【マグネシウムの効果効能】多く含む食品・摂取量基準・研究情報について

骨に必要なミネラルというとカルシウムが有名ですが、マグネシウムも忘れてはならない存在です。マグネシウムは人体にも多く存在しているミネラルで、その半分以上は骨に含まれています。また、心臓が働くのにもマグネシウムは欠かせません。

名前こそ有名ですがあまり知られていないマグネシウムの働き。ここではマグネシウムのはたらき、摂取量、欠乏症や最新の研究情報、多く含む食べ物まで一挙にご紹介します。

マグネシウムとは

マグネシウムは体のさまざまな機能に欠かせない必須ミネラルの一つです。細胞のはたらき、代謝の仕組みなどにも欠かせないミネラルで、主に骨に多く含まれています。
人体でマグネシウムは半分以上が骨に存在しています。血液中にもマグネシウムが存在していますが、足りなくなると骨からとり出されるような仕組みになっています。

マグネシウムはとくにカルシウムとの関わりが深いミネラルです。カルシウムとともに働いて、筋肉の働きを調整します。また、心臓の働きや血管の拡張などにも必要です。細胞内で代謝や生合成を行う補酵素の成分としても含まれています。*1

マグネシウムの効果効能・体内における作用や役割

マグネシウムは主に骨の成分として存在していますが、その他にも全身の細胞や代謝などさまざまな重要な働きを持っています。一体、マグネシウムにはどんな作用や役割があるのでしょうか?

骨の形成に使われている

マグネシウムは約50~60%がリン酸塩や炭酸塩として骨に沈着しています。また、歯の材料としても必要です。骨の健康のためにカルシウムを摂る際には、相応量のマグネシウムも必要といわれています。

マグネシウムは骨を作る骨芽細胞に働きかけ、骨の中に入るカルシウム量を調節する働きがあります。そのため不足するとカルシウムを摂っていても骨に吸着することができないため骨がもろくなってしまうのです。*2

他にも骨を作るためにはビタミンD,ビタミンKなども必要ですが、マグネシウムはカルシウム同様に骨づくりに欠かせないミネラルです。

補酵素や活性中心として酵素活性に関わる

マグネシウムは全身の細胞にも存在しています。マグネシウムは補酵素としてまたは酵素の活性中心として300種類以上の酵素のはたらきにを助けています。例えば、エネルギーの産生、たんぱく質の合成、神経伝達、、遺伝情報の発現などささまざまな体内の化学反応に関与し、生命維持に欠かせないミネラルです。

筋肉収縮を制御している

筋肉や心臓の働きにはさまざまなミネラルが関わっていますが、マグネシウムもその一つ。体を動かすため、体を保持するために必要な筋肉が収縮しすぎないように、マグネシウムが制御しています。

筋収縮にはカルシウムが関係していますが、マグネシウムはカルシウムに拮抗することで筋肉を緩めるはたらきがあります。運動時に足の筋肉がつるという現象がありますが、これもマグネシウムの欠乏による症状の一つ。カルシウムの量が相対的に増えることで筋肉が異常に収縮してしまうために起きる現象です。*3

心臓や血管のはたらきを正常化する

マグネシウムには血管のはたらきにおいても欠かせません。血管を拡張させて血圧を下げる作用があります。マグネシウムの基本的な作用として、ナトリウム-カリウムチャネルの制御という働きがあるのです。このナトリウム-カリウムチャネルというのは、細胞膜に存在する電気的な差による火花のようなもの。マグネシウムはこのチャネルを介した心筋の電気的な調節や、心臓の収縮の正常化をコントロールしています。

さまざまな研究によりマグネシウムには血管拡張作用があることが分かってきています。心臓疾患との関係も示唆されているなど、マグネシウムは基本的な生命維持において欠かせないミネラルです。*4

マグネシウムはどういった時、意識して摂取するべきか

では、マグネシウムはどんな人、どんな状態のときに特に必要なミネラルなのでしょうか?ここではマグネシウムの不足に注意したい人、意識すべきタイミングについてご紹介します。

