細胞がさらにサイトカインを放出し、サイトカインストーム状態となり、自ら炎症を悪化させてしまうのです。

ウィルスのみの強さでいうと、新型コロナウイルスよりもインフルエンザウイルスの方が脅威的だそうです。

しかし免疫力の盲点をついた新型コロナウイルスの前では人間の抵抗力はいかに無力であるか、実際に世の中の状況を見れば一目瞭然ですね。


専門的な知識がない限り、ほとんどの人がコロナウィルス自体が症状を悪化させていると勘違いしているのではないでしょうか?

しかし実際のところ新型コロナウイルス自体が私たち人間の体を蝕ばむ訳ではなく、自ら炎症を広げて自滅してしまうシステムが原因なのです。


ニュースや新聞などで取り上げられない情報を私たち一個人がなるべく多く把握し、このような仕組みを理解することが免疫力強化、感染者減少につながるのではないでしょうか。

免疫力の弱いものが重症化しやすい傾向にある

サイトカインストームを起こしやすい人の特徴として①「もともと免疫力が弱い」 ②「慢性炎症」という共通点も挙げられています。

一般的に高齢者であればあるほど免疫力は弱くなるといったイメージがありますが、若年者でも糖尿や肥満傾向があれば重症化リスクは高くなると示唆されています。

肥満は一見ふっくらして健康的に見えますが、実は脂肪細胞が肥大した状態。
肥大した脂肪細胞からは炎症を引き起こすサイトカインが放出されるため「慢性炎症」として常日頃から体に負担をかけているのです。

日本はBMI25を肥満の基準としていますが、海外ではBMIの基準値は30。それでも日本国内全体の肥満率は海外に比べて少なくなっています。

その理由として日本食や生活習慣、医療保険制度など日本人はもともと太りにくい環境下にあることが幸いしているようです。


文化の違いを考えると諸外国に比べて重症者、死亡者ともに少なかったのも納得のいく話ですね。

しかし癌や慢性腎疾患、慢性閉塞性肺疾患、臓器移植による免疫不全状態、心臓疾患などなんらかの疾患があり、もともと免疫力が弱い方は注意しなければいけません。

本書によると免疫力を高めるためには、まず腸内環境を整えることが1番の近道であることが述べられてぃす。


またサイトストームのような免疫の暴走化を食い止める免疫細胞の増やし方についても具体的に紹介されています。
免疫力が低下している方や肥満が気になる方は、本書を参考に今いちど普段の生活習慣について見直してみましょう。

腸内環境と自律神経は密接な関係

腸には脳についで多くの神経細胞が存在しているため、下痢や便秘などがおこると脳にも不快感を覚えるという面白い性質があることも書かれています。

腸のストレスを不快と脳が感じると、次は自律神経が乱れて脳から腸へ伝達され、腹痛や下痢を悪化させる負のスパイラルに陥ります。

このように腸と脳がお互いに影響を及ぼし合うことを「腸脳相関」と呼ぶそうです。
たまに緊張すると、お腹を下す人がいるのもこの腸脳相関が当てはまるといえるでしょう。

前項でも触れていますが、免疫力を高めるための基礎として腸内環境を整えることは大前提となります。

腸内環境の改善には自律神経のバランスが大きく関係しているため、腸内環境を整えることで自動的に自律神経も整えてくれるのです。


その他にも、腸は幸せホルモンとして有名な「セロトニン」や「ドーパミン」などの神経伝達ホルモンを生み出し、幸福感をコントロールしてくれます。

また、この腸脳相関を利用すると反対のパターンも可能で、ストレスの多い環境下でも生活習慣で自律神経、食事で腸内環境を整えることができるそうです。

腸内環境を整える食事は肥満解消にも嬉しい効果が期待できそうですね。

コロナ対処法は健康な生活そのもの

本書で一番に勉強になったことが、コロナの対処法そのものが健康的な毎日を送るために不可欠な要素であるということ。

免疫力を高めるということは、腸内環境を整えること。腸内環境を整えることで自動的に自律神経も整い、全ての機能も正常に働くようになると述べられています。

つまり健康な毎日を送るためには前項で述べたようにある程度決まり事があり、誰でも簡単に実践が可能なのです。
もちろん先天性の疾患がある方もいらっしゃいます。

しかし著者は、〝どんな状態にある方も、今日より一歩でも健康になることは可能です。〟と訴えています。
そのためには1人ひとりが正しい情報を知り、実践することが大切だと思いました。

