【カリウムの効果効能】多く含む食品・摂取量基準・研究情報について

 カリウムというミネラルの名前は聞いたことがあっても、どのような働きをしているか正しくは知らないという方も多いのではないでしょうか?カリウムは体の基本となるミネラルの一つであり、細胞内の水分量の調整、血圧の調整、筋肉の働きの維持に欠かすことができません。

さらに、カリウムは塩分を摂りすぎる傾向がある日本人にとっては大切な存在でもあります。そこで、あまり知られていないカリウムの働きについて、今回はご紹介していきます。摂取量、欠乏症や最新の研究情報、多く含む食べ物まで一挙に紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください。

カリウムとは

カリウムは細胞内に最も多く含まれるミネラル(無機質)です。成人の体内には約120gから200gのカリウムが存在します。人間だけではなく生物にとって必須元素であり、細胞内液に存在して細胞内の水分量を適切に維持しています。

また、ナトリウムを排出する作用があるため、塩分の摂りすぎによる体内のミネラルバランスの乱れの調整、血圧を調整するためにも欠かせません。


カリウムはそのままの遊離イオンとして存在するものもあれば、リン酸塩、タンパク質との結合体としてほとんどは細胞内にありますが、一部は血液中やリンパ液などの体内、骨の中にも含まれています。*1

カリウムの効果効能・体内における作用や役割

カリウムは主に細胞内に存在するミネラルですが、その働きは血圧の調整から神経伝達、筋肉の収縮など多岐にわたります。ここでは詳しい作用と役割について解説します。

細胞の浸透圧を調整している

カリウムは細胞内にカリウムイオン(K+)として存在して、細胞内の水分量を適切に維持しています。細胞内外にはナトリウム、カルシウム、マグネシウム、そしてカリウムなどのイオンが存在していて、水分量や電荷を調整しています。

ホメオスタシス(生物恒常性)という言葉を聞いたことはありませんか?ヒトなど動物には常に体を正常に保とうと働くシステムが備わっています。水や食べ物などを摂取すると、体の中のミネラルバランスは一時的に崩れます。しかし、ホメオスタシスのおかげで、体は常に一定のバランスを保つことができます。

カリウムは約90%が細胞内に存在して、細胞外液中には2%しか存在しません。細胞内のカリウムは水分を保つ働きがあり、細胞の浸透圧を保つ働きをします。細胞が適度な大きさを保っていられるのは、正常にカリウムが働いている証なのです。*2

神経の興奮性にかかわる

神経伝達にはさまざまなミネラルイオンが関係していますが、カリウムもその一部を担っています。神経細胞のまわりはイオンが多数存在していて、神経細胞や細胞膜は刺激に応じて活動電位という形でシグナルが発生します。

細胞内はもともと細胞外と比べてマイナスの電荷に保たれています。これはナトリウム-カリウムチャネルというポンプ機能をもつタンパク質により、細胞内外のナトリウムとカリウムイオンなどのバランスが異なるように調整されているためです。

刺激が与えられると、細胞内にプラスイオン(ナトリウムイオン)が流れ込み、細胞内が相対的にプラスとなって興奮(脱分極)が起こります。その不均衡を調整するために、今度はカリウムイオンが細胞内から細胞外へと流出すると、神経興奮は抑制されます。

少し専門的になってしまいましたが、カリウムとナトリウムの両方が存在することで、神経の興奮と伝導が起きるということを覚えておいてください。*3

筋肉のはたらきをコントロールする

神経の働きだけではなく、カリウムは筋肉の収縮にも関わっています。よくマラソン選手やサッカー選手などが、運動中に足がつってしまうことがありますが、これはカリウムなどの電解質を発汗により大量に失うことが原因です。

カリウムは筋肉細胞の中にも大量に含まれています。筋肉の収縮は、ナトリウムイオンとカリウムイオンが筋肉細胞へ働きかけることで起こります。カリウムとナトリウムの両方がバランスよく存在することで、筋肉は正常に収縮して動くことができるのです。*4

体液のpHバランスを保つ

血液や体液は通常pH=7.4と弱アルカリ性を保っています。7.40±0.05程度の狭い範囲で正常な機能を維持できるようになっており、それより酸性に傾いても、アルカリ性に傾いても細胞の機能が正しく発揮できなくなります。*5  カリウムはこの体液のpHを適正に保つ働きも担っています。*1

