コラーゲン入り青汁のコラーゲンに効果はあるの?
数ある健康食品のなかでも、もっとも親しみ深いもののひとつが青汁です。野菜の栄養成分を手軽に摂取する目的で、健康食食品のなかでロングセラーかつ多くのメーカーから販売されている製品です。
近年はこの青汁にプラスαの成分を加えることで、より多くの健康効果を狙う製品も増えてきました。いくつも種類がありますが、今回は「青汁+コラーゲン」に焦点をあててみました。
コラーゲンとは人体でどのようなはたらきを果たしているのか、青汁と一緒に経口摂取することでも効果が得られるのかなど、青汁+コラーゲンへの疑問を明らかにしていきます。
コラーゲンのはたらき・役目
コラーゲンとはどんな物質?
人間の体を構成する大切な成分で、三大栄養素とも呼ばれるものに、タンパク質。炭水化物、脂質があります。コラーゲンは、そのなかのタンパク質の1種です。1種とはいえ、その割合はタンパク質のうち約30%を占めます。いかに人体にとってコラーゲンが重要な成分かがわかります。その総量は体格、性別によって異なりますが、平均的な日本人女性の場合、約3kgがコラーゲンで構成されています。
コラーゲンと聞いてまっさきに思い浮かぶのは化粧品ではないでしょうか。皮膚はその70%がコラーゲンでつくられています。皮膚のコラーゲンは、肌にハリ、弾力を与える大切な役割を果たしています。そのため、多くの化粧品にコラーゲンが配合されているのです。
とはいえ、化粧品では皮膚の表面近くのコラーゲンを補うことしかできません。身体のコラーゲン生成をサポートするものとして、コラーゲンサプリメントや青汁に加えるという製品が提案されているのです。
コラーゲンとはアミノ酸がさまざまな形で結合した物質です。例えば、真皮のコラーゲンはアミノ酸の鎖を3本組み合わせた「3重らせん構造」をしています。そのほかにも、繊維状のもの、膜状のものなどさまざまな形のコラーゲンがあります。
形状やアミノ酸の繋がり方で、コラーゲンには29種類もの種類があることがわかっています。しかし、個々の役割の全てはまだ解明されていません。
身体中で活躍するコラーゲン
しかし、コラーゲンが活躍する場所は皮膚だけではありません。内臓、血管、骨など人体のあらゆる場所で活躍しています。皮膚でのはたらき同様、適度の弾力とハリを与えることで、柔軟な血管や衝撃を柔軟に吸収する骨を作るのに貢献しています。
柔軟性を失った血管は、ちょっとした衝撃でも破れやすくなります。内出血が頻繁に怒る方は要注意です。破れる場所にもよりますが、脳出血などの重大な病気の原因を引き起こす可能性もあります。
加齢とともに発症する方が増える骨粗しょう症も、コラーゲン不足が原因のひとつです。骨粗しょう症は、カルシウム不足が原因というイメージが強くあります。しかし、硬いだけの物質は意外に衝撃にもろくなります。硬さに加えて適度な弾力を維持することで、衝撃をうまく逃す折れにくい骨になるのです。
そのほかの内臓もコラーゲンによって、柔軟さと適度な弾力を得ることでしっかりと機能を果たすことができます。例えば心臓はポンプのように血液を体中に送り出します。ゴムボール状のポンプを想像してみてください。弾力の重要性がたやすくイメージできることでしょう。
このように体中のパーツは弾力とハリを必要としています。そして、その役割を果たしているのがコラーゲンなのです。
コラーゲンの経口摂取の有効性
食物吸収の仕組み
生物は食べたものを消化、吸収し、生命活動に必要な栄養素や身体のパーツに作り変えます。吸収したものを、身体に必要な形に生成することを代謝といいます。経口摂取したものは、そのままの形で何かに使われることはありません。全ての食べ物は、消化、吸収、代謝というプロセスを経て人体の生命活動に使われます。吸収、代謝に使われなかった物質は尿や便というかたちで排泄されます。
食事時にはまず口中で、噛みくだかれ唾液と混ぜ合わされます。この時点から消化は始まっています。唾液に糖質を分解する酵素が含まれています。噛み砕かれ唾液と混ざった食物は、胃でさらに細かく分解されます。胃液にはペプシン、塩酸などが含まれます。ペプシンはタンパク質を分解する作用があります。塩酸はカルシウムを水溶性に変質させ、小腸で吸収できるようにサポートします。
