明日葉の青汁っていいの?明日葉で作られた青汁の特徴とは
明日葉(あしたば)とは
明日葉(あしたば)という植物を聞いたことがありますでしょうか。
もし聞いたことがある人は「青汁に含まれているやつでしょ」と思うかもしれません。青汁に含まれている野菜として有名なものに、大麦若葉、ケールなどがあります。
これらとの違いや、そもそも明日葉とは何かを紹介していきます。
明日葉は、別名「八丈草」とも言われ、独特の苦みを持つセリ科の多年草です。「今日葉を収穫しても、翌日にはまた若葉が出てくる」といわれるほど生命力が強いことがその名の由来と言われております。
日本が原産といわれ、房総半島、三浦半島、八丈島や大島など伊豆諸島、そして紀伊半島など暖かい太平洋沿岸部に自生している植物です。
伊豆諸島などは栄養を多く含む肥沃な土があるわけでもなく、水を貯めておける貯水池や大きな川もなく、農業にはあまり向いていないと言われている地域です。そんな畑事情でもたくましく栽培することができるため、名産となっております。
スーパーや飲食店であまり見かけることがない明日葉ですが、伊豆大島系と八丈島系の系統があって、伊豆諸島でも島毎に多少形状が異なるといわれています。茎の色で伊豆大島産のものを「赤茎」、八丈島産のものを「青茎」と一般的には区別されております。
旬の時期は2月下旬から5月頃で、3月頃が出荷のピークです。シーズンになると首都圏では東京都産の明日葉が出回ります。
大麦若葉、ケールにだって負けてない!明日葉青汁の特徴と栄養成分とは
青汁に含まれているくらい栄養豊富が豊富や野菜になります。
むしろ、野菜というよりは薬草に近い効果と豊富な栄養が含まれているのが特徴になります。野菜の中でもビタミン、ミネラルなどがバランスよく含まれ、ほうれん草と比べても食物繊維が多いのが特徴です。また野菜としては珍しく良質のタンパク質も含んでいることがわかっています。
そして、特徴的なのはビタミンB12を含んでいることです。ビタミンB12が含まれる果物・野菜は他にはなく、唯一明日葉のみがビタミンB12を含む野菜と言われているほどです。
ひとつひとつの栄養素でみれば、より含有量の多い野菜もありますが、明日葉ほど多種の成分が含まれ、それぞれの量も多い野菜はほとんど類を見ません。「野菜の王様」とも呼ばれているほど注目されている健康野菜になります。
(明日葉100gに含まれる成分、生で通年の平均)
エネルギー:33 kcal
たんぱく質:3.3 g
ナトリウム:60 mg
カリウム:540 mg
カルシウム:65 mg(1日に必要な栄養素の約10%)
鉄:1.0 mg(1日に必要な栄養素の約15%)
β-カロテン:5,300 μg(1日に必要な栄養素の約50%)
ビタミンK:500μg(1日に必要な栄養素の約300%)
ビタミンB1:0.10 mg(1日に必要な栄養素の約10%)
ビタミンB2:0.24 mg(1日に必要な栄養素の約20%)
ビタミンC:41 mg(1日に必要な栄養素の約40%)
ナイアシン:1.4 mg(1日に必要な栄養素の約10%)
葉酸:100 μg(1日に必要な栄養素の約50%)
参考文献:文部科学省 食品成分データベース
明日葉青汁に期待できる効果・効能って?