塩分(ナトリウム)の摂り過ぎを調整

 カリウムの働きとして日本人に非常に関係が深いのが、塩分の摂り過ぎを調整する役割です。カリウムは先ほど説明したように、ナトリウムとバランスを取り合う関係にあります。ナトリウムを摂りすぎると体内のカリウムが過剰なナトリウムを排泄する方向に働きます。

日本人の場合、海に囲まれた環境であるため古くから塩をたくさん使う食習慣があります。ナトリウムの過剰摂取は高血圧など生活習慣病にも繋がるリスクがあるため、その排泄を促す作用があるカリウムの摂取が重視されています。*6

カリウムはどういった時、意識して摂取するべきか

では、カリウムはどんな人、どんな状態のときに特に必要なミネラルなのでしょうか?ここではカリウムの不足に注意したい人、意識して摂取すべきタイミングについてご紹介します。

運動時のパフォーマンス向上

カリウムは筋肉や神経のはたらきの維持に関わるミネラルです。カリウム不足は神経伝導や筋肉収縮にも影響します。とくに、運動時は発汗によりカリウムなどの電解質を失いがちになるため、カリウムを意識的に補うことが大切です。運動前にカリウムを補うと、運動パフォーマンスの向上にもつながります。

足がつりやすい人

筋痙攣の症状である「足がつる」という症状に悩まされている方は、カリウムの摂取を意識すると良いでしょう。運動時に限らず、夜間に足がつるという方も、もしかしたらカリウム不足かもしれません。*7

高血圧の予防

カリウムには高血圧を予防する効果があります。ナトリウムには水分を体内に貯留する作用がありますが、カリウムは逆に水分を尿中に排泄させる作用があります。これは腎臓でのカリウムの働きが関係しています。腎臓でナトリウムは再吸収されますが、カリウムにはこの再吸収を防ぐ働きがあります。

ナトリウム過剰によりナトリウムが体内に貯留すると、濃度を調整しようと水分が血液中に集まります。すると、循環する血液量が増えて血圧が高くなります。さらに、ナトリウムの排出を促そうと心臓は腎臓により多くの血圧を送ろうとして、血圧が上がります。

そのため、ナトリウム排泄を促すカリウムを補って、過剰なナトリウムの排泄を促すことにより、血圧が下がるというメカニズムです。

なお、世界保健機構(WHO)が2012に提案した高血圧予防のために望ましい摂取量によれば、成人で1日に3,510㎎のカリウム摂取が必要とされています。*8

むくみ予防に

カリウムには水分排泄を促す作用があるため、むくみ防止にも効果が期待できます。塩分を摂り過ぎると翌朝顔がパンパンにむくんでいるという経験はありませんか?これは、塩分(ナトリウム)が水分を溜め込む性質があるためです。

むくみの原因となるナトリウムを排泄させるためにも、カリウムが活躍してくれます。
むくんでいるな、というときは、ぜひカリウムが多い食べ物を取り入れてみましょう。

 塩分を多く含んだ食事を摂るとき

ここまでお話したように、カリウムにはナトリウムとバランスを取り合う働きがあり、ナトリウム排泄を促す作用があります。日本人の高血圧の最大の要因ともいわれているのが、塩分の過剰な摂取です。*9 そのため、塩分を多く摂りがちな日本人の食生活において、カリウムの摂取は非常に重要です。

例えば、塩分の多いラーメン、味噌汁、塩蔵食品、保存が効く加工食品などを摂るときには、同時にカリウムの多い食材を意識的に食べるようにすると良いでしょう。

骨粗しょう症予防

最近ではカリウムが骨の健康にも関わることが明らかになってきました。骨を強くするミネラルといえば、カルシウムやマグネシウムばかりに着目されがちですが、カリウムも骨の維持に大切な役目を担っているのです。そのメカニズムとしては、尿中カルシウム排泄の抑制、骨吸収(骨を壊す働き)の抑制などが考えられています。*10

カリウムの欠乏症(症状/対策)

カリウムは多くの生鮮食品に含まれているため、果物や野菜などを毎日しっかり食べていれば基本的に不足することはありません。しかし、カリウム不足に陥ると、低カリウム血症となり、さまざまな体調変化を引き起こします。

