青汁の定番原料(葉っぱ)が選ばれるのは理由がある

「青汁は健康によいと聞くけれど、単なる葉っぱの寄せ集めではないの?」と疑問に感じている方もいるでしょう。葉っぱの寄せ集めというよりは、「健康によいとされる植物の葉を組み合わせた健康食品」いう方が正しいでしょう。ここでは、青汁は本当に単なる葉っぱの寄せ集めなのか、どのような種類があるのか詳しくご紹介します。

そもそも青汁って?何を青汁っていうの?

そもそも、どのような飲み物を青汁と呼ぶのでしょうか。定義や歴史、タイプについて詳しくみていきましょう。

青汁の定義

一般的に青汁とは、「野菜から抽出した成分を含む飲料」や、「野菜を加工して作った粉末、液体そのもの」を指します。使用する野菜や加工の方法にルールが定められていません。そのため、一言で青汁といっても、さまざまな種類があります。

青汁の歴史

青汁の原点は緑葉食とされています。緑葉食とは、身近な植物を使って作られた食べ物のことで、戦時中の食糧不足の状況を打開すべく作られました。その緑葉食をもっと摂りやすく改良されて作られたのが青汁です。

当時、開発された青汁は、苦くて口あたりが悪いものでしたが、企業努力によって改良が重ねられ、現代では口あたりがよくて飲みやすい青汁が広く販売されています。その結果、青汁は身体によいという認識が広がり、今では多くの人に愛飲されるようになりました。

青汁のタイプ

青汁は、使用する野菜やその種類、添加されている成分などが商品によって異なります。主に、次の3つのタイプに分類されます。

1つの野菜だけで作られているタイプ

野菜を1種類だけ使用したタイプの青汁です。1つの野菜しか使用しないため、含まれる栄養の種類が限られています。特定の野菜を摂ることにこだわりたい方に向いているでしょう。

また、含まれている野菜が1種類のみのため、値段が安い傾向があります。ただし、製法に徹底的にこだわっている青汁は、生産コストの関係で値段が高くなります。

さまざまな野菜が含まれているタイプ

青汁に含まれることが多い野菜のほか、にんじんやピーマン、キャベツといった身近な野菜を組み合わせたタイプの青汁です。さまざまな野菜が含まれていることで、より多くの種類の栄養を摂れます。ただし、含まれている野菜の種類が多くても、「栄養の量」が多いとは限りません。

例えば、「100%大麦若葉の青汁」と「80%大麦若葉で20%が身近な野菜の青汁」は、割合は異なりますが使用する野菜の量は同じです。

多くの野菜が含まれている青汁は、食生活が偏りがちでさまざまな栄養が不足している方に向いています。

栄養素や乳酸菌が添加されているタイプ

青汁によっては、含まれている野菜では補えない栄養素や乳酸菌が添加されています。添加した栄養素は自然由来の栄養素とほぼ同じ機能を果たすため、他の青汁よりも品質が落ちるわけではありません。

また、乳酸菌が添加されている青汁は、腸内環境を整えてくれるため、便通の悩みがある方におすすめです。

侮ってはいけない!植物の葉の部分には栄養がいっぱい

現代では、青汁に使われる「葉」は限られています。それぞれの葉の特徴や含まれる栄養、効果について確認しておきましょう。青汁によく使われる「葉」は次のとおりです。

大麦若葉

大麦若葉は、大麦の若葉のことです。ビタミンやミネラルのほか、SOD酵素が含まれています。原産は中央アジアで、非常に古い歴史を持ちます。

また、大麦を育てるときは「麦ふみ」という新芽を踏みつける作業をするのですが、これは大麦内部の成分濃度を高めて寒さに強くすることが目的です。このように、外部からダメージを受けても枯れないどころか、逆に耐久性が高まるため、生命力に溢れた植物と言えます。

期待できる効果は、生活習慣病の予防効果、細胞の健康維持、冷え性改善、貧血予防、免疫力の向上、目の健康維持などです。

ケール

ケールには、βカロテンやビタミンC、カルシウム、食物繊維などが豊富に含まれているため、「緑黄色野菜の王様」とも呼ばれています。ケールと言えば、特殊な形状をしている植物ですが、実はキャベツやブロッコリーの原種とされています。

青汁用に使われているのは、1枚の葉から約180mlもの成分を抽出できる「ツリーケール」です。ケールは独特の香りと苦みがありますが、加熱すると甘くなる性質があります。そのため、工夫次第で飲みやすいケール青汁を作ることが可能です。

また、飲みやすさに配慮して、他の野菜と組み合わせたケールの青汁が広く販売されています。

桑の葉

桑の葉は、日本中に自生するクワ科の落葉樹です。古くから蚕のエサとして用いられてきました。また、中国古来より伝わる書物では、「陰干しした桑の葉を服用すると、滋養強壮に役立つ」と紹介されています。

桑の葉には、ビタミンAやビタミンB1・B2、ビタミンC、カルシウム、鉄などが豊富に含まれているため、青汁の原料に最適です。

さらに、興奮した神経を落ち着かせるGABAが含まれています。このように、多種多様な成分が含まれているため、生活習慣病を始めとしたさまざまな病気の予防に役立つといわれています。

明日葉

明日葉は、日本原産の多年草です。「摘んだ次の日には新芽が出るほどに生命力が強い」ことから、明日葉と名付けられました。その生命力の強さが注目され、今ではさまざまな青汁商品に明日葉が使われています。

含まれている栄養素は、ビタミンやミネラル、食物繊維などで、それぞれのバランスに優れていることが特徴です。また、植物には珍しく良質なタンパク質も含まれています。たった100gでβ-カロテンの1日の必要量を満たすため、美肌を目指す方におすすめです。

