【鉄の効果効能】多く含む食品・摂取量基準・研究情報について

鉄分というと貧血予防に欠かせないミネラルとして有名ですが、他にも作用があることを知っていますか?酸素を運搬する以外にも、酵素の材料、エネルギーの産生などにもか関わる、生命維持に欠かせないミネラルです。

しかも、現代の日本人は鉄が不足している傾向があり、成人女性の5人に1人が鉄欠乏性貧血とも言われています。そこでこの記事では、鉄の効能効果、欠乏症・過剰症や最新の研究情報、多く含まれる食品まで一挙にご紹介します。ぜひ、鉄不足が気になっている方は最後までお読みになってください。

鉄とは

鉄は体内に3〜4g含まれ、主にタンパク質と結合して存在しています。赤血球を作るために欠かせないミネラルであり、カルシウムと同じく不足しがちなミネラルでもあります。
鉄の60〜70%は血液中に、約4%は筋肉に含まれて、これらは機能鉄といわれます。

残りの鉄は貯蔵鉄といわれ、肝臓や脾臓、骨髄に存在し、普段は使われません。不足した際に、貯蔵鉄が動員されて鉄が補われるような仕組みになっています。

とくに、鉄が不足しやすいのは女性です。月経がある女性は毎月1回血液を失うため、鉄も不足しがちになります。その結果、鉄欠乏性貧血を起こしやすいのです。現代人は、生活スタイルや食生活の変化から鉄不足になりやすく、慢性的な欠乏状態のことも多いと言われています。*1

鉄の効果効能・体内における作用や役割

 鉄は赤血球中に含まれ酸素を運搬する働きが有名ですが、他にも生命を維持する上で欠かせない働きがあります。意外なところにも鉄が関係しているので、鉄の効能効果、体内における役割などについて理解を深めましょう。

酸素を運び、二酸化炭素を回収する

鉄の最も大事な役割は、酸素を運ぶことです。ヘモグロビンという言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、ヘモグロビンの成分として鉄はまさにキーマンです。ヘモグロビンはグロビンというタンパク質と鉄が結合したものです。肺から吸い込んだ酸素とヘモグロビンが結びつき、心臓を通り全身に酸素が供給されます。さらに、ヘモグロビンは二酸化炭素を各組織から回収して肺に運んできれいにする働きもあります。

エネルギーの産生

鉄はエネルギーを産生する上でも欠かせません。エネルギー代謝とは、体を動かしたり、基本的な臓器などの働きを維持するために必要な燃料のようなもの。酸素を使ったエネルギー代謝サイクルにも鉄が関わっています。*2 

酵素の材料となる

反応を触媒するタンパク質を酵素と呼びますが、鉄はさまざまな酸化還元反応を触媒する酵素の活性を発揮するためにも必要なミネラルです。その代表がリボヌクレオチドリダクターゼという酵素で、DNAを合成する上で必要な酵素です。つまり、鉄がなければ遺伝情報を司っているDNAを私たちは作ることができないのです。*3

コラーゲンを作る原料になる

意外と知られていないのですが、お肌のうるおいや弾力のもととなるコラーゲンの生成にも鉄が関わっています。コラーゲンの原料はタンパク質で、コラーゲンを合成する際には、鉄、鉄が必要です。つまり、鉄が不足するとお肌のうるおいやハリが失われ、シワができやすくなる可能性もあります。*4 

爪や髪の毛などの美しさ・強度を保つ

爪が二枚爪になったり、割れたりしやすいという方はいませんか?爪は末端の血液の状態を確認できるバロメーターでもあります。爪が割れやすいということは、爪まで栄養が届いていないという証拠です。爪に線や亀裂が入っているという方は要注意です。

また、爪と同じく髪の毛も鉄不足で美しさが損なわれます。髪の毛は極端にいえば生命維持には関係ない部分であり、栄養不足の状態では栄養の分配が後回しにされてしまいます。髪の毛の美しさをキープするには、十分な血流が必要。そのためにも原料である鉄が欠かせないのです。*4

