青汁に含むクロロフィルの効果・効能・副作用とは?

青汁にはクロロフィルがいっぱい

青汁に使用されるケールや大麦若葉などのスーパーフードには、クロロフィルがたくさん含まれています。
クロロフィルは、体に余分なものを排出する作用があり、その他にも様々な健康・美容効果があるといわれています。
今回はこのクロロフィルについての効果や副作用、多く含まれる商品の見分け方などを詳しく説明します。
せっかく青汁を飲むのなら、美容や健康に良い栄養素はしっかり把握しておきたいもの。
青汁の効果を最大限に実感したい方はぜひチェックしてみてください。
クロロフィル(葉緑素)とは?
まず、クロロフィルとはどういったものなのでしょうか?
あまりメジャーな栄養素ではありませんが、地球上の生命が生きていけるサイクルを左右しているといっても過言ではありません。
植物に含まれる葉緑体の1種
クロロフィルは、青汁に使用される緑黄色野菜や藻類の細胞内にある葉緑体に存在する天然色素のこと。
クロロフィル葉緑素とも呼ばれ、光合成に必要な光を捕獲する大切な役割を担っています。
植物や藻類が全て緑色に見えるのは、クロロフィル葉緑素の緑色を反射する性質によるもの。
太陽の光エネルギーをキャッチするとクロロフィルの分子が電子を放出し、この電子によって糖などの有機物がつくられていきます。
有機物をつくる役目を果たし電子を失ったクロロフィル分子は水を酸化し、再び電子を取り戻しますがその過程で酵素も生成します。
この循環により植物は水と太陽の光、二酸化炭素を利用し生きることができるのです。
植物はこのように自ら生きていけるメカニズムが備わっていますが、人間は外からの栄養がなくては生きていけません。
クロロフィル葉緑素は植物の強い生命力の源といえます。
クロロフィルaとbの違い
陸上植物に含まれるクロロフィルにはaとbがあり、一般には植物の葉に3対1の割合で存在するといわれています。
主にクロロフィルaは光合成のために太陽光をとらえる主要な色素であり、クロロフィルbは太陽光を集めるサポート役といえます。
このaとbの2つがあわさって光吸収タンパク複合体が形成され基本的にセットとなるため、どちらを摂取すれば良いかなどは考える必要ありません。
aとbでは吸収する光の範囲が異なり、クロロフィルaでは主に紫から青、赤色の光を吸収し、クロロフィルbでは青、橙から赤色を吸収します。
残った緑色は吸収せずに反射するため、わたしたち人間の目には植物が緑にみえます。
天然クロロフィルと人工のクロロフィル
天然のクロロフィルは自然会に存在するクロロフィルそのもののことで、構造の中心にはマグネシウムが存在します。
対して人工のクロロフィルはこのマグネシウムを銅に置換したもので、食品添加物として色づけにも使われることがあります。
クロロフィルのサプリメントが発売されているのを見かけますが、天然のクロロフィルは抽出や精製に高度な技術が必要となります。
そのため、分子構造を崩さずに抽出された天然クロロフィルのサプリメントは一般ではほとんど流通していません。
念のため、天然クロロフィルと人工クロロフィルの違いは把握しておきましょう。
なぜ健康に良いのか?

群を抜いたクロロフィルの抗酸化力
太陽の光を植物が使いやすいエネルギーへと変換し、酵素を生成するクロロフィルは、人間の体の中でも電子伝達をスムーズに行い、化学反応を促進してくれます。
このように酸化還元反応を行う物質は、特有の構造をしているクロロフィルだけといわれています。
クロロフィルの抗酸化作用を守るためにカロチノイド、フィコビリン、キサントフィル等が周りに配置され、これらの成分が自ら犠牲となって先に酸化されていきます。
この特殊な構造のおかげで、クロロフィルの抗酸化作用は最後まで生き残り、しっかりと抗酸化作用の働きをしてくれるのです。
クロロフィルが緑の血液と呼ばれている理由
クロロフィルは植物に含まれる成分ですが、人間や動物の血液に含まれるヘモグロビンの構造と非常に似ているため「緑の血液」と呼ばれています。
構造の中心部がマグネシウムか鉄かという違いだけといっても過言ではないでしょう。
クロロフィルが体内で吸収されると、血液中で鉄と結合し赤血球や筋肉のヘモグロビンにかわるため、造血作用や血球増作用につながります。
クロロフィルはヘモグロビンは分子構造がそっくりなので、血液をつくるときに手っ取り早く原料となるわけです。
クロロフィルの含有量が多い食品

