鉄分不足を青汁で補う方法と鉄分入りの青汁3選

血を作る原料である鉄分は私たちの体にとって欠かせない栄養です。鉄分が不足すると貧血になったり、血液が足りないことで体の機能にも悪影響を及ぼします。食生活が乱れがちな現代人でとくに女性では鉄分不足に陥りやすいとされています。

この鉄分を補うために青汁を補いたいと考えている方も多いのではないでしょうか?でも、果たして青汁で鉄分補給は可能なのでしょうか?どんな青汁を選べば良いのでしょうか。この記事では青汁で鉄分を効率よく補給するためのポイントと注意点について解説します。

鉄分と鉄分不足とは?

鉄分という言葉はよく耳にするかと思いますが、一体鉄分は体の中のどこでどんな働きをしているのでしょうか?鉄分の役割とはたらき、鉄分不足による症状などについて解説します。

鉄分の役割

鉄分の最も大事な働きは赤血球と結合して酸素を運ぶことです。赤血球に含まれるヘモグロビンと酸素が結合することにより、口から呼吸で取り込んだ酸素は全身すみずみに運ばれていきます。このヘモグロビンは鉄を含む「ヘム」とタンパク質である「グロビン」が結合してできています。つまり赤血球が酸素を運搬する機能を維持するには鉄分が欠かせないということです。

鉄分は体のどこにある?

人の体には3〜4g程度の鉄分が含まれています。その実に70%が赤血球に含まれているヘモグロビンの成分となっています。残りは肝臓や脾臓にある貯蔵鉄、筋肉や皮膚にある組織鉄として存在しています。また、体内にある鉄分の99%が脾臓にて再利用されています。

鉄分の種類

食べ物に含まれている鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。肉類、卵などに多く含まれているのがヘム鉄で、緑黄色野菜など植物に含まれているのは主に非ヘム鉄です。

吸収の面ではヘム鉄の方が効率が良く、ヘム鉄は30%、非ヘム鉄では7%程度しか体内に吸収されません。では、ヘム鉄が多い肉類や魚、卵ばかり食べた方が良いかというと、そうとは限らないのです。ヘム鉄だけではなく脂肪分などの栄養も摂りすぎてしまう可能性があるため、非ヘム鉄を含む緑黄色野菜もバランスよく取り入れる方が効果的です。

とくに女性は鉄分を失いやすい!?

男女で1日に必要な鉄分の量は差があり、とくに月経のある女性では必要な鉄分量が男性よりも多くなります。それは、女性が月経で鉄分を失いやすいためです。女性は1回の月経で15〜50mgもの鉄分を排泄すると言われています。汗や髪の毛から1日あたりに自然と排泄する鉄分は1mgほどであることと比べると、非常に多くの鉄分を失うことが分かります。

また、妊娠中や授乳期も胎内にいる赤ちゃんや母乳を介して赤ちゃんに栄養を与えるため、鉄分を多く必要とします。通常の摂取量では不足することもあるので注意が必要です。

鉄分不足になるとどうなる?

では、鉄分が不足するとどんな症状が出てくるのでしょうか?とくに問題になりやすいのが、鉄欠乏性貧血です。体内の鉄分が減ると全身の組織が酸素欠乏状態になり、さまざまな貧血症状となって現れるようになります。

鉄欠乏性貧血では次のような症状が現れます。

  • 脳の酸素不足によるめまい、頭痛
  • 筋肉の酸素不足による疲労感、倦怠感
  • 肌の赤みがなくなり、黄色っぽくなる
  • 目の粘膜が白っぽい
  • 爪が白っぽくなる、割れやすい、スプーンのように反り返る、爪に溝ができる など

とくに女性では月経や出産などをきっかけに、鉄欠乏性貧血になる人がとても多くなっています。成人女性の4人または5人に1人が鉄欠乏性貧血とも言われています。

もし、このような症状が起きている場合には、鉄欠乏性貧血が疑われます。とくに健康診断で鉄分、ヘモグロビン値が低めと指摘された、貧血気味と言われたという方は、積極的に鉄分を補う食生活を心がけていくことが大切です。

1日あたりの鉄分の摂取目安

鉄分の1日あたりの目標摂取量(74歳未満)は次のようになっています。

男性 7.5mg
女性 11mg(月経がある場合)、6.5mg(閉経後)
妊娠中期・後期は1日に16.0mg(18-29歳)、21.5mg(30-49歳)
※女性は年齢・状況により異なります。

出典:日本人の食事摂取基準(2020年版)