体の組織や臓器に貯蔵されている

 鉄には機能鉄と貯蔵鉄があるとお話ししましたが、貯蔵鉄は主に肝臓、脾臓、骨髄に貯蔵されています。鉄が不足すると、これらの場所から貯蔵鉄が使える状態になり、供給されるため直ちに鉄欠乏に陥ることはありません。

また、筋肉中にも酸素を蓄えるミオグロビンという形で存在します。筋肉を動かすためには酸素の存在が不可欠。激しい運動をする人は、より多くの鉄が必要です。*1

鉄はどういった時、意識して摂取するべきか

では、鉄はどんな症状があるとき、どんな場合に意識して摂取するべきなのでしょうか?とくに鉄を積極的に補いたい人、意識して摂取するべきタイミングについて解説します。

月経のある女性

月経のある女性は鉄を月経とともに失いやすく、他の年代の女性や男性と比べても必要量が多くなります。鉄不足はさらに貧血の原因にもなり、近年30代の女性のうち5人に1人がヘモグロビン(血色素)が低いという報告もあります。女性にとって鉄は欠かせない栄養です。

貧血になると血が十分に作られないため、全身に酸素が十分に行き届かず倦怠感や疲れを感じやすくなったり、頭痛や動悸、冷えなどがあらわれることもあります。なんとなく不調と思っている女性は調べてみると鉄不足が原因という可能性もあるかもしれません。*5

鉄不足を指摘された人

健康診断で血液検査を受けると「血色素」「ヘモグロビン」という項目があります。これらが鉄とたんぱく質が結びついた赤色素たんぱく質のことであり、貧血の指標になります。
もし健康診断で「血色素」や「ヘモグロビン」が低いと指摘された人は、鉄を意識した食生活にすること、また改善が難しい場合には鉄剤が必要な場合もあります。

運動量が多い人、筋肉をつけたい人

鉄はエネルギー産生に必要なミネラルであり、しかも筋肉量が増えれば増えるほど必要量が増加します。さらに運動強度高い人は、体への衝撃も大きく、赤血球が溶血といって壊れやすくなります。また大量の発汗とともに鉄を失うこともあるので、より多くの鉄が必要です。

筋肉トレーニングで筋肉量を増やしたい方や、運動選手など筋肉量が多い方は、鉄不足に陥らないように意識することが大切です。*2

内側から美しくありたい人

鉄と美容の関係にも注目が高まっています。鉄はお肌の美しさの維持に欠かせません。
鉄が不足するとお肌の新陳代謝が低下し、シミができやすくなるとも言われています。また、鉄不足では十分な血液が全体にいきわたらないため、お肌が青白く顔色が悪く見えることも。先ほど説明したように、コラーゲン不足になり、シワができやすくなってしまう可能性もあります。

さらに、毛髪の美しさを維持したい方にとっても、鉄は積極的に補いたいミネラルです。髪の毛は頭皮の毛根が毛細血管を通じて酸素や栄養を吸収し、健康的な状態を保っています。鉄分が不足すると髪の毛まで十分に行き渡らなくなってしまい、髪が細くなったり、抜け毛が増えたりすることもあります。*4

妊娠出産のとき

女性において妊娠出産のときは、特に鉄不足に気をつけたいタイミングです。妊娠中は胎児への栄養供給の分もあるため、より多くの鉄を必要とします。母親が鉄不足だと胎児も鉄不足となり、低体重や早産の原因になることがあります。

また、出産時には出血を伴うため、出血量が多いと産後に鉄欠乏性貧血になる人もいます。妊娠中に焦って対処するよりも、妊娠を準備する段階から鉄欠乏に対処し始めることが大切です。

鉄の欠乏症(症状/対策)

鉄は現代人が不足しがちな栄養であり、女性だけではなく男性も例外ではありません。鉄が不足すると、一体どんな不調となって現れるのでしょうか?また、鉄不足による不調はどう対策すれば良いのでしょうか。

