ビタミンKが含まれてない青汁はある?ワーファリン服用中でも飲める青汁は?

健康や美容に良く最近では幅広い年齢層に飲まれている青汁ですが、すべての方が飲めるわけではありません。

実は青汁に含まれるビタミンKは、血液抗凝固剤である「ワーファリン」を内服されている方にとって避けなければならないものです。

そこで今回は、ワーファリン服用者でも飲めるビタミンKが含まれていない青汁は存在するのか?などについて詳しくご解説します。

ビタミンKが入っていない青汁はあるの?

残念なことに、ビタミンKが入っていない青汁はほとんどありません。
だからといって、青汁のような栄養補助食品がすべて摂取できないわけではありません。

少し工夫を凝らすだけで、緑黄色野菜やフルーツの栄養を効率良く摂取することは可能です。
まずビタミンKの特徴や効能について順番にご紹介しますね。

そもそもビタミンKってどんな成分?

ビタミンKは、1929年にデンマークのカール・ピーター・ヘンリク・ダムがニワトリの実験を行っていた際に偶然発見した栄養素です。

ドイツ語で血液凝固を意味する「Koagulation」の頭文字をとりビタミンKと名づけられました。

ビタミンKは多種類存在する

一言にビタミンKといっても多種類あるのはご存じでしょうか?

野菜や海藻、動物性食品などの食品に含まれる天然のものはビタミンK1(フィロキノン)とビタミンK2(メナキノン類)の2種類となります。

ビタミンK1は植物の葉緑体で生産され、ビタミンK2は微生物から生産されるのが特徴です。

ビタミンK2には何種類かの同族体があり、納豆によってつくりだされる「メナキノン-7」と動物性食品に含まれる「メナキノン-4」が代表的といえるでしょう。

ビタミンK1(フィロキノン)緑黄色野菜や海藻類に含まれます。
ビタミンK2(メナキノン-4)チーズなどの動物性食品に含まれ、主に微生物によってつくりだされます。
メナキノン-7納豆に含まれます。

ビタミンKは脂溶性ビタミンの1種

ビタミンKは油によって溶けだすため、体への吸収率は一緒に摂取する食事の内容によって変わります。
とくにタンパク質と一緒に摂取すると吸収率を高めるといわれています。

健常な成人のビタミンKの吸収率は高い場合で70~80%、低い場合で10~20%程度。

ワーファリンを服用されている方は、日頃から摂取しないように気をつけていると思いますが、徹底して吸収を避けたい場合、食べ合わせにも注意しましょう。

ビタミンKの効能

ビタミンKには、以下のような効能があります。
健常な方にはうれしい効果といえるため、積極的に取り入れたいものですね。

止血作用

名前から由来していることからわかるように、ビタミンKには止血作用があり、内出血などを早く治す効果が期待できます。

肝臓で生成される「プロトロンビン」という成分が血液凝固の役割を果たすのですが、ビタミンKにはこのプロトロンビンの生成を補助する作用があります。

そのためビタミンKを多く摂取すると肝臓のプロトロンビンが増え、血液凝固作用がより強化されるのです。

骨や歯の形成をサポートする

ビタミンKの効果は血液凝固作用だけでなく、丈夫な骨づくりにも欠かせません。

骨には「オステオカルシン」というタンパク質が存在しますが、ビタミンKにはこのオステオカルシンを活性化し、骨の形成を促す作用があります。

オステオカルシンは、骨の中から血管を通じて「骨の形成」だけでなく「記憶力」「筋力」さらには「生殖力」まで影響を及ぼすことがわかっています。

動脈の石灰化予防

この他にも、ビタミンKは動脈の石灰化にも有効に働くことがわかっています。

動脈の石灰化に有効といわれる「MGP」というタンパク質を活性化させる作用があり、結果的に心血管疾患のリスク低減が期待されます。

ビタミンKが不足しやすい人

腸内の細菌からも生み出すことができるビタミンKは、基本的に通常の食事で不足することはないといわれていますが、以下のような方は不足しやすくなります。

  • 抗生物質を長期間、もしくは頻繁に服用している方
  • 胆道閉鎖・肝不全の方
  • 赤ちゃん

抗生物質の服用は腸内の細菌にも有効となるため、ビタミンKが欠乏してしまうことがあります。
胆汁が不足する胆道閉鎖・肝不全の方もビタミンK欠乏症にはご用心。

胆汁はビタミンKの吸収に欠かせない体液なのです。

また母乳にはビタミンKが少なく、生まれたての赤ちゃんは腸内細菌が定着していないためビタミンKが不足しやすいといわれています。

乳児ビタミンK欠乏性出血症(頭蓋内出血)を起こすと稀に後遺症となる可能性も。
このようなリスクを避けるために、医療機関ではビタミンKシロップなど処方して事前に対策をとっています。

なぜワーファリンを服用していたらビタミンKは摂取できないのか?