骨粗しょう症予防

骨を丈夫にしたい、骨粗しょう症を予防したいというとき、最初に挙がるのはカルシウムではないでしょうか。でも、実は近年の研究によりカルシウムだけ摂っていても十分ではないことが分かってきています。

マグネシウムはカルシウムに次いで人体に多く存在しているミネラル分で、とくに骨の形成、骨格の形成に欠かせません。骨の形成のためにはカルシウムと相応量のマグネシウムも摂取する必要があります。骨粗しょう症は直接的にはカルシウム不足が原因ですが、間接的にはマグネシウムの不足も原因だといわれています。

とくにマグネシウムは体から失われやすいため、不足すると骨から流れ出し、同時にカルシウムまで流出してしまいます。つまりカルシウムの骨からの損失を防ぐためにも、十分量のマグネシウムを摂取することが必要です。*1

運動が好きな人やアスリート

すでにご説明したように、マグネシウムは筋肉のはたらきを制御する主要なミネラルの一つ。筋肉が正常にはたらくには、収縮を起こすカルシウムと、弛緩させるマグネシウムのバランスがとれていることが大切です。

とくにマグネシウムは汗や尿とともに失われやすいため、運動をよくする人やアスリートは不足しがち。よく足がつる、筋肉疲労が気になるという方は、マグネシウム摂取を心がけましょう。*3

心臓疾患系のリスクの回避

マグネシウムにおける心臓疾患のリスクを抑える効果が近年注目されています。たとえば、マグネシウムが不足すると動脈硬化が進行することが分かっています。

さまざまな補酵素として働いているため、マグネシウムが不足すれば生体内の反応も低下します。例えば酸化ストレスに関わる活性酸素を分解するSOD酵素の減少により、さまざまな老化現象が起こります。*5

さらに、心臓の筋肉のはたらきも支えているため、マグネシウムが不足すると心臓のポンプ機能にも悪影響が及びます。結果的に、老化現象と相まって、心臓の筋肉に血液が十分に行き渡らない状態(虚血)を起こし、心不全・不整脈・心室細動などの心疾患につながる可能性もあります。

つまり、マグネシウムを摂取することは将来の心臓疾患予防にもつながるのです。老化や将来のリスクを考えて予防を心がけたい方はマグネシウムを意識することが大切です。

生活習慣病予防

すでにご説明したように、マグネシウムは補酵素としての働き、老化の予防、血管のはたらきや心臓のはたらきを助ける作用があります。近年の研究により心疾患、糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクを高める可能性が示唆されています。*1

生活習慣病はいまや誰にも可能性がある病気です。とくに日本人は食事が欧米的に変化したことで、慢性的なマグネシウム不足に陥っている人が増えています。多くの日本人が病気を防ぐためにマグネシウムの摂取を意識するべき、といっても過言ではないでしょう。

マグネシウムの欠乏症(症状/対策)

マグネシウムの欠乏症として、血液中のマグネシウム量が低下する「低マグネウシム血症」があります。主な症状は次の通りです。

  • 不整脈
  • 食欲不振、筋力低下、テタニー
  • (慢性的な不足)虚血性心疾患、動脈硬化症などのリスク
  • 吐き気、精神障害などの症状

急性的、一時的な不足では不整脈や食欲不振、筋力低下などの症状が起きることがあります。さらに長期的、慢性的な不足では、虚血性心疾患、動脈硬化、骨粗しょう症、糖尿病、高血圧などにかかりやすくなるリスクがあります。*6

欠乏の対策

私たちは毎日の食生活からマグネシウムを補っているため、欠乏を防ぐためには毎日食事からマグネシウムを摂取する必要があります。しかしながら、私たち日本人の欧米化した食生活では気をつけていないとマグネシウムが不足しやすくなっています。

そのため、マグネシウムを多く含む食品やミネラルバランスの優れた食事をとることで、意識的にマグネシウムを取り入れることが大切です。マグネシウムはもともと海の中に多く含まれる成分であるため、海藻類や海水から作られた未精製の塩などに多く含まれます。

