【間違うと効果なし?】腸活ダイエットの5つのやり方とよくある失敗5例

就活は就職活動、婚活は結婚相手を見つける活動のことを指します。では腸活は何を意味するかご存知ですか?腸活とは、腸内フローラを整える活動のことを意味します。腸内フローラとは何か、正しく理解していますか?間違った腸活をしてしまうと、やっただけの成果が得られないこともあります。せっかくの努力が無駄にならないように、正しい腸活について詳しく解説します。

腸活ダイエットとは

腸活の意味をきちんと理解せずに、何となく腸活ダイエットをしていませんか?間違ったダイエットをしていると、健康を害す る恐れがあります。健康的にダイエットを進めて成功するためには、基本的な知識と正しい方法を知ることが必要です。まずは腸活と腸活ダイエットについて、詳しく説明します。

腸内フローラは腸に咲いた細菌のお花畑

私たちの身体には、たくさんの細菌が棲んでいます。腸内にはそのうちの9割が棲んでいて、その数は100兆から~1000兆個*1 ともいわれています。私たちの身体を作る細胞の数がおよそ37兆2000億個ですが、それよりもはるかに多い細菌が腸内に存在します。目に見えないほど小さな細菌ですが、腸内の細菌を集めて重さを測ると1〜2Kgもあるそうです。*2

細菌は分裂を繰り返して増えていく結果、同じ細菌同士が集まって腸の壁に隙間なくびっしりとついています。細菌は集合体になると目で確認できるようになり、細菌の種類によって色や形など外観が異なります。この様子がお花畑(flora)のように見えることから、腸内フローラと呼ばれています。正式には「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)といいます。*3

腸内フローラを整える活動「腸活」

生まれる前の赤ちゃんの腸内は無菌状態です。生まれた瞬間から、細菌が体の中に入り込み腸内で増え始め、離乳期ごろから腸内フローラは安定します。腸内フローラには、1000種にも及ぶ腸内細菌が存在し、そのうちの30〜40種類の細菌で全体の大半を占めています。*4

ではなぜ私たちの腸内にこれだけの細菌を棲まわせているのかというと、細菌は私たちが消化できない物質を分解する酵素を持ち、栄養の吸収を助けてくれるからです。その見返りとして、細菌は生きるのに必要な食べ物と環境を腸内で手に入れました。つまり私たちと腸内細菌の間には、相互に助け合う「共生関係」が成り立っています。ただし、全ての腸内細菌が私たちに有益というわけではありません。腸内細菌には私たちにとって有益な善玉菌、有害な悪玉菌、そして健康体でいる限りにおいては有益にも害悪にもならない日和見菌があります。*4

善玉菌・悪玉菌・日和見菌の割合は、2:1:7が理想のバランスといわれています。*3 理想の状態をずっと維持できれば良いのですが、肉食中心の食生活、ストレス、加齢、抗生剤などの薬により、腸内細菌のバランス(腸内フローラ)が崩れてしまいます。

腸内フローラが崩れるということは善玉菌の減少を意味しますので、腸活は善玉菌が再び勢いを取り戻すような活動をすることになります。具体的には乳酸菌の摂取、善玉菌(乳酸菌、ビフィズス菌)の食べ物になるオリゴ糖や水溶性食物繊維の摂取が一般的です。

食べた乳酸菌は腸内に定着しない

生きたまま腸まで届く乳酸菌を摂取すると、摂取した乳酸菌が腸内で増えると思いがちですが、それは間違いです。生きて腸に到達したとしても、その乳酸菌が腸内で増えるわけではありません。数日経つと、便と一緒に排泄されてしまいます。*5
では乳酸菌を摂取しても意味はないかというと、そうではありません。短い期間ですが腸内に到達した乳酸菌は、生きるために食べ物を分解して乳酸などを産生します。乳酸は腸内を酸性に保ってくれるので、ウェルシュ菌などの悪玉菌の増殖が抑えられ、その間にもともと腸内にいた乳酸菌が再び数を増やします。摂取する乳酸菌は、もともといた乳酸菌が増えるのを助ける役割をしてくれるので、乳酸菌摂取は意味のあることです。*4