鉄欠乏性貧血

鉄の欠乏症として最も代表的なのは鉄欠乏性貧血です。貧血にも、再生不良性貧血、悪性貧血など原因による種類がありますが、鉄欠乏性貧血は名前のとおり「鉄の欠乏」を原因とする貧血です。

症状としては、次のような不調が起きることがあります。

  • からだが重い
  • 息がきれる
  • 顔色が悪い
  • 疲れやすい など

男性:ヘモグロビン[Hb]値<13g/dl、女性:Hb値<12g/dl

以上の値が基準値となり、もし健康診断で鉄欠乏としてされた場合には注意が必要です。
若い女性では4人から5人に1人が鉄欠乏貧血であるとのデータもあります。*8

ただし、鉄不足になり以上のような深刻な症状が出てくるのは、かなり貧血が進んでからです。症状がないからといって鉄欠乏状態が心配ないわけではありません。

骨・皮膚・粘膜の障害

鉄は皮膚や骨を強くするために欠かせない栄養素であり、不足するとコラーゲン不足による骨や肌の異常、あざができやすくなる、毛髪や爪などの異常が起きることがあります。また、粘膜の働きが悪くなり、舌に異常が起きる場合もあります。

消化器系の症状

鉄欠乏により次のような消化器症状が起きることもあります。

  • 嚥下障害
  • 食欲不振
  • 下痢
  • 便秘
  • 氷を好んで食べる(氷食症)

他にも、理由がわからないのにイライラする、情緒不安定、耳鳴りなどの不定愁訴も鉄不足が原因のことがあります。*6

<対策>

以上のような鉄不足による症状が出ている場合、血液検査で鉄不足を指摘された場合には、鉄を食事またはサプリ、お薬などから補給することが必要です。

また、鉄は鉄だけ補っても吸収されにくいため、同時に吸収を助けるビタミンC、ヘモグロビンの原料となるタンパク質と一緒に補うことがポイントです。

鉄の過剰症(症状/対策)

鉄は摂りすぎると、過剰症を起こすことがあります。通常の食生活では過剰症になることは稀ですが、サプリメントなどから上乗せ摂取している場合は注意が必要です。

人体には通常2から3g程度の鉄が含まれます。これ以上増えると、臓器に鉄が沈着して「鉄沈着症」を起こし、鉄が臓器にダメージを与えてしまいます。

本来鉄は酸素と結合しやすく、血液中で酸素を運ぶ役目を持っていますが、その性質がゆえに、鉄が多すぎると酸素と結びついたものが細胞にダメージを与えてしまうのです。若い女性を中心に日本人は鉄が不足しがちな傾向にありますが、摂りすぎによるリスクがあることも覚えておきましょう。

鉄の研究情報

鉄は馴染みのあるミネラル分ですが、近年は研究が進み新しい知見も明らかになっています。ここでは鉄の新しい研究情報を中心にご紹介します。

鉄が運動パフォーマンスを向上させる

ある研究によれば、「鉄欠乏によるヘモグロビンの低下では、持久力の指標となる最大酸素摂取量VO2maxの低下が認められる」との報告があります。*9

組織鉄の欠乏や貯蔵鉄(フェリチン)の減少により、筋中鉄含量タンパクの合成が抑制されるため、筋肉の酸素摂取量が低下すると筋肉のパフォーマンスが低下すると考えられています。

有酸素運動はもちろん無酸素運動の筋肉トレーニングにも、鉄分は欠かせません。運動パフォーマンスがなかなか上がらないという方は、鉄を意識してみてはいかがでしょうか?

アルツハイマー病の進行と鉄に意外な関係?