低カリウム血症とは

血液中のカリウム濃度が低下した状態のことをいいます。血中カリウムが3.5mEq/L以下になると低カリウム血症となり、例えば次のような症状が起こります。*11

  • 筋力の低下や筋肉痛
  • 不整脈
  • 食欲不振
  • 悪心(おしん)、嘔吐(おうと)
  • 便秘
  • 呼吸筋麻痺
  • 自律神経失調

血圧が高くなる

カリウムはナトリウム排泄を促して、血圧を下げる働きがあります。そのためカリウムが不足すると、ナトリウムが体内に溜まりやすくなり、結果的に血圧が上昇する恐れがあります。

以上のようなカリウム不足による欠乏症を防ぐためにも、日頃から野菜や果物などを食べるように心がけることが大切です。多く含む食品については後ほどご紹介します。

カリウムの過剰症(症状/対策)

カリウムは基本的に多く摂り過ぎても排泄されるため、滅多に過剰症は起こりません。そのため、日本人の食事摂取基準(2020年版)において耐容上限量は設定されていません。*12

ただし、腎機能が低下して排泄がうまく行われないと、高カリウム血症が起こることがあります。

高カリウム血症とは

高カリウム血症とは血液中のカリウム濃度が高い状態のことをいいます。血液中の濃度が5.5mEq/L以上になった場合に高カリウム血症となります。

血液中のカリウムの上昇には、腎障害や腎臓に影響する薬剤の服用、さらにサプリメントの過剰摂取などが関係します。

とくに高齢者や腎疾患がある人は、腎臓機能が低下して、カリウムの排泄がうまくできなくなっている可能性があるため、カリウムの過剰症に注意してください。さらに重篤な高カリウム血症では死に至ることもあるので、早急に適切な治療を受ける必要があります。

  • 筋力低下
  • 不整脈
  • 心停止
  • 四肢麻痺など

通常の食生活ではカリウムが過剰になる可能性は低いですが、サプリメントからの上乗せ補給、腎臓やカリウム値に影響する薬剤を服用している場合、また腎機能低下がある場合にはカリウムを摂り過ぎないようにすることが大切です。

カリウムの研究情報

カリウムは日本人の健康維持に対して重要性がますます注目され、研究が盛んに行われています。ここでは気になる研究情報をわかりやすくご紹介します。

食事中のナトリウムとカリウムの比が高い人で循環器病死亡リスクが増加

厚生労働省研究班(指定研究)の報告により、カリウムと循環器病による死亡リスクの相関関係が明らかになっています。



’国民栄養調査参加者を対象とした長期追跡研究NIPPON DATA(ニッポンデータ)80 において、食事中のナトリウム摂取量とカリウム摂取量の比(Na/K比)が高いほど、その後24年間の循環器病死亡リスクが高いことが明らかとなった。’’ *13

以上のように報告されています。

日本人は味噌や醤油などの調味料や漬物などから塩分、つまりナトリウムを多く摂取しており、カリウムの摂取量は欧米と比べて低い傾向があります。ナトリウムをカリウムに対して多く摂取している(Na/K比が高い)がとくに高い群においては、全循環器病死亡リスクは39%高く(ハザード比1.39(95%信頼区間1.20-1.61))、うち脳卒中死亡リスクは43%(ハザード比1.43(95%信頼区間1.17-1.76))との結果が得られました。

将来の脳卒中や循環器疾患を予防するためには、できる限り塩分摂取を控え、果物や野菜からのカリウム摂取を増やすことで、Na/K比を下げることが重要であることが、この長年の追跡研究により明らかになっているのです。

カリウムの骨粗しょう症のへの予防効果

先にお話したように、カリウムは骨粗しょう症の発症リスクにも関係があることが分かってきています。これは、カリウムが尿中へのカルシウム排泄を抑制する作用、また、骨吸収を抑制する作用があることが原因に考えられています。

骨はつねに骨代謝といって、骨の形成と吸収(破壊)を繰り返しています。しかし、何らかの理由により骨吸収が骨形成を上回ると、骨がもろくなり骨折しやすくなるのです。そして、骨の形成に欠かせないのがカルシウム。骨吸収により、骨から血液中にカルシウムが放出されると、カルシウムは最終的に尿中へと排泄されていきます。カリウムは骨吸収を抑えることで、カルシウムの損失を防いでくれるのです*10

カリウムを摂取に気をつけるべき人(薬の飲み合わせ等)