ただし、まれにマグネシウムの不足は内臓疾患による損失、消化管疾患、腎臓の病気、薬剤性などのこともあります。健康診断や血液検査でマグネシウムの低下を指摘された場合には医師に相談するようにしましょう。*7

マグネシウムの過剰症(症状/対策)

マグネシウムは基本的に過剰症を起こすことはありません摂りすぎたマグネシウムは尿中から排泄されるため、通常の食事をとっている限りは過剰症を起こすことはないと思って良いでしょう。

ただし、腎機能が低下している場合には、マグネシウムが排泄されずに高マグネシウム血症となることがあります。また、症状としては下痢、血圧低下、吐き気、心電図異常などがあります。

また、気をつけたいのが「にがり」の過剰摂取によるマグネシウムの過剰です。にがりとはお豆腐を作るときに使う凝固剤ですが、本体は塩化マグネシウムです。ダイエットや便秘によいからと「にがり」を摂りすぎると、過剰摂取になることがあります。下痢を起こすなど症状が出ている場合は摂取を控えましょう。*1

マグネシウムの研究情報

マグネシウムについては近年さまざまな研究により、新たな知見が明らかになっています。ここでは特に注目すべき研究情報をご紹介します。

活性酸素・抗酸化作用とマグネシウム

老化を促進する「活性酸素」について聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
じつは、この活性酸素のはたらきを弱めるのに、マグネシウムが偉大な貢献をしていことが明らかになっています。

活性酸素は細胞や遺伝情報を傷つけて、老化を引き起こすといわれています。これを酸化ストレスともいいます。この活性酸素は通常体内で「SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)酵素」によって無毒化されます。

マグネシウムはこのSOD酵素の補酵素として働くことで、活性酸素の分解を促します。つなりマグネシウムを積極的に摂取することは、活性酸素の働きを弱め、ひいては老化防止にもつながるということです。活性酸素は美容にも関わるため、若々しさを保ちたい方にもマグネシウムは強い味方となってくれるかもしれません。*5

心臓血管疾患とマグネシウム

すでにご紹介したように、マグネシウムは老化を防ぐ効果、および心臓のはたらきを保つはたらきがあります。心臓の収縮の調整も担っているため、心臓疾患の予防にも関係しています。

さらに、血圧を下げる効果もあるため、臓器保護作用もあります。この血圧を下げる効果については、自律神経の調整作用も関わっています。マグネシウムは交感神経の働きを抑制するはたらき、つまりアクセルを弱める働きがあるのです。血管を収縮させる交感神経を抑えることで、血圧を低下させ、さらには臓器の負担を減らすことにも繋がります。

55 歳以上の高齢者を対象としたオランダの研究では、100 mg/日のマグネシウム摂取量増加は収縮期/拡張期血圧の 1.2/1.1 mmHg の有意の降圧を伴うとの報告もあります。*8

また、マグネシウムにはアデノシンという物質を介した心筋梗塞の予防効果があることも分かっています。*7

マグネシウムを摂取に気をつけるべき人(薬の飲み合わせ等)

マグネシウムはほとんどの人にとっては毎日の食生活で意識的な摂取が勧められますが、一部の人は摂りすぎに気を付ける必要があります。また、お薬の飲み合わせにも注意が必要な場合があります。

摂取に気を付けるべき人

次のような方はマグネシウムの過剰摂取によるリスクに注意してください。

  • 腎機能障害
  • 腎硬化
  • 高齢者

過剰に摂取したマグネシウムは尿とともに排泄されます。そのため腎機能に何らかの異常がある場合には、尿からの排泄が十分になされずに血液中のマグネシウムが過剰になる可能性があります。*1

また、高齢者は若年層と比べて腎機能が低下しやすい傾向があります。毎日の食生活から補う分には基本的には問題ありませんが、マグネシウムを強化した食品、サプリメントなどの摂取は十分に注意しましょう。