豪メルボルンの研究グループにより、脳内の鉄分量から認知症の一つであるアルツハイマー病の発症時期を予測できることが発見されました。さらに同グループでは、「デフェリプロン」という過剰な鉄を取り除く製剤を開発中で、これによりアルツハイマー病の進行を食い止めようという動きがあります。

そもそも体にとって不可欠な鉄ですが、過剰になると危険信号が送られるようなメカニズムがあるとも考えられています。もともと細胞には致死量の金属を引き入れて細胞死に至るプログラムが仕組みとして存在しているというのです。

鉄に限らず言えることですが、何でも摂りすぎは良くないということですね。*10

鉄の摂取に気をつけるべき人(薬の飲み合わせ等)

鉄を積極的に摂取する場合、一般的には目安量が指標になりますが、一部の疾患やお薬を服用中の場合は注意が必要です。

  • レボトパ製剤(パーキンソン病の治療薬)を服用している
  • レボチロキシン(甲状腺疾患の治療薬)を服用している
  • プロトンポンプ阻害剤(胃酸分泌を抑える薬)を服用している

これらのお薬を服用中、または何らかの疾患の治療中の人は、サプリメントなどから鉄を積極的に摂取して良いか医師に相談しましょう。*11

さらに、次のような方は、鉄の摂取に制限が必要な場合があります。

  • C型慢性肝炎の患者

肝臓には鉄が貯蔵されており、万が一の欠乏に備えた量を確保しています。しかし、C型肝炎ウイルスに感染していると、肝臓の鉄貯蔵量を調節する仕組みに異常が生じ、鉄が過剰に蓄積してしまいます。さらに、鉄からフリーラジカルなどが発生してDNAを傷つけ、肝がんのリスクを高めるともいわれています。治療中の方は、必ず医師にご相談ください。*12

鉄の1日摂取量の目安(年齢別)

鉄はからだにとって必須なミネラルであり、体に貯蔵する分まで確保できるように十分に摂取することが大切です。ただ、現代の日本人は若い層を中心に鉄が不足しがちです。十分に摂取するためにも、まずは基準値を知っておきましょう。

鉄の1日あたりの目安摂取量は性別および年齢によって異なります。

※6か月未満については推奨量ではなく、目安量です。
※1歳未満では耐容上限量が示されていませんが該当月齢の推奨量および目安量を参考に適度な摂取が大切です。

妊婦、授乳婦では月経なしの推奨量に各付加量を加えた値を用います。妊婦、授乳婦では耐容上限量の掲載がありませんが、上限なく摂取して良いというわけではありません。通常時の耐容上限量を参考に適度な摂取を心がけましょう。*13

鉄を多く含む食品食品群

鉄を含む食品は主に動物性食品ですが、中でもレバー(肝臓)は鉄分が多い食品として有名です。ただ、毎日のようにレバーを食べるわけにもいかないと悩んでいる方も多いはず。ここでは、鉄を多く含む食品群をご紹介します。*5

肉・肉加工品

鉄は筋肉中や肝臓中に多く貯蔵されているため、動物性食品に豊富に含まれています。

とくにレバーはその代表格。しかも、肉類の場合は、鉄の中でも吸収されやすい「ヘム鉄」が含まれます。ヘム鉄が入った食品は特定保健用食品(トクホ)にも認められており「鉄の補給が必要な貧血ぎみな人に最適」などと表示されているほどです。

(100gあたり)
豚レバー・・・13.0mg
鶏レバー・・・9.0m
牛もも赤身肉・・・2.7mg

貝類

実は貝類も意外と鉄分が多い食品群であり、吸収されやすいヘム鉄が豊富です。貝類は出汁としても使えて、独特な風味で食卓を豊かにしてくれる食材でもあります。

(100gあたり)
シジミ・・・8.3mg
赤貝・・・5.0mg
あさり・・・3.8mg

野菜類

肉類や貝類だけではなく、野菜にも鉄分が含まれるものが多くあります。野菜など植物性食品に含まれるのは非ヘム鉄とよばれ、ヘム鉄に比べて吸収が落ちます。緑黄色野菜は鉄分補給目的というよりも、鉄分以外のミネラルやビタミンなどのバランスの良い摂取源としておすすめです。

大根の葉・・・3.1mg
菜の花・・・2.9mg
小松菜・・・2.8mg
枝豆・・・2.7mg

海藻類・大豆製品

鉄は海苔などの海藻類の一部や大豆製品にも含まれています。野菜と同じく非ヘム鉄が中心です。とくに海苔などの海藻類は少量でもたっぷりと鉄分を補うことができる優秀な食品です。