ただ、具体的にこの量がどの程度の多さなのか、ピンとこないという方も多いでしょう。例えば、鉄分の多い野菜として知られるほうれん草には100g(1/3束)で2mg、豚レバー100gで24.1mgの鉄分を補うことができます。ただ、ほうれん草だけで補おうとすると女性では1日1束以上の摂取が必要です。また、豚レバー100gを毎日のように食べることも現実的には難しく、逆にコレステロールや脂肪分の摂りすぎなど栄養の偏りが生じてしまう可能性もあります。鉄分が多いからといって動物性食品ばかりに偏るのは望ましくありません。

鉄分が多く含まれている食品

鉄分は身近なさまざまな食品に含まれていますが、現代人の偏った食生活では不足してしまいがちです。具体的にどんな食品に含まれているか知っておくと、毎日の食生活を改善する上でも役立ちます。具体的な食品と鉄分の量をチェックしておきましょう。

肉類・卵

豚レバー(80g) 10.4mg
鶏レバー(60g) 5.4mg

牛もも肉(和牛・赤身)(80g) 2.2mg
牛ヒレ肉(和牛)(80g  2.0mg

50g(中1個)0.9mg

レバーや赤身肉に多く鉄分は含まれています。とくに筋肉である赤身肉にはヘム鉄を含むミオグロビンが豊富に含まれています。運動に使う筋肉には酸素が多く必要なので、酸素と結びつくミオグロビンが多くなるためです。また、レバー(肝臓)は鉄の貯蔵場所であるため、鉄分の宝庫となります。

魚介類・海藻類

わかさぎ(80g)4.0mg
カキ(70g) 2.5mg
アサリ(30g)11.3mg
しじみ(20g)2.0mg
干しひじき(10g)5.5mg

魚類や海藻類も鉄分が豊富に含まれます。海藻類は非ヘム鉄が豊富に含まれていて、しかもカロリーも低いので鉄分補給におすすめの食品です。ひじきには豊富に鉄分が含まれていますが、無機ヒ素が含まれているため過剰摂取には気を付ける必要があります。

緑黄色野菜・穀物類

ほうれん草(80g) 3.0mg
小松菜 (70g) 2.0mg
枝豆(50g) 1.4mg
ごま 大さじ1(10g) 1.0mg
パセリ (100g) 7.5mg
ケール (100g)0.8mg

鉄分が多い野菜といえば、緑色の濃い野菜が挙げられます。とくに有名なのはほうれん草ですが、じつは鉄分の宝庫とも言えるのがパセリです。なかなか大量に食べることは難しいですが、パセリをトッピングで少し散らすだけでも簡単に鉄分をプラスできます。また、小松菜や枝豆、ごまなども鉄分が多く、手に入りやすい食材としておすすめです。

鉄分は青汁で補給できる?

鉄分が多く含まれている食品は、なかなか普段意識していないと食べる機会が少なくなってしまうものが多いです。そのため、もっと手軽に鉄分を補うために青汁を役立てたいという方も多いのではないでしょうか?でも本当に青汁で鉄分不足は補うことができるのでしょうか。

青汁の原料と鉄分の含有量

青汁にどれくらいの鉄分が含まれているかは、主原料の鉄分量により差がつきます。主な青汁原料と鉄分量は次のとおりです。

ケール (100g)0.8mg
大麦若葉粉末(3g) 1.3mg
明日葉 (100g) 1.0mg

※ただし、時期や産地により鉄分含有量は変動する

とくに鉄分の多さで群を抜いていると言えるのが大麦若葉(粉末)ではないでしょうか。粉末化した状態でのデータになるため単純に比較することは難しいですが、大麦若葉粉末3gで1.3mgもの鉄分を補うことができます。大麦若葉は他の野菜と比べても非常に貴重な鉄分の摂取源と言えるでしょう。

どのくらいの量を飲めばいいか

鉄分をどの程度補いたいかにもよりますが、あくまでも青汁は栄養のサポートとして取り入れるものです。青汁だけで全ての鉄分を補うということではなく、足りない分を補充するために青汁を取り入れましょう。

飲む量は製品ごとに決められた目安量を参考に、だいたい1日あたり1〜3杯程度が標準的な量です。お体の調子に合わせて無理なく続けられる量を取り入れていきましょう。

鉄分補給におすすめの青汁

緑黄色野菜の入った青汁は鉄分補給に適した飲み物ですが、とくにどんな製品を選ぶと効率よく鉄分補給できるのでしょうか?鉄分を強化したタイプの青汁など、おすすめの製品をご紹介します。