栄養豊富な明日葉ですが具体的にどのような栄養素が含まれ、それぞれどのような働きをしているのか紹介していきます。
食物繊維
食物繊維は便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの身体への作用が明らかになっています。
現在ではほとんどの日本人に不足している栄養素で、積極的に摂取することが厚生労働省からも勧められます。
特に整腸効果はとても重要で、食べ物から得られる栄養素のほどんは小腸・大腸から吸収されるので、腸の状態が良いことは他の栄養素の吸収に大きな影響を与えます。
いかに栄養豊富な食材やサプリメントを摂ったとしても、腸がそれらを吸収できる状況でないと意味がありません。しっかり栄養を摂っているはずなのに、身体の調子が良くないなと思う方は一度腸の調子を整えてみてはいかがでしょうか。
その場合、食物繊維を含む多くの栄養を含んでいる明日葉は積極的に摂ってみると良いかもしれません。
ナトリウム/カリウム
ナトリウムとカリウムはともに体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持しているほか、栄養素の吸収・輸送、筋肉の収縮、神経の情報伝達など身体の状態を正常に保つために様々なことに関与しています。
また、体内の水分バランスを維持し、血圧を調節しています。ナトリウムやカリウムを過剰に摂ったり不足すると、このバラ数が崩れ血圧が上がったり、むくみを生じたりします。
身体のむくみが気になる方は水分を控える等ではなく、体内の水分バランスを見直し、余分な水分を体外に出すことを意識してみるといいでしょう。
β-カロテン
明日葉にはほうれん草やケール以上にβカロテンが非常に多く含まれています。
βーカロテンは、プロビタミンAともいわれ、体内でビタミンAに変わります。皮膚や粘膜の形成に関わるので、肌の乾燥を防ぐためにも不足しないようにしたい栄養素です。ビタミンCと同じく抗酸化作用があるほか、免疫を整える働きもあります。
また、目の健康に必要な物質を構成する成分になるので、視力の維持など目の健康を維持するためにも必要な栄養素です。
ビタミンB12
ビタミンB12は、神経および血液細胞を健康に保ち、全細胞の遺伝物質であるDNAの生成を補助する栄養素です。
また、赤血球の生成を助ける働きもあり、疲労や体力低下を引き起こす貧血の一種である巨赤芽球性貧血を予防します。
ビタミンK
ビタミンKは、出血した時に血液を固めて止血する因子(血液凝固因子Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ)を活性化する働きがあります。
また、骨の健康維持にも不可欠で、骨にあるたんぱく質を活性化し、骨の形成を促します。このため、医薬品としてビタミンKは骨粗しょう症の治療薬としても使われています。
さらに、動脈が石灰化しないようにしていたりと、全身様々な健康に役立っています。
カルコン
明日葉の葉や茎を切ると切り口からネバネバした黄色い汁が出ます。この黄色い汁は他のセリ科の植物では見られず、明日葉のみに見られる特徴になります。その黄色い汁には「カルコン」と呼ばれる粘り成分が含まれております。1本の茎の切断面から数ミリグラムしか取れない貴重なものになります。
カルコンはフラボノイドと呼ばれるものの一種で、様々な効果が期待されております。
血液が詰まってしまう原因である血栓を予防したり、強い抗酸化作用やがんを抑える作用があるといわれています。内臓脂肪を解消する作用があるとも考えられ、ダイエット食品への利用も研究されています。
また近年の動物実験において、血糖値の上昇を抑制したり、糖尿病の発症を抑える効果が認められ、今後人においても、血糖値上昇を抑え、細胞にブドウ糖を取り込むことを促す、インスリンと似た働きをするとも期待されています。
(参考文献:東京農総研研報)
飲みすぎにはご用心!明日葉青汁の注意すべき点
栄養豊富な明日葉。多くの栄養素が含まれている分、薬などの飲み合わせには注意が必要になります。
ビタミンK
ビタミンK自体の摂り過ぎで何かあるということは報告されていないのですが、ビタミンKは血を固める物質をつくるときに働くビタミンなので、血液をさらさらにする成分を含んだワーファリンなどを飲んでいる方はビタミンKを多く含む食品は控えましょう。