お薬との飲み合わせ

マグネシウムに限らずミネラルが多い食品、サプリメントはお薬の吸収を妨げることがあります。

  • 一部の抗生物質(ミノマイシン、シプロキサンなど)
  • 一部の骨粗鬆症薬(ベネット、フォサマックなど)
  • 利尿剤
  • プロトンポンプ阻害剤(胃薬)

また、紹介した以外にもお薬との飲み合わせに注意すべき場合もあります。マグネシウムを高含有するサプリメントや強化食品などを摂取するときには、医師または薬剤師に相談してください。*9 *10 *13

マグネシウムの1日摂取量の目安(年齢別)

私たちは食生活の変化によりマグネシウムが不足している傾向にあります。さまざまな疾患や不調を防ぐためにも、1日あたりのマグネシウム摂取量を意識して補うことが大切です。

マグネシウムの1日あたりの摂取量は年齢および性別により異なります。

男性女性
 推奨量(mg/日)推奨量(mg/日)
0~5(月)20※20※
6~11(月)60※60※
1~2(歳)7070
3~5(歳)100100
6~7(歳)130130
8~9(歳)170160
10~11(歳)210220
12~14(歳)290290
15~17(歳)360310
18~29(歳)340270
30~49(歳)370290
50~64(歳)370290
65~74(歳)350280
75以上(歳)320260
妊婦(付加量) 40
授乳婦(付加量)0
※1歳未満については推奨量ではなく、目安量です。

マグネシウムの不足や欠乏を招く摂取量を推定することは難しいことから、1日の摂取目安量については出納試験を参考にマグネシウムの平衡を維持できる摂取量が求められています。

なお、マグネシウムの腸管からの吸収率は 40〜60% 程度と推定されています。摂取量が少ない場合には不足を防ぐために吸収率が高まりますが、十分な摂取を心がけることが基本です。*8

日本人の摂取状況と不足量

2020年の国民健康・栄養調査におけるマグネシウムの1日の摂取量の平均は263㎎で、成人の目安推奨量と比較すると不足しています。*11

この背景には日本人の食事の変化が関係しています。まず日本人の食事が欧米よりに偏っていることです。高脂肪、高カロリー食品の摂取が増えて、代わりに大麦や雑穀などの全粒穀物や海藻類の摂取が減少しています。

また、精製塩の過剰摂取も関係しています。昔ながらの天然の海水を炊いて作った未精製の塩にはマグネシウムが豊富に含まれています。しかし現代でよく使われている精製塩はマグネシウムが抜けています。過剰摂取により体内のナトリウムが多くなると、マグネシウムが相対的に排泄されてしまい不足にも繋がるのです。*12

マグネシウムを多く含む代表的な食品群

マグネシウムは吸収率があまり高くなく、また現代の日本人の食生活では不足しがちです。不足しないようにするためには、効率よくマグネシウムを吸収できる食品を選ぶことが近道です。代表的なマグネシウムが多い食品を紹介します。

穀類

ミネラルはいわゆる雑穀、穀類に多く含まれています。しかし近年私たちが食べている精製された白米や食パンなどはミネラル分が取り除かれてしまっています。なるべく未精製の穀類の素材そのものをまるごと摂取することが大切です。

可食部100g当たりの成分量 *1

玄米    110mg
そば(乾麺) 100mg
雑穀混合品 五穀 94mg
発芽玄米  53mg
そば(ゆで) 27mg

海藻類

マグネシウムはいわば「海の贈り物」といっても良いほど、海産物に多く含まれています。とくに多いのが海藻類です。

可食部10g当たりの成分量 *1

あおさ 素干し 320mg
あおのり 素干し 140mg
わかめ 乾燥わかめ 素干し 110mg
刻みこんぶ  72mg
ほしひじき ステンレス釜・ステンレス釜 62mg

