【妊活者必見?!】「葉酸」は食品から取るべき?それともサプリでもOK?

どんな栄養素でもたくさん摂取すればよい、というものではありません。年齢、性別、病気の有無などに合わせて、適切な量の栄養素を摂取することが大切です。
葉酸は、摂取量のコントロールが必要な栄養素のひとつです。甲状腺や貧血などの病気治療や妊活、妊娠時の女性は葉酸を多く摂る必要があります
なぜ妊活時に葉酸を多く摂る必要があるのか、どのような食材に含まれるのか、天然食材からの摂取とサプリメント配合の合成葉酸は同じ働きをしてくれるのかなど、葉酸を上手に摂取するためのポイントを紹介しましょう。

葉酸の働き

葉酸はビタミンB群の仲間

葉酸とは水溶性ビタミンB群のひとつで、主に細胞や赤血球の合成に必要な栄養素です。水に溶けやすく熱にも弱いので、天然の食材から摂取する場合は調理に工夫が必要です。

妊娠、出産を検討している方は、常に多めに葉酸を摂るように心がける必要があります。妊娠初期は妊娠に気がつかない可能性もあります。しかし、妊娠初期の数週間が、もっとも多くの葉酸が必要とされる時期なのです。胎児の成長に影響するので、計画的な妊活とそれに合わせた葉酸摂取量を普段から意識して、コントロールしておくようにしましょう。。
食事から葉酸を摂取する場合は過剰摂取の上限はありません。妊活中は葉酸を多く含む食材を積極的に摂取するようにしましょう。

葉酸の働き

葉酸は、赤血球やDNAの合成に関わる栄養素です。1つの受精卵が活発に分裂し胎児が順調に育つためには、欠かすことができない大切な栄養素です。
妊活時、妊娠中、母乳の生成と妊娠から子育ての間は特に多く必要とされます。

葉酸は妊娠時以外にも放射線で傷ついたDNAの修復や動脈硬化予防、皮膚炎などの病気治療にも活用されています

葉酸と混同されがちな栄養素にヨード(ヨウ素)というものがありますが、これはまったく別のものでミネラルの一種です。甲状腺で作られる成長ホルモンの分泌に関わり、新陳代謝や子供の成長に影響を与えます。ヨードは海藻類に含まれ、特に意識しなくても日常の食生活でじゅうぶんな量を摂ることができます。
葉酸と名前と働きも似ているところがありますが、全く別の栄養素です。

多くの葉酸が必要となる場面

もっとも多くの葉酸が必要となるのは、妊娠の初期です。中期、後期には平時の必要量の倍程度の葉酸を摂取することが、厚生労働省から推奨されています。(厚生労働省: 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書)
出産後に母乳を与える時期も多くの葉酸が必要です。母乳は血液から作られ、赤血球の合成に葉酸が使われるためです。

その他にも健康維持、病気の治療でも葉酸は活躍します。
甲状腺の病気では多くの葉酸が必要です。また貧血、動脈硬化の予防や治療、肌荒れ、口内炎、皮膚炎の治療にも葉酸は活用されます。

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妊活を始めるなら葉酸摂取を増やそう

妊娠時に活躍する葉酸

細胞分裂、造血に必要な葉酸は、胎児の順調な発育に欠かすことができない栄養素です。胎児の成長に合わせて必要な葉酸の量は変化しますが、胎児の神経管(脳、脊髄、中枢神経など)が作られる妊娠初期には特に多くの葉酸が必要です。
その後の妊娠中期、後期にも平時の倍程度の葉酸が必要です。
母乳の元となる血液をじゅうぶん作るためにも、葉酸は必要です。妊活から子育てまで必要な量の葉酸をしっかり摂取することが、母子双方の健康につながります

妊娠中に必要な葉酸摂取量の目安

平常時に必要な葉酸の必要量は1日当たり240μgです。
気づきにくい妊娠初期には大量の葉酸が必要になります。その量は640μgにもなります。妊娠中期、後期は480μgの葉酸が必要です。
母乳を与えている間は、平時の240μgに加えて100μgの葉酸が必要です。
妊娠初期にじゅうぶんな葉酸を摂取するためにも、妊活は計画的にすすめましょう。

妊活時には男性も葉酸摂取を増やそう

妊娠、出産の主役は女性ですが、女性だけでは妊娠できません。男性の精子の数や活動量が、不妊の原因のひとつである可能性もあります。
健康な精子を作るにはバランスのよい栄養摂取が大切です。しかし、往々にして男性は野菜不足に陥りがちです。DNAを作るために葉酸をきちんと摂取することが必要です。ビタミンE、ビタミンC、リコピンや各種ミネラルも必要です。