血圧が高め、動脈硬化を過去経験して、薬を飲んでいる人は一度医者・薬剤師に相談してみましょう。明日葉を食べてないから大丈夫というわけではなく、青汁などにも明日葉が使われていることも多いので、注意しましょう。
URL:北海道薬剤師会 薬の飲み合わせ
カリウム
体内の水分バランスを保っているカリウムですが、過剰摂取による健康被害はあまり報告されておりません。日本人の食事摂取基準(2015年版)において耐容上限量は設定されておりません。
しかし、腎臓の不調を訴えている方は注意が必要になります。
体内に吸収されたカリウムの大部分は尿中に排泄されますが、腎不全などで腎機能が低下するとカリウムがうまく排泄されなくなり、高カリウム血症になってしまいます。高カリウム
血症になると筋収縮がうまくいかず四肢のしびれ、心電図異常などの症状が現れ、重篤な場合は心停止を起こすこともあると言われております。
腎臓は年齢とともに衰えていくことが知られており、高齢者は病院で腎臓の病気と診断されていなくても注意が必要になります。
明日葉のよくある質問
栄養抜群の明日葉ですが、調理用法や摂るのにベストなタイミングなどよくある質問をまとめてみました。
明日葉って効果ありますか。
多くの栄養素がバランスよくしっかりと含まれているので、野菜からしっかり栄養を摂りたい!という方にオススメな食材です。
特に国内でも限られて地域でしか栽培されておらず、旬の時期しか出回らないので、旬の時期スーパー等で見かけた時はぜひ、手にとってみてください。
明日葉を摂るのにベストなタイミングとは。
旬の時期以外手に入れるのはなかなか難しいのですが、せっかくなので旬の2月〜5月には他の野菜ではなく明日葉を積極的に摂ることをオススメします。
また1日の中でいつ食べたら良いかといいますと、いつでも大丈夫です。
栄養バランス等優れている明日葉なので、食事の副菜として活躍してくれるでしょう。
おすすめの調理方法は。
この記事で初めて明日葉を知った人もいるかも知れません。
明日葉を使った料理をいくつか紹介します。
油であげる
明日葉油との相性が良く、天ぷらや炒め物に適しています。少しクセのある味が特徴で、食べた時にそのクセが爽やかな風味と感じて食べられます。
茹でる
明日葉を茹でる時は塩を加えた熱湯で茹でましょう。
太い茎の部分と葉の部分は火の通りが違うので分けて茹でるか、先に茎を沸騰している湯に1分ほど浸してから葉の部分を浸すようにすると良いでしょう。葉の部分はしゃぶしゃぶ程度にさっと熱湯にくぐらせるようにする程度にしておきましょう。
茹で上がったものはすぐに冷水に取り、一気に冷ましてから水気を軽く絞って使います。
お浸しや和え物
ほうれん草のお浸しのように、明日葉もお浸しや和え物として食卓を飾るのもオススメです。
結局、明日葉が含まれる青汁をあえて選ぶメリットはあるのか
栄養豊富な明日葉について紹介していきましたが、年中市場に出回っているわけではございません。それでも明日葉からしっかり栄養を摂りたいと思う方もいらっしゃるかと思います。そんな方にオススメなのが青汁になります。
昔とある青汁メーカーのCMで、「まずい!もう一杯!」という一言から青汁は体にいいがまずい!というイメージがあるかもしれません。
最近の青汁は野菜にもこだわり、果物なども含まれているものもあり、とても飲みやすくなっています。
また、生の野菜じゃないのに栄養をしっかり取ることができるのか。どの野菜が含まれているものを選べば良いのか。などと疑問があるかと思います。
今までお話したように様々な栄養素をバランスよく求める方、栄養素を手軽に摂取したい場合、明日葉の入った青汁の選択はオススメです。
ただ、配合量によって、明日葉の栄養素がどのくらい貢献するか選ぶ青汁によります。しっかりパッケージなどを確認して、それぞれの野菜がどれだけの量が配合されているかが明記された青汁を選択しましょう。
明日葉にはミネラルやβ-カロテンなど様々な栄養素が豊富に含まれており、青汁で手軽に摂取できるならば、入ってないより入ってるものの方が期待できる相乗効果は高いと言えるでしょう。
まとめ
日本が原産で特定の地域で栽培されている明日葉。
他の野菜よりも栄養豊富で、これから体調を崩しやすくなってくる季節にぴったりです。
栄養バランスを考え、積極的に明日葉を摂ってみてはいかがでしょうか。