今回新型コロナウィルスの登場によって、私たちの健康意識は大きく変わったのではないでしょうか。


新型コロナウィルスに関しては本書だけではなく、さまざま著書が出版されています。

しかし実際に普及しているコロナワクチンは、本書で述べられているように免疫細胞に働きかけることが重要ポイントとして開発されています。

この分野における専門知識を持ち合わせた著者の自らの経験を活かした意見は、比較的取り入れやすいのではないでしょうか。

免疫力を高めることで自らを守る

感染防止対策や、緊急事態宣言など日常生活で感染から身を守ることは義務づけられています。

しかし今回、我が国の反応をみて迅速な対応とは言い難いと感じた人も多いのではないでしょうか?

たまたまBCGワクチン摂取を行っている割合が多く、SARSやMERSなどで交差免疫があるアジア人は死者数や重症患者が少なくなっていますが、もしこれらの習慣や交差免疫がなければどうなっていたでしょうか?


消毒や手洗いでウイルスを落とすことも大切ですが、いくら気をつけていても飛沫感染などのリスクがあり必ずしも完全に感染予防を行うことは不可能です。

感染を防ぐためには、体の中の免疫力を高める方が実は重要なのです。

自分の体を守ることで、家族や大切な人も感染から守れるということを忘れないないようにしましょう。

本書で書かれている内容はただ読むだけでなく、実践することに大きな意味があるのです。

これからのワクチン接種にも参考にしたい1冊

本書では、重症患者ほど抗体の数が多いという研究データから抗体をつくるだけの従来のワクチンでは、感染予防が困難と示唆しています。

いかに免疫細胞に働きかけれるかがポイントとなるようです。

現在、さまざまな国でワクチン製造と接種が進められ
イギリスやイスラエルなどではしっかりと効果を発揮しています。

臨床研究で90%以上の確率で効果が認められ、実際に世界各国で普及しているワクチンはスパイクたんぱく質というコロナウィルスの設計図を利用し、体内に抗体をつくるというもの。

抗体をつくるだけでなく、免疫細胞である「キラーT細胞」にコロナウイルスを攻撃できるよう指示できるそうです。


一部の研究者によっては、抗体が中途半端な数しかない場合、再度感染した場合に重篤化しやすくなる危険性(ADE)や変異株に対しての効果などさまざまな意見がとびかっています。

実際のところ日本では、感染後6ヶ月だと約98%の人が新型コロナに対する抗体を保有していることが報告されているそうです。
しかし、なかには急速に抗体がなくなる人も存在するため抗体が体に存在する期間については個人差があるようです。

このような結果からワクチンを接種した場合、最初の半年程度は十分な抗体が期待できますがあくまでも個人差があることは理解しておいた方が良いかもしれません。

世界ではじめてワクチンが接種されてから月日がまだまだ経っていないこの段階で、本書の内容をしっかりと頭にいれておくと自分にとって良い選択ができ、ワクチンに対しての理解度も深まります。

ワクチンに対しての先入観は非常に怖いものです。なぜワクチンが効くのか?どのような仕組みなのか?どのような副作用があるかなども接種する前に、把握しておきましょう。

まとめ

新型コロナウイルスが終息を迎えても、これから将来新たなウィルスが現れる可能性は大いにあります。

そのような場面に遭遇した場合、どのように行動するかは自己責任といえるでしょう。

本書で述べられている情報はまさに一生ものの健康法であり、ウイルス感染症対策以外にも生活習慣病の予防や健康なメンタルを維持するバイブルとなります。

老若男女問わず読みやすいようにレイアウトが工夫され、イラストや箇条書きで内容が頭に入りやすく、おすすめの生活習慣なども実践しやすい簡単なものばかり。

自分だけでなく家族や友人、大切な人にプレゼントしても喜ばれるかもしれません。

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