なかでも亜鉛の欠乏は精巣の活動に影響を及ぼします。成人男性の亜鉛の必要量は11mgで約牡蠣4つ分です。毎日牡蠣を食べるのは難しいのでレバーや牛肉などの動物性食品の摂取を心がけましょう。ただし、亜鉛には40〜45mgが摂取上限とされています。様々な野菜と肉類をバランスよく摂取するようにしましょう。
食生活改善の効果が現れ始めるには、約3ヶ月近くかかります。パートナーとともに男性も食生活を整え、ともに妊活に向き合うことが大切です。

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効率よく葉酸を摂取する方法

葉酸摂取2つの方法

葉酸の摂取は大きく2つの方法があります。
ひとつは、天然の野菜や果物で葉酸を豊富に含む食材を積極的にメニューに加えること。

特に妊活を考えていないのであれば、日々のメニューを少し工夫するだけでじゅうぶんな葉酸を摂ることができます。しかし、妊活中、妊娠中には大量の葉酸が必要となります。また葉酸だけしっかり摂取していればよいわけではありません。葉酸を体内で効率よく活かすためには、ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、鉄分を同時に摂取することが必要です。また葉酸は水に溶け出し、熱に弱いという特性があります。天然食材だけで、バランスを取るのはちょっと難しそうです。

葉酸を含むバランスのよい食事を心がけつつ、大量の葉酸が必要な時期にはサプリメントの併用も検討してみましょう。

葉酸を含む食物

葉酸は様々な野菜、果物、肉、魚に含まれています。それぞれ代表的な食材と含まれる葉酸の量を紹介します。

野菜(それぞれ100g中の葉酸量、かっこ内はゆでた場合)

えだまめ:320μg(260μg)
ほうれん草:210μg(110μg)
アスパラガス:190μg(180μg)
モロヘイヤ:250μg(67μg)

海藻・豆類(100g内)

焼き海苔:1,100μg
わかめ(乾燥):440㎍
きなこ:250㎍
納豆:120㎍

果物(100g内)

イチゴ:90㎍
アボカド:84㎍
マンゴー:84㎍

魚・肉(100g)

煮干し:74㎍
めざし:34㎍
鶏レバー:1,300㎍
牛レバー:1,000㎍

それぞれ代表的なものを例としてあげています。他にも葉酸を含む食材はいろいろあります。このリストは対象食材を100g食べた場合の数値です。焼き海苔は1,100μgと豊富に葉酸を含んでいますが、実際には数gしか食べることはないでしょう。あれこれと少しずつメニューに取り入れてみましょう。

食材選びで注意すべき点もあります。それは葉酸以外に含まれている栄養素が、胎児に悪影響を与えるケースです。この中では、レバー類の食べ過ぎに用心が必要です。
レバー類は葉酸を豊富に含みますが、ビタミンAも豊富に含んでいます。ビタミンAの過剰摂取は胎児の奇形発生リスクが高まります。たまに少量を食べる程度なら問題ありませんが、日常的な摂取、大量摂取には注意しましょう。

葉酸サプリメントのメリット・デメリット

天然の葉酸とサプリメントに含まれる葉酸の大きな違いは、葉酸の吸収率です。天然の食材に含まれる葉酸はポリグルタミン酸型、サンプリメントに配合される葉酸はモノグルタミン酸型が主流です。
葉酸としての効果には違いはありませんが、体内への吸収率に大きな差があります。ポリグルタミン酸型は摂取量の約半分(50%)程度しか吸収されません。一方のモノグルタミン酸型は85%の吸収率と、天然の1.7倍もの差があります
先ほど食材ごとの葉酸含有量の例をあげましたが、実際に吸収し活用される量はその半分ということになります。

サプリメント利用のメリットとして、葉酸以外の栄養分もバランス良く摂取できるという点もあげられます。製品によっては葉酸しか配合されていないものもありますが、妊活用途のサプリメントにはビタミンC、マグネシウム、カルシウム、ビタミンD、鉄分など妊娠時に大切な栄養素がまとめて配合されているものもあります。特に鉄分は妊婦さんに限らず、不足しがちな栄養素です。妊娠中は胎児の血液も作らねばならないので、しっかりと摂取しなくてはなりません。その量は平常時の2倍以上、16mgとされています。