魚介類

マグネシウムは海藻類だけでなく魚介類にも多く含まれています。とくに次のような魚介類がマグネシウム豊富です。

可食部100g当たりの成分量  *1
加工品 干しえび  520mg
しらす干し 半乾燥品 130mg
あさり 生 100mg
はまぐり 生  81mg
きんめだい 生  73mg

また、他にもホウレンソウのような緑色の葉野菜、マメ科植物、ナッツ類、種子類などはマグネシウムの優れた供給源といえます。 *13

マグネシウムを多く含む野菜上位10位

海産物や穀類と比べると含有量は少なくなりますが、野菜にもマグネシウムは豊富に含まれています。食事はバランスよく摂ることが基本であり、とくに野菜はビタミン、ミネラルなどの摂取源として欠かせません。

可食部100g当たりの成分量 *1

1  きくらげ 乾  マグネシウム 210mg
2  大豆はいが  200m
3  切干しだいこん 乾 160mg
4  らっかせい 未熟豆 生 100mg
5  ほうれんそう 葉 生 69mg
6  えだまめ 生 62mg
7  ごぼう 根 生 54mg
8  おかひじき 茎葉 51mg
9  ふきのとう 49mg
10 モロヘイヤ 茎葉 生 46mg

マグネシウムはサプリメントで意識的に摂取すべきか

マグネシウムは多くの日本人が不足に陥りがちであり、意識的な摂取が必要です。もちろん、バランスのとれた食生活に見直すことで、食事だけで補うことができればそれに越したことはありません。ただ、現代人の食生活、ライフスタイルを考えると、なかなか難しいことも現実です。

そこでサプリメントを活用するというのも方法の一つです。マグネシウムサプリメントには、酸化マグネシウムやクエン酸マグネシウム、塩化マグネシウムなどの種類が手に入ります。クエン酸マグネシウム、乳酸マグネシウムのように吸収率が優れたタイプもあります。

とくに上で紹介したような、不足が気になる人においては食生活で補いきれない分をサプリメントに頼るのも良いでしょう。ただし、腎臓に疾患がある場合など、サプリからの過剰摂取には注意する必要があります。

マグネシウムと合わせて摂取すると効果的な栄養素

ミネラルやビタミンはそれぞれ助け合って働いているため、その特定の栄養だけ補っても十分な作用が発揮されません。とくに、マグネシウムは吸収率がそれほど高くないため、合わせて吸収を助けてくれる栄養素を摂ると効果的です。

マグネシウムの吸収を助けてくれる栄養素には、ビタミンDがあります。ビタミンDはカルシウムの吸収だけでなく、マグネシウムの吸収も助けてくれます。ビタミンDは主にマグロ、カレイの魚介、しいたけなどに含まれています。例えば、ひじき煮にしいたけや大豆を入れるというのはマグネシウム摂取において非常に理にかなった食べ方なのです。*14

吸収を妨げる栄養素に注意

せっかくマグネシウムを意識していても、その摂り方次第では吸収を妨げてしまうことがあります。とくに次のような栄養素や成分はマグネシウムの吸収を妨げる働きがあります。

  • カルシウム、亜鉛、鉄、リン、亜鉛、ナトリウム、カリウムなど他のミネラル
  • シュウ酸
  • フィチン酸

シュウ酸はほうれん草、トマトなどに含まれています。また、フィチン酸は小麦、玄米などの穀物や大豆など豆類、豆腐などに多く含まれています。これら食品には別の栄養も多く含まれているため食べてはいけないということではありませんが、マグネシウムの不足が気になる場合には摂取量やタイミングに注意しましょう。*14

青汁でマグネシウムは効率的に摂取可能か

マグネシウム不足が気になるけれど、サプリメントよりももっと気軽に摂取したいという方には青汁という手段もあります。でも、果たして本当に青汁でマグネシウム不足を補うことができるのでしょうか?1日あたりの目安摂取量までここでは紹介します。

青汁にはどれくらいのマグネシウムが含まれている?