腸活に欠かせないプロバイオティクスとプレバイオティクス

悪玉菌の増殖を防ぐために摂取する、生きた乳酸菌などの善玉菌を「プロバイオティクス」といいます。*6  では死んだ乳酸菌は摂取しても意味がないかというと、そうではないことが研究で明らかになっています。オリゴ糖や食物繊維は、腸内の善玉菌の栄養になることで知られていますが、死んだ乳酸菌も同じく善玉菌の栄養になることがわかっています。これらは「プレバイオティクス」と呼ばれています。*7
腸活には、プロバイオティクスやプレバイオティクスの助けを借りながら進めるのが効果的です。

なぜダイエットに腸活が有効なのか

腸内細菌でもっとも多いのが日和見菌(全体の7割)ですが、この中の「バクテロイデス門」と「フィルミクテス門」に分類される細菌が多く占めています。そして、フィルミクテス門は肥満体型の人に多く、バクテロイデス門は標準体重の人に多いことがわかっています。*8

さらに標準体重の人に高カロリーの食事を3日間食べさせた後、排泄物を調べるとフィルミクテス門の細菌が増加し、バクテロイデス門の細菌が減少していることもわかりました。*9 肥満体型の人に少なくなるバクテロイデス門の細菌は、短鎖脂肪酸を産生します。短鎖脂肪酸は腸から吸収されて、脂肪細胞に働きかけると脂肪の取り込みが止まり、肥満を防ぐといわれています。*10 これらの結果から、標準体重であっても高カロリーを摂取し続けていると、脂肪を取り込みやすい体質に代わり、やがて太ってしまうと考えられます。

日和見菌というのは文字通り「有利な方の味方をする菌」です。脂肪の取り込みを抑制する短鎖脂肪酸を産生するバクテロイデス門は善玉菌を好む日和見菌なので、善玉菌を優勢にするとバクテロイデス門の細菌も勢いを増します。つまり太りにくい体質になるというわけです。

腸内環境が整うと、便秘にならないことや肌荒れなどのトラブルも少なくなるなど、太らないだけではなく、美容に良いことがたくさんあります。

腸活ダイエット5つの方法

それでは腸活ダイエットの方法を紹介します。

1.ヨーグルトや乳酸菌飲料など、乳酸菌を含む食品の摂取を習慣にする
摂取した乳酸菌は数日間腸内に留まるだけなので、定期的に乳酸菌を摂取することが必要です。

2.オリゴ糖や水溶性食物繊維を毎回の食事に取り入れる
オリゴ糖や水溶性食物繊維は善玉菌の栄養になり、産生される乳酸をはじめとする物質は、悪玉菌が増えにくい環境を作ります。水溶性食物繊維は腸からの栄養の吸収スピードを緩やかにするため、血糖値の急激な上昇を抑えます。その結果、糖から脂肪への代謝が抑えられ、ダイエットにも有効です。

3.食物繊維を含む食事を心がける
現代日本人が不足しがちといわれている栄養素は食物繊維ですが、不足すると便秘がちになり悪玉菌が増えて腸内環境が悪化します。

4.十分な水分を摂る
身体の約60%が水で構成されており、水が不足すると身体の機能が低下します。便秘の原因にもなるので、飲料としての水の補給は運動量などにより異なりますが、平均1.5リットル程度が目安とされています。

5.乳酸菌や食物繊維の補給にグルーんスムージーや青汁などを取り入れる
多忙な生活で食事のバランスが保てない時には、乳酸菌や食物繊維が入ったスムージーや青汁などを取り入れると安心です。

腸活ダイエットありがちな5つの失敗例

1.食物繊維の摂りすぎ
食物繊維が腸活に良いからといって、むやみに食べすぎると逆効果です。不溶性食物繊維は便のかさを増す役目がありますが、摂りすぎると便のかさが増えすぎて腸のぜん動運動でスムーズに運べなくなり、便が硬くなって便秘になる恐れがあります。また水溶性食物繊維を摂りすぎると、軟便や下痢をすることがあります。