コラーゲンはタンパク質の1種です。コラーゲンを経口摂取した場合も、コラーゲンとしてそのまま吸収、身体の代謝に利用されるということはありえません。タンパク質は胃液に含まれるペプシンという酵素の働きによって、分解されます。
さらに十二指腸で、膵臓から分泌される膵液、胆のうから分泌される胆汁と混ぜ合わされます。膵液は、糖質、脂質、タンパク質を消化します。胆汁は脂肪を吸収しやすい状態に乳化します。そして小腸でも腸液によってさらに細かく分解され、ほとんどの栄養素が分解、吸収されます。
つまり、コラーゲンを多く含む食品を食べても、コラーゲンのサプリメントを飲んでも、その他の食物同様に、消化分解されて小腸から吸収されるわけです。
アミノ酸分解後も代謝時のコラーゲン生成をサポート
それでは、コラーゲンを含む食べ物やサプリメントの経口摂取は、体内でのコラーゲン生成の役にはたっていないのでしょうか。
結論からいえば、無意味ではありません。
体内でコラーゲンを生成するには、当然ながらコラーゲンの材料が必要になり、その材料がアミノ酸です。
アミノ酸とはタンパク質を構成する(タンパク質の構成材料になる)20種類の有機化合物のこと。そして、そのなかには体内では生成できず、食事によって補うしかない「必須アミノ酸」というものが9種類もあります。
だから、どうせバラバラに分解されるのだからと、コラーゲンやタンパク質の摂取をおろそかにすると、代謝時にアミノ酸が不足しタンパク質不足に陥ってしまいます。タンパク質が不足すると、コラーゲンだけでなく筋肉や頭髪などさまざまな部位が衰えてゆきます。そうならないためには、じゅうぶんなタンパク質を含むバランスの良い食事が重要ということです。
コラーゲンを多く含む食材としては、フカヒレ、鳥の手羽先、うなぎなどがあります。もちろん、コラーゲンサプリメントも、食材同様アミノ酸に分解されますが、コラーゲン生成に必要なアミノ酸の補給に大きく貢献します。
つまり、サプリメントなどで経口摂取したコラーゲンの100%がコラーゲンになるわけではありません。しかし、アミノ酸の供給、ひいてはコラーゲンの材料の供給にはしっかり貢献している、ということです。
ただ、コラーゲンに再生成されても、それが思う場所に効果として現れるかはまた別の話です。顔の皮膚のハリのためにコラーゲンを補給しても、骨や内臓などでコラーゲンが不足していれば、そちらに使われることもあります。
人体のあちこちで使用される栄養素は、生命維持に重要な場所から供給されます。肌のハリ目的でコラーゲンサプリメント利用するなら、食生活全体に気を配り、プラスアルファで利用するくらいの心持ちが必要です。
コラーゲンの性質を保ちつつ吸収されるコラーゲンペプチド
コラーゲンそのものの摂取も、回り回って体内のコラーゲン生成に貢献します。しかし、より効率よくコラーゲン生成を行うなら、コラーゲンペプチドの摂取が有効です。
ペプチドとは食物がさまざまな酵素の働きによって分解される途中の状態のもの、と思ってください。完全に分解されずにアミノ酸が2〜3個繋がった状態なので、コラーゲンの性質を完全には失っていません。またコラーゲンそのものよりも、分子はかなり小さくなり、体内への吸収もスムーズに行われます。
コラーゲンペプチドを含む飲料を摂取するグループと、プラセボ(コラーゲンペプチドを含まない効果検証用の飲料)の比較実験では、
- 肌の水分蒸散量
- ひざ関節の疼痛の自覚症状
- 骨代謝形成の優位性
の3点において、いずれもコラーゲンペプチドを含むグループの方に効果が認められたという実験結果がでています。*5
効率よくコラーゲンの恩恵を取り入れるなら、コラーゲンペプチド含有の製品がより有効であるといえるでしょう。
コラーゲンサプリの選び方
まずコラーゲンとはどのようなもの成分なのか、人体でどのような働きをするのかを紹介しました。次に経口摂取によるコラーゲンの効果の有無、そしてよりコラーゲン生成に有効なコラーゲンペプチドについて紹介しました。
それらをもとに、コラーゲンサプリメント選びのポイントを簡潔に3つまとめてみました。
コラーゲンペプチド配合と明記してある製品を選ぶ
コラーゲンを原料に含むサプリメントには、使用したのがコラーゲンであるのか、コラーゲンペプチドであるのか明記してあります。原材料名にコラーゲンペプチドと明記してある製品を選ぶようにしましょう。