クロロフィルはシソ、モロヘイヤ、ほうれん草や小松菜、ブロッコリー、クロレラなどの緑黄色野菜や、わかめなどの藻類、キウイなどのフルーツに多く含まれています。
緑の色が濃ければ濃いほど、クロロフィル葉緑素をいっぱい含んでいるということですね。
もちろん青汁の原材料によく使用される、ケールや大麦若葉、アルファルファなどのスーパーフードにも多く含まれます。
ただし、これらのスーパーフードは硬い繊維質や細胞壁に囲まれています。
人間の体ではこの繊維質をうまく消化することができないため、生で食べると効率よく栄養素を摂取できません。
細かく刻むなどの加工が施された青汁は、このような硬い繊維質や細胞壁がこわれているため、効率よくクロロフィルの栄養素を補うことができるのです。
クロロフィルの効率良い摂取法
前項でもお伝えした通り、緑黄色野菜や藻類など緑色が濃い食品を食べれば、クロロフィルが豊富に含まれています。
しかしクロロフィルは特殊な構造上、加工せずに摂取するとそのまま排泄されてしまう可能性があることを忘れてはなりません。
クロロフィルは水には溶けませんが、アルコールや油脂には溶け、加熱にも耐えれるといった特色があります。
青汁以外の食品でクロロフィルを摂取する場合、細かく刻み加熱すると、クロロフィルを覆っている細胞壁をこわれてクロロフィルを吸収しやすくなります。
また油で炒めるとクロロフィルが溶け、さらに吸収しやすくなるため効率よく栄養素を補えます。
ただし長時間加熱しすぎるとクロロフィルがフェオフィチンという成分に変わってしまい、栄養素が損なわれる可能性も。
短時間でさっと炒めるのがおススメです。
天然クロロフィルの効果

スーパーフードなどの葉野菜、緑黄色野菜などに含まれる天然クロロフィルには造血作用や、デトックス作用、消臭作用などの様々な効果があるといわれています。
そのなかでも長年の研究から、過去の実験データにより効果が立証されているものを下記で紹介します。
気になる方は、早速今日からクロロフィルを取り入れてみましょう。
造血作用による健康効果
クロロフィルの造血機能の促進作用により、マウスによる実験では赤血球の増加が認められ、貧血症の方には増血による改善も認められています。
また造血作用により、心臓の機能の増加、新陳代謝の活性化など様々な生活習慣病の予防が期待できます。
さらにマウスを使った実験では、血中の脂質を低下させ、コレステロール値も多少であれば調節作用があるとの結果がでています。
参考資料:ク ロ ロ フ ィル の 血 漿 脂 質 改 善 効 果
消臭効果
クロロフィルには消臭効果があり、口内ケア商品やペット用のガムにもよく使用されています。
実際に人間や動物の体臭の脱臭作用が実験でも認められています。
体臭や加齢臭に悩んでいる方はクロロフィルを積極的に摂取しましょう。
整腸作用
クロロフィルは腸壁の血行も良くするため、消化器の機能促進や食欲増進、整腸作用を高めることもわかっています。
また利尿作用も高め、小腸に付着した老廃物を便として排出させる効果も認められています。
これらの作用により、結果デトックス効果につながると考えられています。
参考資料:【医師監修】便秘解消には果物が効果的!? 果物に含まれる食物繊維の特徴を解説
組織活性化・増殖作用
クロロフィルは細胞活性化、増殖作用があります。
膿などを早く乾燥し潰瘍や創傷、肉芽の形成を促進させるため、組織の修復作用にも大いに役立ちます。
参考資料:葉 緑 素 の 利 用
美髪効果
クロロフィルaは髪の毛の主成分であるケラチンというタンパク質と結合しやすい性質を持っています。
そのため、髪の毛を強化し健やかな髪質へと導いてくれます。
注意すべき副作用
厚生労働省によるとクロロフィルは、光過敏症などの皮膚障害を引き起こすフェルホルバイドという成分が含まれる可能性があるため、摂取量には注意が必要といわれていました。
しかし兵庫県の消費者団体連絡協議会の共同調査によると、一般で販売されている青汁では、厚生労働省の指導基準値に及ぶほどのフェオホルバイド量は検出されていません。
一般の青汁で、天然クロロフィルを摂取してもそこまで心配する必要はないといえるでしょう。
クロロフィルが配合されている青汁

選び方
基本的に天然色素である、クロロフィルは緑色の色素が特徴となります。
そのため、加工が少なく緑の色素が多く残っている冷凍タイプか粉末状の青汁の方がクロロフィルの含有量が多いと判断して良いでしょう。
青汁に使用される原材料で、クロロフィルが多い順に並べると以下のようになります。
- モロヘイヤ
- 大麦若葉
- アルファルファ
- 小麦若葉
- ケール
- 緑茶
- ホンレンソウ
より多くクロロフィルを摂取したい方は、これらの原材料が多く含まれた商品を選ぶと良いでしょう。
注意点
クロロフィルは光が当たると光劣化(酸化)しやすくなります。
直射日光や、暗所でも蛍光灯などの光が当たる場所は避けた方が賢明といえるでしょう。
また粉末青汁などの、賞味期限は長めの物でも開封後はなるべく早く消費するようにしましょう。
参考資料:一般社団法人日本植物生理学会「クロロフィルの変性について」
クロロフィルで美しく健康的に

クロロフィルは独自の構造でエネルギーを変換する、まさに自然界の工場といえますね。
健康や美容がクローズアップされている現代では、同時に栄養過多による病気も蔓延しています。
細胞そのものから元気にしてくれるクロロフィルは、本来のサイクルを取り戻すのに最適な栄養素といえるでしょう。