カイゲンファーマ  乳酸菌のまろやか青汁 鉄分プラス

大分県産の有機大麦若葉をベースに、鉄分をプラスすることで鉄 4.11mg(1包3gあたり)も補うことができる製品です。1日に必要とされる鉄分の約半分程度を補うことができるので、とくに鉄分不足を解消したい方におすすめです。ノンカフェインで乳酸菌もたっぷり入っています。

伊藤園 毎日1杯の青汁 おいしいフルーツミックス 20包入

大麦若葉や緑茶など7種の国産青汁素材をベースに、酵母鉄を配合した青汁です。香料・保存料・着色料を使用していないことも特徴です。砂糖が多い点はやや気になりますが、鉄 0.51~1.00mgを1包で補うことができます。

永谷園 子供と一緒においしい!フルーツ青汁 

母親と子供に必要な「鉄」を強化した栄養機能食品タイプの青汁です。1包で鉄2.04mgを補うことができます。大麦若葉粉、バナナパウダー、小松菜粉などさまざまな素材をミックスし、お子様でも飲みやすいように甘みが感じられる青汁です。

鉄分補給に効果的な飲み方とタイミング

鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、青汁に含まれているのは主に野菜由来の非ヘム鉄です。吸収が悪いといわれる非ヘム鉄ですが、飲み方を工夫することで吸収率をアップすることができます。ぜひ次の飲み方を参考に、効果的に青汁を取り入れていきましょう。

ビタミンCと一緒に補給する

ビタミンCは鉄の吸収を助ける作用があります。吸収しづらい非ヘム鉄もビタミンCと一緒に取り入れることで吸収がアップします。

では、ビタミンCをどのように補うのかですが、もともと青汁にもビタミンCが含まれています。そのため吸収の面でも青汁はとても優れた食品と言えます。もちろん更に吸収を高めるために、他の食品や飲み物からビタミンCを補うのもおすすめです。

例えば簡単な方法としてレモン果汁を絞って加えると、風味もさわやかになり飲みやすくなります。また、イチゴやキウイなどを入れたスムージーに青汁パウダーを加えると、鉄分補給にぴったりのビタミンC豊富なスムージーに仕上がります。

タンパク質と一緒に摂取する

非ヘム鉄の吸収を高めるにはタンパク質と一緒に摂取する方法もあります。動物性タンパク質には非ヘム鉄の吸収を高める効果がビタミンCと同様にあります。

例えば、肉類や魚類、卵などを食べるときに、青汁を一緒に飲むと効果的です。また、ヨーグルトやミルクに溶かして飲む、料理などのトッピングや材料として混ぜ込むなど、さまざまなアレンジで楽しんでみてください。

鉄分摂取についての注意点

青汁から鉄分を補給する場合には、いくつかの注意点があります。安全に青汁を取り入れるためにも、以下の注意点を確認しておきましょう。

鉄は過剰症があるため取りすぎに注意

鉄分を補給したいからといって青汁を大量に飲んだり、他の鉄分サプリ、鉄剤などと併用して摂取することは注意が必要です。鉄は体になくてはならない成分ですが摂りすぎにより、過剰症を起こすことがあります。

鉄を必要量を超えて摂り過ぎると、過剰な鉄が全身の組織に蓄積されてしまいます。膵臓や下垂体、肝臓や心臓などに蓄積して過剰症を引き起こす可能性があり危険です。青汁を少し飲みすぎた程度では危険性としては少ないですが、毎日続けると過剰になる場合もあります。青汁は飲み過ぎに注意して、適量取り入れるようにしましょう。

治療中の場合は医師に相談

病気で治療中の方は、鉄分摂取の制限や食事指導など受けていることがあります。例えばC型肝炎の方は鉄分の制限が必要なケースもあります。お薬との飲み合わせに注意が必要なこともあるので、治療中の方が青汁を摂取する場合には医師に相談しておくと良いでしょう。

毎日の食事にプラス!青汁で鉄分を補給しよう

今回は鉄分摂取と青汁について説明してきました。鉄分補給についての理解は深まったでしょうか?鉄分を多く含む食品はさまざまな種類がありますが、食事が偏りがちな時や十分に食事をとれない時などは鉄分が不足しがちになります。食事を見直すとともに上手に青汁などの鉄分豊富な食品を取り入れて効率よく補っていきましょう。青汁を飲むときにはビタミンCやタンパク質と合わせて取り入れると吸収がアップします。美味しく青汁を取り入れて、楽しく健康的な毎日を目指していきましょう。

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