コラーゲンペプチドの配合量の多いものを選ぶ
原材料にコラーゲンペプチドとある場合、配合量の多いものを選びましょう。
栄養素の中には摂取のしすぎに注意が必要なものもあります。コラーゲンの場合は5〜10gが目安とされています。コラーゲンドリンクで10,000mg含有というものがあります。そのような専用品なら1日1本が適量です。青汁+コラーゲンの場合、コラーゲンペプチドの配合量はもっと少量のものばかりです。
コラーゲン生成を助ける食品を同時に摂取する
コラーゲン生成を助ける食品や栄養素を一緒に摂取することで、より速やかに効果を感じることができます。重要なのはビタミンCとカルシウムです。特にビタミンCはコラーゲン生成に不可欠な成分なので、意識して摂取するように心がけましょう。
フカヒレの姿煮の付け合わせに、チンゲンサイがよく使われます。チンゲンサイはΒカロテン、カリウム、カルシウム、ビタミンCを豊富に含む栄養価の高い野菜で
中華料理では、その長い歴史の中で最適な食べ合わせを見つけていたのですね。
コラーゲンペプチド配合量の青汁
最後にまとめとして、コラーゲンペプチド入りの青汁を紹介しましょう。
メーカー、製品名、内容量、1日の摂取量、コラーゲン含有量、その他特記成分、税込価格、製品URLの順に記しています。青汁+コラーゲンに該当するほとんどの製品を紹介していますが、コラーゲンペプチドの配合量が不明のものは除外しています。
エーザイ
美 チョコラ コラーゲン青汁
30包入
1日1包
低分子コラーゲン500mg
ビタミンC、フルーツ果汁、食物繊維入り
税込4,115円
えがお
えがおの青汁コラーゲン
31包入
1日1包
コラーゲンペプチド1袋1,500mg
栄養機能食品(ビオチン:皮膚や粘膜の健康維持)
税込3,564円
アサヒ緑健
青汁×コラーゲン
60袋入
1日2袋
低分子コラーゲンペプチド2,250mg
ヒアルロン酸、セラミド、ビタミンC配合
税込10,200円
iMb(アイエムビー)
コラーゲン青汁ビューティー
1セット(15袋入)×2
1日1包
コラーゲンペプチド1,500mg
ヒアルロン酸、ヘスペリジン、プロテオグリカン
1セット税込3,564円
AFC(エーエフシー)
コラーゲン青汁+希少糖
100g入り(1日5g目安)
コラーゲンペプチド2,500mg(5g内)
静岡抹茶、希少糖
税込2,100円
ユーワ
おいしいフルーツ青汁 コラーゲン&プラセンタ
40包
1日1包
コラーゲンペプチド1,000mg
プラセンタ、ビタミンC、乳酸菌150億個
税込1,922円
青汁+コラーゲンという同じ製品カテゴリーでもさまざまな製品があります。価格の差にも驚かされますが、健康食品は継続できるかどうかが1番のポイントです。初回割引で安く購入できるメーカーもあります。定期購入やまとめ買いで安く購入できることもありますが、継続して飲めることを確かめてからにしましょう。
また、コラーゲン生成にはビタミンCとカルシウムの同時摂取が有効と紹介しました。ここで紹介した青汁は全て大麦若葉を主原料とした青汁です(その他にケールや明日葉を加えた製品もあります)。大麦若葉はビタミンC、カルシウムを豊富に含む野菜*7です。それを主原料とした青汁+コラーゲンは、手軽にコラーゲン摂取ができる便利な健康食品です。ただ、含まれるコラーゲンペプチドの量は決して多くありません。あくまでコラーゲン摂取の補助として捉えるのがよいでしょう。自分に合う製品を見つけて、健康づくりに役立ててください。
◆参考文献
「資生堂ラボ」#コラーゲンの基礎知識
国立循環器研究センター病院」
栄養に関する基礎知識の2. 食べ物の消化・吸収と代謝
「e-ヘルスネット(厚生労働省)」アミノ酸
「モリナガ研究成果 コラーゲンペプチド」2、コラーゲンペプチドとは
6、コラーゲンペプチドの肌の水分蒸散へ及ぼす効果
(山本貴之ら. 薬理と治療. 46(5), 849 (2018))
7、コラーゲンペプチドの膝関節の自覚症状へ及ぼす効果
(山本貴之ら. 薬理と治療. 46(5), 837 (2018))
8、コラーゲンペプチドの骨代謝へ及ぼす効果
(下間早織ら. 薬理と治療. 47(3), 493 (2019))
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