カリウムは健康な人であれば、基本的に制限する必要はなく、過剰症も起こる心配がありません。

ただし、次のような場合には、カルシウムが過剰になる可能性があるため、摂取に注意する必要があります。

  • 腎機能が低下している人(腎疾患がある)、透析中の人
  • 高齢者(腎機能が低下する傾向にある)
  • 医師からカリウム摂取を制限されている
  • 利尿薬(カリウム保持性利尿薬など)を服用している
  • 解熱鎮痛剤、降圧剤、免疫抑制剤など血清カリウム値に影響する薬剤を服用している
  • サプリメントでカリウムを補給している  *14

カリウムの1日摂取量の目安(年齢別)

カリウムは体の基本となるミネラルであり、細胞や筋肉、神経のはたらきの維持に欠かすことができません。そして、食塩を摂りすぎる傾向がある日本人はカリウムを意識的に補うことが大切です。では、カリウムは1日あたりどのくらいの量を摂取すれば良いのでしょうか?

カリウムの1日あたりの目安摂取量は性別および年齢によって異なります。

  男性 女性  
  目安量(mg/日) 目標量(mg/日) 目安量(mg/日) 目標量(mg/日)
0~5(月) 400 400
6~11(月) 700 700
1~2(歳) 900 900
3~5(歳) 1,000 1,400以上 1,000 1,400以上
6~7(歳) 1,300 1,800以上 1,200 1,800以上
8~9(歳) 1,500 2,000以上 1,500 2,000以上
10~11(歳) 1,800 2,200以上 1,800 2,000以上
12~14(歳) 2,300 2,400以上 1,900 2,400以上
15~17(歳) 2,700 3,000以上 2,000 2,600以上
18~29(歳) 2,500 3,000以上 2,000 2,600以上
30~49(歳) 2,500 3,000以上 2,000 2,600以上
50~64(歳) 2,500 3,000以上 2,000 2,600以上
65~74(歳) 2,500 3,000以上 2,000 2,600以上
75以上(歳) 2,500 3,000以上 2,000 2,600以上
妊婦     2,000 2,600以上
授乳婦     2,000 2,600以上

※3歳未満では目標量の掲載はありません。該当年齢の目安量を参考に適度な摂取を心がけましょう。

この目安量は体の恒常性維持に適正と考えられる量と現在の日本人の摂取量から考慮した値です。さらに、目標量は、高血圧を中心とした生活習慣病の発症予防の観点からの量です。ただし腎機能に異常がある場合は摂取量に制限が必要であるため、医師などにご相談ください。*15

高血圧予防におけるカリウム摂取の目安量

カリウムは高血圧予防における積極的な摂取が勧められています。2012 年に発表された WHO のガイドラインでは、カリウム摂取量3,510 mg/日以上と推奨されています。また、2018 年に発表された ACC、AHA 他の治療ガイドラインによれば、カリウム 3,500〜5,000 mg/日が摂取目標となっています。*12

カリウムを多く含む代表的な食品群

カリウムは多くの食品に含まれるミネラルですが、とくに多いのが野菜や果物、また海藻類です。まずはどんな食品群に多く含まれるのか、代表的な食品をご紹介します。

野菜類

カリウムは野菜に多く含まれていて、野菜をしっかり食べていれば基本的に不足の心配はありません。例えば、次のような野菜にカリウムは多く含まれます。

(100g中)

・ほうれん草・・・690mg
・切り三つ葉・・・649mg
・枝豆・・・590mg
・にら・・・510mg
・小松菜・・・500mg

いも類

野菜の中でもいも類にはカリウムが豊富です。土中で育ついも類は土壌中からカリウムを吸収して、細胞内に豊富にカリウムを蓄えています。

(100g中)
・里いも・・・640mg
・長芋 球茎 生・・・640mg
・やまといも・・・590mg
・さつまいも・・・480mg
・じゃがいも 塊茎 皮つき 生・・・420mg

大豆・大豆製品

大豆、また大豆製品にもカリウムが豊富です。豆類は貴重な植物性のタンパク源でありながあ、ミネラルも豊富に含まれるので積極的に食事に取り入れたい食材です。

(100g中)
・納豆・・・660mg
・ゆで大豆・・・530mg
・豆乳・・・190mg

果物類

野菜と同じくカリウムが多いのが果物です。近年では果物離れが若者を中心に進んでいるといいますが、ビタミンやポリフェノールも豊富で、カリウム補給にもおすすめの食材です。