ビタミンKの1日の推奨摂取量


成人男性(18~49歳)

成人女性(18~49歳)

ワーファリン服用者
ビタミンKの食事摂取基準(㎍/日)15015025~325 (150μgを目指すことが理想)

出典元:公益財団法人長寿科学振興財団「ビタミンKの働きと1日の摂取量」

上記の表からわかるようにビタミンKの1日当たりの推奨摂取量は健常な男女ともに150μgとされ、ワーファリン服用者の方でも1日の推奨摂取量は大きな差がありません。

しかし実際には、毎日小鉢程度の一定量で緑黄色野菜や海藻類を摂ることが理想とされています。
また食材によっては、かなり多くのビタミンKが含まれているため、摂取を控えなければならないことがあります。

なぜこのように、ワーファリン服用者の方はビタミンKの摂取量を気にしなければならないのでしょうか?

血液を凝固してしまうから

ワーファリンのもともとの目的は、血液を固まりにくくして、血栓を防ぎ心筋梗塞や脳梗塞を予防することです。

血液を固める凝固因子「プロトロンビン」はビタミンKの補酵素の役目によって生成されます。
したがって、ビタミンKを多く摂取すると自動的に肝臓中のプロトロンビンが増え血液が凝固されやすくなるのです。

薬の効果が弱くなると1週間は戻らないことも

体質によっては、少量のビタミンKを摂取しただけでもワーファリンなどの抗凝固薬の効果が弱くなる方も少なくありません。

東京女子医科大学神経内科によると、過去納豆5粒食べただけでワーファリンの効果が消えてしまった事例も報告されています。

納豆の場合、納豆菌が腸内細菌としてしばらく生きているため、薬の効果が戻るまでに1週間以上かかってしまうそうです。

基本的に緑黄色野菜や海藻類に含まれるビタミンKは一般的な献立のお味噌汁の具材やサラダ、お浸し程度で摂取し過ぎなければ問題ないといわれています。

しかし納豆菌のように、摂取後も体内で生き続けビタミンKの生合成を促進する食材には気をつけた方が良いでしょう。

ビタミンKを多く含む食品ランキング

ビタミンKを含むのは、実は青汁だけではありません。
基本的に抹茶や緑茶、納豆などもビタミンK多く含むため注意が必要です。

以下でビタミンKを多く含む食品についてランキング形式でまとめてみました。
もし、現在ワーファリンを服用されていたり、家族で服用されている方はいる場合は、これらの食材を避けるようにしましょう。

順位食品名100g当たりのビタミンKの含有量
1玉露4000μg(マイクログラム)
2クロレラサプリメント(錠剤)3600μg
3抹茶2900μg
4あまのり 干しのり2600μg
5岩のり 素干し1700μg
6カットわかめ1600μg
7紅茶1500μg
8煎茶1400μg
9納豆1300μg
10モロヘイヤ640μg

驚いたことに、クロレラ錠を除いて、普段飲む機会が多いお茶や紅茶が上位にランクインしました。
煎茶と玉露と違いは、日光が当たって栽培されたか、日光を当てずに栽培したかです。
玉露は日光を当てずに育てられ、通常より早い段階で収穫されたお茶のこと指します。

ランキングで表すとこのような結果となりましたが、忘れてはならないのは「ビタミンK」は脂溶性ビタミンであるということです。

玉露や紅茶、煎茶に関しては茶葉の浸出液を飲みことになるので、単体で摂取した場合ほとんど体内に溶け出ることはありません。

しかし茶葉を粉末に加工している抹茶、粉茶はビタミンKもそのまま摂取することになります。

少しややこしくなりますが、この違いを把握しているだけでも様々なリスクは回避できるでしょう。

因みに青汁の原料で使用されることが多いケールは100g中210μg、明日葉は590μg、加工済みの大麦若葉末で87.6μgとされています。

抹茶や粉茶が配合されていることが多い青汁は、避けたほうが賢明といえるでしょう。

参考文献
日本血栓止血学会詩第17巻第1号「ビタミンK含有食品とワーファリン」   

ビタミンKを摂取せずに栄養補給したいならスムージーがおすすめ

「ビタミンKの摂取は避けたいけど、青汁の栄養素も効率的に摂取したい!」
とお悩みの方、ご安心ください。

青汁の代わりにグリーンスムージーやスムージーを代用すると、ビタミンKを極力摂取せずに野菜やフルーツの栄養素が補えます。

青汁はケールや大麦若葉などの主原料の割合が多く、抹茶や緑茶などの粉末を含むものが多いためビタミンKの摂取量も増えてしまいます。

しかし、スムージーやグリーンスムージーは様々な食品が使用され、緑茶や抹茶を含むものが少ないため、比較的ビタミンKの含有量は少なくなります。

もちろん商品によって、差がありますので購入する際は事前にビタミンKの含有量について確認しておきましょう。

まとめ

一般的には健康や美容に良いといわれている成分でも、人によっては命にかかわることがあります。
事前に成分についての情報を把握しておくことで、このようなリスクはかなりの確率で回避できます。

自分に合う成分、合わない成分をメモして、購入前には成分表や原材料をチェックすることを心がけましょう。

関連記事