(100gあたり)
青のり(*10gあたり)・・・7.7mg
生ゆば・・・3.6mg
納豆・・・3.3mg
生揚げ・・・2.6mg

鉄を多く含む野菜上位10位

バランス良い食生活のために欠かせない存在である野菜。鉄分は緑黄色野菜に多く含まれていて、同時に食物繊維やビタミンなども補うことができます。*1, 14

(100gあたり)
パセリ 生・・・7.5mg
乾燥切り干し大根・・・3.1mg
だいこん葉 生・・・3.1mg 
こまつな 生・・・2.8mg
えだまめ 生・・・2.7mg
サラダ菜 生・・・2.4
かぶ葉  生・・・2.1mg
水菜・・・2.1mg
ほうれんそう  生・・・2.0mg
みつば(根みつば)・・・1.8mg

鉄を多く含む魚類/肉類上位10位

動物性食品の魚類・肉類は鉄の宝庫であり、吸収のよいヘム鉄の宝庫です。とくに肉類であればレバーや赤身肉に多く、比較的身近な食品から効率よく補うことができます。ただし、肉類は同時に脂質の摂りすぎになりやすいため、偏らないように注意しましょう。*1

あゆ(天然)内臓・・・24.0mg
ぶた スモークレバー・・・19.8mg
かたくちいわし 煮干し・・・18.0mg
干しえび・・・15.1mg
ぶたレバー 生・・・13.0mg
鶏レバー 生・・・9.0mg
削り節・・・9.0mg
しじみ 生・・・8.3mg
ぶた レバーペースト・・・7.7mg
うし 第三胃(センマイ)生・・・6.8mg

鉄を多く含む穀類上位10位

私たちの主食として欠かすことができない穀類にも鉄分が豊富に含まれます。精米された白米はぬか層が剥がされてしまっているため、栄養価が落ちてしまいます。以下のような穀類を混ぜ合わせた雑穀米などで、主食からも鉄分を補うのがおすすめです。*15

(100mg中)
小麦胚芽・・・9.4mg
アマランサス 玄穀・・・9.4mg
米ぬか・・・7.6mg
小麦たんぱく粉末・・・6.6mg
焼きふ/板ふ・・・4.9mg
あわ ・・・4.8mg
キヌア/玄穀・・・4.3mg
ポップコーン・・・4.3mg
焼きふ/車ふ・・・4.2mg
そば粉・・・・4.2mg

鉄はサプリメントで意識的に摂取すべきか

鉄は若い女性を中心に不足しがちな栄養素です。まずは、食生活を見直し、肉類や魚類、海藻類、大豆食品などを取り入れて、鉄分を食事から補うことを目指しましょう。とくに吸収に優れているヘム鉄は肉類や魚類から補うのが効率がよくおすすめです。

ただし、食事を見直しても十分な鉄分を補えない場合には、サプリメントを活用するのも有効な手段です。さまざまな種類のサプリメントが販売されていますが、吸収を考慮してヘム鉄のサプリを活用すると効率よく補うことができます。

とくに意識的に摂取すべきなのは、月経のある女性や健康診断で鉄不足を指摘された方などです。ただし、貧血と診断された場合には、自己判断で摂取するのではなく、医師の指示に従うようにしましょう。

鉄と合わせて摂取すると効果的な栄養素

鉄には非ヘム鉄とヘム鉄がありますが、とくに非ヘム鉄は吸収がよくありません。非ヘム鉄もヘム鉄も、両方とも吸収をよくするには「ビタミンC」「タンパク質」の摂取がおすすめですこれらの栄養は鉄の吸収を高めてくれます。

また、胃酸の分泌が多い方が鉄分の吸収を高めます。胃酸分泌を促す食品として、酢や梅干し、レモンなどの酸味のあるもの、香辛料と一緒に摂るのも効果的です。ただし、胃潰瘍など疾患がある場合には症状を悪化させる恐れがあるため注意してください。

さらに、貧血予防のためであれば、赤血球の生成を促すビタミンB12も一緒に補いましょう。*8

青汁で鉄は効率的に摂取可能か

サプリメントではなく、もっと手軽に鉄を補いたいという場合に、気になるのが青汁ではないでしょうか?健康に良いイメージが強い青汁ですが、鉄分補給の面から見ると、どんなメリットがあるのでしょうか。1日あたりの摂取量などもご紹介します。

青汁から鉄の補給はできる?

