【フッ素の効果】生活に必要不可欠!知られざる役割を解剖

毎朝、毎晩行っている歯磨き。
みなさんはその歯磨きでどのような歯磨き粉を使用していますか?

歯のエナメル質のことを考え、「フッ素」が含まれている歯磨き粉を使用している人も少なくないと思います。

そんなフッ素ですが、実際どのような効果があるのか、歯磨き粉以外の用途など詳しく知っている人は多くないかもしれません。

今回はそんなフッ素について、フッ素の役割、私たちの健康とフッ素の関係性などについて話していきたいと思います。

フッ素とは

フッ素は原子番号9、元素記号は F でハロゲンに分類される元素です。

常温下でフッ素(F2)は気体で存在します。しかし、とても不安定な物質で、すぐに他の化合物とくっついてしまうという性質があります。

そのため、自然界ではフッ化ナトリウム(NaF)などの化合物としてしか存在できず、歯科で用いるフッ素もF2(純粋なフッ素)ではなく、NaFなどのフッ化物と呼ばれるものです。また、純粋なフッ素とフッ化物と呼ばれるものは性質が全く異なります。

そんなフッ素ですが、フッ化物として多くの役割をになっています。
今回は私たちの生活を支えているフッ素の役割についてまとめてみました。

フッ素の歴史

まずは、フッ素の効果や役割を話す前にフッ素の歴史をまとめてみました。

最終的にフッ素の単体を抽出したアンリ・モアッサンはノーベル化学賞を受賞しています。それほどの功績が讃えられたフッ素発見は多くの失敗の連続でした。

古くから製鉄などにおいて、フッ素の化合物である蛍石(CaF2)が融剤として用いられていました。1771年にカール・シェーレがその蛍石に硫酸を加えるとフッ化水素が発生することを発見していました。

時期を同じく、フランスのアンドレ=マリ・アンペールが、未知の元素が蛍石(Fluorite)に含まれると主張し、未発見の新元素に「fluorine」と名付けました。アンドレはフッ化水素と塩化水素の組成がフッ素と塩素の違いだけであると主張していました。しかし、フッ化物の研究は進まず、単離には至りませんでした。

1800年代、電気分解という元素発見にきわめて有効な武器が確立されました。その電気分解という手法を用いて、デービーはが1806年から電気化学の研究を始めると、カリウム、ナトリウム、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、バリウム、ホウ素を次々と単離しました。しかし1813年の実験では、電気分解の結果、漏れ出たフッ素で短時間の中毒に陥ってしまいました。

ここで問題となっていたのはフッ素の強力な酸化力でした。実験器具自体を破壊するだけではなく、人体に有害な影響を与えていました。その後も多くの化学者がフッ素の単離を試みて失敗、フッ素中毒などで死亡しています。

1886年、ようやくアンリ・モアッサンが単離に成功しました。白金・イリジウム電極を用いたこと、蛍石をフッ素の捕集容器に使ったこと、電気分解を-50℃という低温下で進めたことが成功の鍵でした。しかし、モアッサンも無傷とはいかず、この実験の過程で片目の視力を失ってしまいました。

しかし、この功績が認められ、1906年にはノーベル化学賞を受賞いたしました。

このように多くの犠牲を払って発見されたフッ素の役割や効果にはどのようなものがあるのでしょうか。

フッ素の工業用品での役割

フッ化物の用途は幅広く、フッ素を添加した合成樹脂やゴムは、酸・アルカリ性の薬品や摩耗などに対して耐久性が高まるため、半導体製造装置や自動車などの部品・部材に使わています。

また、フッ素コートに使われている「フッ素樹脂」は、プラスチック原料のひとつです。フッ素樹脂には、耐熱性、撥水、撥油性、すべり性、耐薬品性、電気絶縁性などの特性があります。それらの優れた特性を利用するために、様々な製品にフッ素樹脂がコーティングされています。

しかし、耐久性が高く、長期間変質しないという特徴裏を返すとは環境中で分解されにくく、いつまでも残存するということを意味しており、その使用には注意が必要があると言われています。

例えば、幅広い製品に使用されてきたフッ化物のひとつであるPFOA(ピーフォア)は、環境汚染の原因物質として、2019年5月に国連会議で製造と使用の禁止が決定されました。

しかし、2000年にアメリカで、PFOAが工場から漏れ出し付近の水を汚染するという事故が起こり、フッ素は永遠の化学物質とも呼ばれ、分解されることがほとんどなく、環境に残ってしまうことが世界中で問題になりました。

PFOAの水質汚染問題は、アメリカだけではなく日本各地でも深刻な問題として取り上げられています。フッ素化合物で製造と使用が禁止されているものはPFOAだけではありません。また、PFOS(ピーフォス)とよばれるフッ化物は、2009年にすでに製造と使用が禁止されています。

このようにフッ化物の使用を禁止する、使用しないという流れとともに、すでに環境中に放出されてしまったフッ化物をどうやって分解するかという研究が行われています。

フッ素の歯への影響

しかし、フッ素は環境に悪いものばかりではありません。
ここでは、歯磨き粉に使用されているフッ素についてまとめてみました。

そもそもフッ素には虫歯の原因菌の働きを弱め、歯から溶け出したカルシウムやリンの再石灰化を促進し、歯の表面を強化して虫歯になりにくくする働きがあると考えられています。

そのため、特に虫歯になりやすい、生えたての乳歯や永久歯を持つ子どもたちにむけて、フッ素を塗布して予防するフッ化物歯面塗布法を多くの歯科医院では実施しています。

これを聞くと大人は不要なのか?と思う人もいるかもしれませんが、大人もフッ素が必要とも言われています。

大人になり、仕事や人付き合いが深くなるにつれて、不規則な生活や、歯科治療などにより2次虫歯(治療済の歯が再度むし歯になる)になりやすく、虫歯リスクが上昇すると言われています。また年齢が進むにつれ、歯周病によって歯茎が下がってしまい、セメント質とよばれる表面が弱い部分が露出し、虫歯になりやすくなります。

そのため、フッ素ケアで普段から虫歯予防を行うことが大事と言われています。

フッ素は生活に不可欠な元素

フッ素についてまとめてみましたがいかがでしたか。

私たちの生活を支えるだけではなく、虫歯という身近で地味に辛い病気の予防にも活躍するフッ素。しかし、環境を問題を考えると向き合う課題は多いかもしれません。

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