(100g中)
・アボカド・・・720mg
・バナナ・・・360mg
・メロン・・・340mg

カリウムを多く含む野菜/果物上位10位

野菜は貴重なカリウムの摂取源であり、食物繊維やビタミン・ミネラルなどの栄養補給にも積極的に取り入れたい食材です。

(100g中)

1 切干しだいこん 乾 3,500mg
2 ほうれんそう 葉 通年平均 生 690mg
3 切り三つ葉 640mg
4 えだまめ 生 590mg
5 にら 葉 生 510mg
6 小松菜 葉 生  500mg
7 しそ 葉 生 500mg
8 ケール 420mg
9 サニーレタス 葉 生 410mg
10 日本かぼちゃ 果実 生 400mg   *8, 16

カリウムを多く含む魚類/肉類上位10位

カリウムは野菜、果物に多く含まれていますが、動物性食品からも補うことができます。例えば、魚や肉などの細胞内にも人間と同じようにカリウムが豊富に含まれているためです。生で食べられない分だけ調理により損失しやすいですが、野菜果物に偏らず、肉類や魚類もバランス良く取り入れた食生活を心がけましょう。

(100g中)

1 さわら 生 490mg
2 かんぱち 三枚おろし 生 490
3 ぶた [ハム類] 生ハム 促成 470
4 まだい 養殖 皮つき 生 450
4 きはだまぐろ 生 450
6 めかじき 生 440
7 ぶたヒレ 赤肉 生  430
8 にわとり  ささ身 生 420
9 ぶた もも 赤肉 生 370
10 うし もも 赤肉 生 320

カリウムを多く含む海藻類上位10位

海の恵みである海藻類にもカリウムが豊富に含まれます。海藻類は大量に食べられるものではありませんが、だしやお惣菜などとして利用価値が非常に高い食材です。少量でもカリウムを効率よく補給できるので、ぜひ毎日少しずつ取り入れていきましょう。

1 刻み昆布  8200mg
2 乾燥わかめ 板わかめ  7400mg
3 えながおにこんぶ 素干し  7300mg
4 ほしひじき ステンレス釜 乾  6400mg
5 まこんぶ 素干し   6100mg
6 がごめこんぶ 素干し  5700mg
7 りしりこんぶ 素干し  5300mg
8 ながこんぶ 素干し   5200mg
9 削り昆布    4800mg
10 いわのり 素干し 4500mg *17 

カリウムはサプリメントで意識的に摂取すべきか

むくみ対策のためにカリウムをサプリメントを補いたいという方も増えているようです。ただ、普通の食生活を送っていれば、カリウムが不足することはなく、サプリメントから積極的に補う必要はありません。むしろ、通常の食生活に上乗せ摂取することで、カリウムは過剰摂取になることはないと言われていますが、体に負担を与える可能性もあります。

ただし、運動などでカリウムを失いやすい方、塩分摂取が気になる方など、食生活のサポートとしてサプリメントを使うという方法もあります。サプリメントでカリウムを補給する場合には、目安量を守って正しく取り入れるようにしましょう。腎機能低下がある場合は医師に相談してからの摂取をおすすめします。

カリウムを効率よく補う方法

カリウムは生鮮食品に多く含まれ、加工が進むにつれて失われます。また、カリウムは水に溶けやすいため、煮たりゆでたりすることで失われてしまいます。生野菜のサラダや果物を生のままで食べるのが、最もカリウムを補給できる食べ方です。

また、食べ方のコツとしては、塩分が多い食品を摂る時にカリウムが多い食材を一緒に摂ることです。例えば味噌汁は味噌の塩分が気になりますが、たっぷりと野菜や豆腐などの大豆製品を具材に入れれば、カリウムを同時に補うことができます。

青汁でカリウムは効率的に摂取可能か

サプリメントよりももっと気軽にカリウムを補給したいという場合に、便秘なのが青汁です。でも、果たして本当に青汁でカリウムを補うことができるのでしょうか?1日あたりの目安摂取量までここでは紹介します。

青汁からカリウム補給は可能?