青汁とは緑の葉野菜から搾り取った汁のことであり、粉末化した製品もあります。青汁には、ビタミンやミネラル、食物繊維、ポリフェノールが含まれ、栄養のサポートに役立っています。

青汁の主原料といえば、ケール、大麦若葉、明日葉、さらにホウレンソウや小松菜など身近な野菜も使われます。これら緑の葉野菜には非ヘム鉄が含まれているため、鉄分補給に一役買ってくれます。

ただし、一般的な青汁には、鉄分をそれだけで補えるほど多くは含まれていません。とくに鉄分を補いたいという場合には、次のような鉄分をプラスした製品(栄養機能食品)を選ぶと良いでしょう。

乳酸菌のまろやか青汁 鉄分プラス・・・鉄 4.11mg(1包あたり)
鉄分入り九州産大麦若葉の粉末青汁・・・鉄 7.5mg(1包あたり)
ユーワ おいしいフルーツ青汁 1日分の鉄&葉酸・・・6.8mg(1包あたり)

市販品の中には、1日分の半分以上を補うことができると謳うような商品もあります。ただし、全てが吸収されるとは限らず、青汁だけに頼らずバランスの良い食生活と一緒に取り入れましょう。

鉄分補給に効果的な飲み方

青汁から鉄分を効率よく補うためには、次のような飲み方がおすすめです。

  • 牛乳や豆乳などに混ぜることで、タンパク質を同時に補う
  • 柑橘系やいちご、キウイなどのフルーツをプラスして、ビタミンCを一緒に補う

そのまま青汁を飲むのも良いですが、鉄分の吸収をより高めるには、このような工夫をすると効果的です。続けることが大事なので、お好みの味を見つけて、毎日に取り入れていきましょう。

まとめ

今回は鉄のはたらき、役目、欠乏症や過剰症、摂取目安量など一挙にご紹介しました。鉄の補給が気になっていた方、鉄不足が気になっている方は、少し知識が深まったのではないでしょうか。

鉄分は吸収されにくく、とくに若い女性では栄養バランスに気をつけていても不足しがちな栄養です。鉄分不足は貧血に繋がり、明らかな症状が出ていなくても実は隠れ貧血という方も多いので注意が必要です。

鉄分はレバーや赤身肉だけではなく、海藻類、大豆製品、緑黄色野菜にも含まれています。食事だけで補いきれない分はサプリメントや青汁などを活用して補うと良いでしょう。 私たちの生命維持に欠かせない血液を作る鉄分。ぜひ、毎日の食生活から積極的に補っていきましょう。

【参考資料】
1 : 健康長寿ネット,ミネラル成分の鉄分の働きと1日の摂取量
2: グリコ, 運動に鉄分はなぜ必要か。ヘム鉄で効率的に吸収しよう
3:京都大学大学院医学研究科細胞機能制御学
4: 大正製薬ダイレクト, 健康コラム
5: あたらしい栄養学,高橋書店, 吉田企世子
6 : 新百合ヶ丘総合病院, 鉄欠乏症状について
7: 松戸市, 2.産後のからだ
8: NIPRO,すこやかネット,鉄と鉄欠乏性貧血
9 :ILS株式会社, 鉄の重要性
10: J Alzheimers Dis. 2018;64(s1):S379-S395
11:厚生労働省eJIM , 鉄
12: 太陽化学株式会社, 鉄分不足や過剰摂取に注意が必要な人
13 : グリコ, 栄養成分ナビゲーター,鉄
14: 独立行政法人農畜産業振興機構, 栄養成分別野菜ランキング
15: 文部科学省食品成分データベース 

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