また、ビタミンCは水によって流出するのですが、明日葉は茹でた後でもみかんに匹敵するほどの含有量を誇ります。

クマザサ

クマザサは山間部に自生する笹の一種で、草の大きさは最大1mほどにもなります。さまざまな病気に効果があるとされ、古来より薬草として重宝されてきました。また、日本では現代でも傷ややけどの民間治療に用いられています。

各種ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。特に、ビタミンB1・B2、ビタミンC、ビタミンKが多いため、肌のケアやダイエット効果を求めている方におすすめです。また、クマザサに含まれる葉緑素には、ニオイ消しや抗菌作用などがあります。

長命草

長命草は、沖縄を中心とした温暖な地域の海岸沿いに自生する多年草です。沖縄県は、長命草を食べる習慣があるため、長生きする人が多いといわれています。沖縄県では、和え物にして食べたり、刺身のツマにしたりします。

含まれる栄養素は、ビタミンAやビタミンB2、ビタミンC、ビタミンE、カルシウム、ポリフェノールなどです。ポリフェノールは高い抗酸化作用を持ち、肌のくすみやシミのケア、皮膚の老化の抑制などに役立ちます。

そのほか、冷え、貧血、骨粗しょう症といった加齢とともに起こりやすくなる症状も和らげるといわれています。

青汁に含まれる「葉」の選び方

青汁に含まれる「葉」は、どれも栄養を豊富に含みます。だからといって、どれを選んでもよいわけではありません。栄養の種類やコスト、飲みやすさなど、さまざまな項目に注目して、自分に合った葉を選ぶことが大切です。それでは、青汁に含まれる葉の選び方をご紹介します。

含まれている栄養量や種類で選ぶ

葉によって摂れる栄養の種類や量が異なるため、事前に確認が必要です。例えば、ニオイ消しや抗菌作用を求める場合は、クマザサがおすすめです。1つの葉を原料とする青汁を選びつつも栄養を十分に摂りたいのであれば、あらゆる栄養の含有量が豊富なケールがよいでしょう。

普段の食事である程度の栄養を摂れている場合は、コストや飲みやすさなど他の項目を重視してください。なお、栄養の含有量は製法によって異なるため、その青汁のホームページに掲載されている成分表の確認が必要です。

コストで選ぶ

葉の種類によってコストが異なります。ただし、製法や販売方法、広告など、さまざまな要因で値段が決まるため、単純に原料費だけでコストの良し悪しを見極めることは困難です。

気になる青汁の値段を比較して、予算に合った青汁を選びましょう。値段が高すぎる青汁を選ぶと途中でやめてしまう恐れがあります。青汁は、長く続けることで効果を実感できるため、コスト的に続けやすい青汁を選ぶことが大切です。

飲みやすさで選ぶ

青汁を長く続けるためには、飲みやすさに注目が必要です。飲みづらい青汁は途中でやめたくなるでしょう。ケールは苦みと独特の香りが強い葉ですが、工夫によって飲みやすくできます。

また、口あたりがザラつく青汁もありますが、これも製法を工夫することで対策できます。

工夫をしなければ、どの葉を使う場合でも美味しい青汁を作れません。単発購入で飲みやすさを確認してから、継続購入するかどうか決めましょう。

副作用の種類で選ぶ

どの葉にも、副作用はありません。ただし、目安量を守らずに過剰摂取すると、何らかの症状が現れる可能性があります。例えば、長命草に豊富に含まれるビタミンAとビタミンEは身体に蓄積されやすい脂溶性ビタミンのため、過剰に摂ると健康に支障をきたす恐れがあるのです。

また、どの葉にも食物繊維が豊富に含まれていますが、摂り過ぎると返って便通が悪くなる可能性があります。青汁で健康をサポートしたい場合は、目安量を守って飲むことが大切です。目安量を守れば、副作用が起こる心配はほとんどありません。

ただし、薬を飲んでいる方や妊娠中・授乳中の方は、事前に医師に相談しましょう。薬の成分によっては、薬の効果が強く現れたり、反対に弱まったりする場合があります。

アレンジのしやすさで選ぶ

青汁によっては、ヨーグルトやフルーツと相性がよく、さまざまなアレンジができます。中には、アレンジが難しい青汁もあるので、事前に確認しておきましょう。青汁の商品ページにアレンジ方法が掲載されている場合があります。

青汁のアレンジの種類が豊富だと、飽きることなく長く続けられます。例えば、ヨーグルトに粉末青汁を混ぜたり、粉末青汁をお好み焼きの生地に混ぜて焼いたりするアレンジ方法があります。グラタンのホワイトソースに青汁を混ぜても美味しくいただけるでしょう。

自分好みのアイデアレシピを見つけてみるのも楽しいかもしれません。

「葉」から自分で青汁は作れる?

青汁が「葉」から作られているのであれば、自分でも青汁を作れるのではないかと考える方もいるでしょう。自分で青汁を作れないことはありませんが、美味しく作ることは困難です。美味しくない青汁は、長く続けることが難しいため、最初からメーカーの青汁を選んだ方がよいでしょう。

また、葉に寄生虫がいたり汚れていたりするほか、誤って毒性のある植物を選んでしまう可能性もあります。十分な知識と経験がない状態で植物から安全な飲食料を作ることは難しいため、やめた方がよいでしょう。

まとめ

青汁に使われている葉っぱは、大麦若葉やケール、長命草、クマザサなどです。いずれもビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれているため、青汁に適しています。そのまま食べることは難しくても、青汁にすれば美味しくいただけます。青汁の葉ごとの特徴を踏まえて、自分に合った青汁を選びましょう。

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