2.ヨーグルトの食べすぎ
乳酸菌を摂取するために、ヨーグルトを食べすぎると糖質や脂肪を過剰に摂ってしまいます。そのためダイエットの成果が思うように現れないことがあります。

3.ストレス
腸活ダイエットを実践することに一生懸命になりすぎると、ストレスが溜まり逆効果です。自分を甘やかしすぎす、厳しくしすぎないことです。上記2つと同じで「過ぎたるは及ばざるが如し」です。

4.サプリメントや健康食品に頼りすぎる
サプリメントや青汁などの健康食品に頼り過ぎて、肝心の食生活の管理がおろそかになってしまうとダイエットに失敗しやすくなります。サプリメントや健康食品は、あくまでも補助的に使うものと認識することが必要です。

5.不規則な生活
栄養面だけ気にして、不規則な生活を送り睡眠不足になると、ダイエットは上手くいきません。睡眠時に分泌される成長ホルモンは、大人にとっても大切なホルモンで、寝ている間に分泌され、新陳代謝を活発にします。食欲に関係するホルモンも分泌されていて、十分な睡眠を取っていると食欲を抑制するホルモン「レプチン」の分泌が高まることが知られています。*11

腸活ダイエットを成功させるための秘訣

腸活ダイエットを成功させるために、ありがちな失敗例に気をつけながら、紹介した5つの腸活ダイエット法を実践しましょう。乳酸菌や食物繊維を摂取することに気を取られて、摂取カロリーが消費カロリーを超えすぎないように気をつけなければなりません。
運動の習慣を作れば消費カロリーが増えるので、食事内容の自由度がアップしてストレス軽減にもなります。

もう一つ重要なことは、摂取カロリーを管理することも大事ですが、それと同時に栄養素にも気を配ることが大切です。1日に必要な栄養素を意識して、バランスの良い食事内容を考えましょう。
バランスを摂ることが難しい時には、カロリーを抑えた補助的な食品が便利です。例えば栄養バランスが整ったグリーンスムージーや青汁などは、間食や軽食の代用にもなります。

グリーンスムージーや青汁というと、食物繊維とビタミン・ミネラル類が豊富というイメージですが、乳酸菌が配合され、おまけに低カロリーな商品もあります。
栄養価の高いチアシードと満腹感が持続するグルコマンナンの入ったスムージーがおすすめです。乳製品や豆乳に混ぜて食べるとさらに栄養価が高まります。

リンク⇨「ただの青汁でもない、ただのグリーンスムージーでもない”VI-DA(ヴィーダ)”」

<参考文献>

*1: An estimation of the number of cells in the human body (Annals of Human Biology  Nov-Dec 2013;40(6):463-71.)Taylor & Francis Group

*2: シリーズ 腸内細菌叢1 腸内細菌叢の基礎(モダンメディア 60巻 10号 2014. 307-11)栄研化学株式会社

*3: 腸内細菌叢(腸内フローラ)とは | 健康長寿ネット 公益財団法人 長寿科学振興財団

*4: 腸内細菌の種類と定着:その隠された臓器としての機能(日本内科学会雑誌 104巻 1号  2015. 29-34)一般社団法人 日本内科学会

*5: 食べた乳酸菌は定着しない | Daiwa 大和薬品株式会社

*6: プロバイオティクス(probiotics) | 公益財団法人 腸内細菌学会/(旧)日本ビフィズス菌センター

*7: プレバイオティクス(prebiotics) | 公益財団法人 腸内細菌学会/(旧)日本ビフィズス菌センター

*8: An obesity-associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest (Nature volume 444, pages 1027–1031 2006)

*9: Energy-balance studies reveal associations between gut microbes, caloric load, and nutrient absorption in humans (American Journal of Clinical Nutrition 2011 Jul; 94(1): 58–65.)

*10: 健康コラム vol.146 肥満や病気に深い関係のある「腸内フローラ」の秘密 | OMRON

*11: 睡眠と生活習慣病との深い関係 | e-ヘルスネット 厚生労働省

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