青汁の原料は主に葉野菜であり、例えばモロヘイヤは野菜の中でもマグネシウムが多く含まれています。さらに、穀類や海藻などの青汁原料もマグネシウムが多い食品と言えるでしょう。つまり、青汁から多少なりともマグネシウムを補うことはできます。

しかしながら、青汁は本来野菜中心で作られているため、マグネシウムの含有量はそれほど高くはありません。例えば、ファンケルの「1日分のケール青汁」では1日あたりマグネシウム28mgを補うことができます。

日本人の不足状況からみると、一般的な青汁を1日1杯飲む程度ではマグネシウムの不足分を十分に補えるとは言い難いかもしれません。マグネシウムだけを重点的に補いたいのであれば、他のマグネシウム高含有な食品やサプリメントの方が効率よく補うことができるでしょう。

ただ、最近ではマグネシウムが強化された商品も登場しています。例えば次のような商品はマグネシウム摂取を考えて開発されています。

ゴールドパック マグネシウム&おいしい青汁
1日あたりマグネシウム80mg配合

青汁は毎日の食生活に加えて飲むだけで簡単に栄養補給できることがメリットです。マグネシウムだけではなく、他のミネラル・ビタミン、食物繊維などを補給するために青汁を活用してみると良いでしょう。

マグネシウム不足を補うにはどれくらい飲めばいい?

1杯あたりに含まれるマグネシウムの量は、少ないものでは数mgと一桁、多いもので20〜100mg以下です。1日あたり例えば50mg程度のマグネシウム不足があるとしたら、一般的な青汁では1日1杯ではほとんどの青汁の場合は足りません。もし、青汁だけで不足を補うのであれば、1日に2杯以上飲まないと足りないという方もいるでしょう。

ただ、注意したいのは他の栄養の摂りすぎになる可能性があることです。青汁はあくまでも食事で補いきれない栄養の補助です。1日あたりの摂取量を目安に摂ることが大切です。基本的にほどんどの青汁は1日あたり1〜2杯が目安とされています。目安量を参考に、基本的には食事から栄養を摂取することを心がけましょう。

まとめ

いかがでしたか?今回はマグネシウムの働きと摂取量、欠乏症や過剰症、摂取方法までご紹介しました。マグネシウムはカルシウムに次いで2番目に人体に多く必要なミネラルであり、日本人が不足しがちなミネラルでもあります。骨格を作る基盤となり、さらに様々な酵素反応や心臓機能など、私たちが生命を維持する上で必要なミネラルです。

近年の欧米化した日本人の食事ではマグネシウムは不足しがちです。いま一度和食の良さを見直すとともに、海藻類や穀類などを意識的に取り入れていきましょう。また、忙しくて十分な食事がとれない方にはサプリメントや青汁という手段もあります。是非毎日の食事を見直して、慢性的なマグネシウム不足から抜け出すことを目指しましょう。

<参考文献>
1 マグネシウムの働きと1日の摂取量 健康長寿ネット 公益財団法人 長寿科学振興財団 
2 骨粗しょう症の無料相談室 
3 吉原食糧株式会社| マグネシウム&カルシウムと筋肉の関わり
4 健康な生活のための食生活、栄養と運動, 掲載10 大和薬品株式会社
5 メディカルノート|  老化を進める活性酸素と抗酸化物質であるマグネシウムのはたらき 
6 国立国際医療研究センター,リウマチ・膠原病科| マグネシウム欠乏(低マグネシウム血症)
7  メディカルノート | 心疾患と深い関わりを持つ、マグネシウムの効果とはたらきとは
8 日本人の食事摂取基準(2020 年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書
9 徳島県医師会 | 高マグネシウム血症 
10  医療法人光臨会荒木脳神経外科病院| 薬の飲み合わせ
11  日本人の食事摂取基準(2020年版)| 第 1 部 栄養素等摂取状況調査の結果
12  マグネシウムと生活習慣病 日本人の食生活はマグネシウム不足 | 一般社団法人 日本生活習慣病予防

13厚生労働省eJIM |マグネシウム
14 糸川嘉則, Inorganic Materials, Vol. 1, No. 252 (1994)

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