青汁とは緑の葉野菜から絞りとったエキスからできた飲み物であり、普通の野菜ジュースよりもビタミンやミネラル、また食物繊維などが豊富に含まれています。

青汁の主原料は、小松菜、ケール、ほうれん草、大麦若葉などの葉野菜です。これらの葉野菜には、文部科学省が公表している「日本食品標準成分表」によればカリウムが豊富に含まれています。

100g中
ケール 420mg
ほうれんそう 生 690mg
小松菜 500mg
大麦若葉 不明(500mg前後含まれると推察される)

青汁の場合、通常1回分が5g程度です。上の含有量の20分の1に過ぎないように見えますが、100g中には水分も含まれています。乾燥粉末である青汁5gの場合、実際は100g中の20分の1よりも多いカリウムが含まれると考えられるのです。

実際の商品に含まれるカリウムの量は次のとおりです。

(1杯分あたり)
ファンケル  1食分のケール青汁カリウム:96mg
キューサイ ザ・ケール 186mg
山本漢方 大麦若葉 96mg(※3g中)

カリウムの含有量は各製品の成分表示に記載されています。ただし全ての製品に記載しているわけではないため、その場合には緑黄色野菜がどの程度入っているかを目安にすると良いでしょう。

カリウム補給に青汁を飲むおすすめのタイミング

カリウムは水溶性のため、とくに一緒に油分などと摂る必要はありません。ただ、塩分排出を促すという意味でも、食事中や食前後の摂取がおすすめです。塩辛いもの、塩分が多いものを食べるときは、青汁を取り入れてカリウム補給すると上手に健康管理に活かすことができます。

青汁からのカリウム摂取に注意が必要な人

カリウムを多く含む青汁を摂取する際に気をつけた方が良いのは、腎臓機能が低下している方です。腎臓からのカリウム排泄が十分に行われずに、体内に過剰なカリウムが溜まってしまう恐れがあります。

実際に、2週間、目安摂取量の3倍量を飲んだ人が、高カリウム血症となり救急搬送されたという事例も報告されています。*18  

青汁は足りない栄養を補うためのサポートであり、それだけで栄養を補うことを目的としたものではありません。バランスの良い食生活の補助として、上手に適切に取り入れることが大切です。

まとめ

いかがでしたか?今回はカリウムの効果と役割、摂取量の目安、多く含む食品について解説しました。カリウムを日頃から意識して取り入れていなかったという方も、カリウムの重要性が理解できたのではないでしょうか。

カリウムは基本的な食事をとっていれば不足することはありません。しかし、現代人の食生活では生の野菜や果物を食べる機会が減っており、気をつけないとカリウム不足に陥ってしまう可能性もあります。野菜や果物、海藻類などなるべく新鮮な生のものを食べるように心がけつつ、忙しいときは青汁を活用するなど工夫して栄養バランスを整えていきましょう。

また、カリウムは生活習慣病予防にも欠かすことができないミネラルです。ついつい塩分を摂り過ぎてしまいがちな私たちですが、野菜や果物などカリウムが多い食材を味方につければ自ずと健康を目指すことができます。ぜひ、今日から食生活を見直していきましょう。

参考文献
1: e-ヘルスネット【情報提供】健康用語辞典,カリウム 
2: 株式会社大塚製薬工場, 輸液の基礎知識
3: 酒井正樹, 比較生理生化学, Vol. 29, No. 2 (2012)
4: MSDマニュアルプロフェッショナル版, カリウム濃度の異常の概要
5:看護roo! 体液のpH(水素イオン濃度)はどれくらい? 
6: 吉田企世子ら, あたらしい栄養学, 高橋書店, p196
7: MSDマニュアル家庭版, 低カリウム血症(血液中のカリウム濃度が低いこと)
8: 健康長寿ネット, カリウムの働きと1日の摂取量
9: OMRON, 日本人に多くみられる高血圧のタイプ
10: 上西一弘, 腎と骨代謝 30巻1号 (2017年1月)
11: ADPKP.JP, 栄養素から見た腎臓 〜腎由来のさまざまな血液中の成分の異常
12: 日本人の食事摂取基準(2020 年版) – 厚生労働省
13:滋賀医科大学,  研究情報, 食事中のナトリウムとカリウムの比が高い人で循環器病死亡リスクが増加
14: 株式会社日本医事新報社, 高カリウム血症
15: グリコ株式会社, 栄養成分ナビゲーター, 日本人の食事摂取基準(2020年度版)より
16: foodslink, カリウム
17: くすりの健康日本堂, カリウムの食べ物・食品ランキング TOP100
18: 道下貴弘ら, 日救急医会関東誌 41(2), 2020年

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