天然の葉酸だけで必要量を摂取し、さらに鉄分やビタミンDも多めに摂取し、ビタミンAは控えめになどと考え始めると、それだけでストレスになりそうです。妊婦用に葉酸とその他の栄養素も同時に摂取できるサプリメントは、あれこれメニューを考えるストレスから解放してくれ、しかも吸収率も優れています特に大量の葉酸を必要とする妊活中から妊娠初期には積極的な利用をおすすめします。

葉酸不足時、過剰摂取時のリスク

葉酸は胎児が順調に成長していくための、赤血球づくりやDNA合成、活発な細胞分裂に欠かすことができない栄養素です。特に神経系の構成が行われる妊娠初期にじゅうぶんな葉酸を摂ることは胎児の健全な発育にとても重要なことです。

元気な赤ちゃんを産むためには、妊娠時期に合わせたじゅうぶんな葉酸摂取が必要です。天然の食材に含まれる葉酸と葉酸サプリメントを組み合わせることで、大量の葉酸も楽にに摂取することができます。

では、サプリメントを妊活から出産後まで多めに取ればよいのか、というと必ずしも過剰摂取はプラスにはなりません。
2009年のオーストラリアでの研究報告では、葉酸の過剰摂取は子供のぜんそく罹患リスクが1.26倍になるとあります。これは葉酸サプリメントで1,000μ以上の葉酸を取り続けた場合のデータです。
この報告から、合成葉酸の配合されたサプリメントを忌避する方もあらわれました
しかし、その後の研究では1日に72,000μg以上の葉酸摂取でぜんそく発症のリスクが上がると報告されました。なぜ合成葉酸の大量摂取がぜんそくと結びつくのかなど、根本的な理由はまだわかっていません。

しかし、1日72,000μgの葉酸は明らかに過剰すぎます。妊娠初期のもっとも葉酸を必要とする時期でも、必要量は640μgです。食事と葉酸サプリメントの組み合わせで多少増減があったとしても、せいぜい1,000μgを超えない範囲でしょう。推奨量の72倍以上の葉酸を摂取し続けない限り、ぜんそくリスクは増加しません。適量を守って使用する限り、葉酸サプリメントに大きなデメリットはなさそうです
様々な製品がありますが、葉酸のみでなく必要な栄養素がまとめて摂れるマルチサプリメントを選ぶようにすること。この点だけ注意しておきましょう。

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葉酸活用のまとめ

妊活をサポートするサプリメントを活用しよう

最後に妊娠出産と葉酸の関係をもう1度簡単に整理します。

葉酸は胎児の成長に必要な、赤血球やDNA合成、細胞分裂に欠かせない栄養素です。天然の食物からも摂取できますが、妊活中や妊娠初期には大量の葉酸が必要になるので、葉酸サプリメントの併用がおすすめです。サプリメントに配合される葉酸は、天然の葉酸よりも吸収率がよく、摂取量の計算も容易です。簡単に必要量を摂取することができます。また、葉酸のほか、妊娠中に大切な栄養素も合わせて配合されているので、効率よい栄養摂取が可能です。

葉酸は水に溶けやすく、熱によって壊れてしまう性質を持っています。食材の調理時には特製を考慮した調理方法を検討しましょう。またビタミンAの過剰摂取は奇形発生リスクを高めます。レバー類は葉酸も多く含まれていますが、ビタミンAも多いので過剰摂取には注意しましょう。

合成葉酸を使用したサプリメントの場合、極端な過剰摂取が子供のぜんそく発症リスクを高めるという報告もありますが、規定量の72倍以上摂取した場合なので特に神経質になる必要はありません

葉酸は女性だけでなく、パートナーの男性にも必要な栄養素です。また男性の場合は亜鉛などのミネラルも重要ですサプリメントや食生活改善によって徐々に体質が改善されます。効果が現れるには約3ヶ月程度必要です。

妊活は女性だけで行うものでなく、男性も一緒になって行うものです。胎児に必要な栄養素である葉酸を多めに摂取しながら、その他の栄養バランスにも気を使うことが妊娠の可能性を高め、元気な赤ちゃんの誕生につながります。

*1 長崎甲状腺クリニック/ヨードと葉酸の違い
*2エレビットHP/葉酸サプリの種類  天然葉酸と合成葉酸の違い
*3  エレビットHP/日本人男性は野菜不足
*4 エレビットHP/亜鉛は男性妊活に欠かせない栄養素
*5 エレビットHP/葉酸を多く含む 食品リスト
*6 エレビットHP/知ってましたか?葉酸の働きに欠かせない栄養
*7 エレビットHP/葉酸を多く含む 食品リスト
*8 エレビットHP/葉酸・サプリメントの必要性
*9 葉酸サプリと子供のぜんそくリスクの関係は?

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