【ニッケルの効果】生活に必要不可欠!知られざる役割を解剖

高校の化学の授業で「ニッケル電池」について学んだ人も多いかと思います。
元素周期表でいうと28番目に属し、20個までを暗記していた人からすると馴染みがない元素かもしれません。

しかし、私たちの生活でなくてはならない、むしろ日本国民全員が大好きなあるものの原料でもあります。
それは、お金。ニッケルは500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨の原料です。

もちろん50円硬貨以外でも私たちの生活を支えています。
今回はそんなニッケルについて、ニッケルの役割、私たちの健康とニッケルの関係性などについて話していきたいと思います。

ニッケルとは

ニッケルは原子番号28、元素記号は Ni の元素です。

ニッケルは、天然に存在し、光沢のある銀白色をした金属元素です。地球上で5番目に豊富な元素であり、多くの地域で地殻から産出します。しかし、ニッケルのほとんどは地球の中心部の手の届かない所にあると言われています。

ニッケルを含んだ材料は日常生活で大きな役割を果たしていて、調理器具、携帯電話、医療機器、輸送、建築物、発電など、多くの物質でニッケルが原料に使用されています。このようにニッケル含有材料が選ばれるのは、他の材料に比べて耐食性が高く、耐久性に優れ、高温や低温での強度が高く、特殊な磁気電気特性を幅広く備えているためです。

ニッケルの主な用途は、合金として電子機器や建造物などに使用されていますが、それ以外でも私たちの生活を支えています。

ニッケルの歴史

ニッケルの効果や役割を話す前にニッケルの歴史をまとめてみました。

ニッケル単体としての発見は約200年ほど前になりますが、ニッケル合金は2,000年以上も前に中国で使用されていました。

17世紀末頃に、ドイツでは紅砒ニッケル鉱をガラスの緑色着色材として使用していましたが、当時これは銅の鉱石と考えられていました。しかし、紅砒ニッケル鉱から銅を回収することができなかったため、「Kupfernickel」(悪魔の銅)と呼ばれていました。

1751年にスウェーデンのアクセル・フレドリック・クローンステッドが、ヘルシングランドのコバルト鉱山から採集した新鉱石を研究している最中に、その表面を覆っていた緑色の結晶から白色の硬くてもろい金属を単離しました。この新金属が紅砒ニッケル鉱の主要成分であることも解明し、「Kupfernickel」という呼び名から「ニッケル」と命名しました。

日本でのニッケル製造の歴史としては、第二次世界大戦中に京都府で開発された大江山ニッケル鉱山が有名です。また、山口県の金峰鉱山などで昭和15年から20年にかけてニッケル鉱の採掘も行なわれていました。この他、千葉県の房総半島などでもニッケル鉱の採掘が行なわれていましたが、戦時体制による商業コストを度外視したものであったため、終戦とともに閉山となりました。 現在、日本国内にはニッケル鉱山はなく資源はすべて輸入に頼っています。

ニッケル最大の用途

まずは一番の用途である合金についてまとめてみました。

生産されるニッケルの約65%はステンレス鋼の製造に用いられ、20%はその他のスチールや非鉄合金に用いられています。

これらの合金は鍋やフライパン、キッチンシンクなどのほか、建築物、食品加工器具、医療機器、化学工場などで用いられています。

また、年々ニッケルの需要は増えており、使用量は毎年約4%ずつ増加し、ニッケル含有ステンレス鋼の使用量は約6%の割合で増え続けていると言われています。日本国内での需要も増えていますが、最も急速な増加を見せているのは飛躍的な工業化を進めるアジアなどの新興国だと言われています。産業インフラを近代化し、国民の物質的願望を満たすには、ニッケル含有材料が欠かせないからです。

ニッケルが好まれている理由はお送りますが、1番の理由は耐用年数が長いことだと言われています。ニッケル含有製品の多くは、平均耐用年数はおそらく25~35年ほどと考えられていますが、それよりはるかに耐用年数の長い用途も数多くあります。
ニッケルは世界中で最も多くリサイクルされている材料の1つでもあり、ニッケル含有製品は総コストを抑え、エネルギーをはじめとする資源を効率的に利用する最適な手段のひとつとも考えられています。

ニッケルは硬貨の原料

冒頭でもお話しした通り、ニッケルは500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨の原料です。
正確に言いますと、500円硬貨はニッケル黄銅(銅、亜鉛、ニッケルの合金)、100円硬貨と50円効果は白銅(銅、ニッケルの合金)です。

この中で100円硬貨と50円効果は同じ白銅から作られていますが、50円硬貨と100円硬貨は重さや大きさが異なり、さらに判別しやすいよう50円硬貨玉には穴が開けられています。

また、100円硬貨は銀を主成分とした銀合金から作られたものが流通していましたが、銀が不足し価格が高騰したことから、色合いが似ており銀の代用品として使われる白銅へ変更されたという歴史もあります。

ニッケルの生体内での役割

天然に存在するニッケルですが、微量ではありますが、体内にも存在し、いくつかの反応の補助的な役割をになっています。

ウロテアーゼ

尿素を加水分解により二酸化炭素とアンモニアに分解する酵素。ウレアーゼは活性中心にニッケルを含む酵素であることが判明しています。

ヒドロゲナーゼ

分子型水素の酸化還元反応をになう酵素。このヒドロゲナーゼの活性中心にニッケルを含んでいることが判明しています。

ニッケルは生活に不可欠な元素

ニッケルについてまとめてみましたがいかがでしたか。

生体内や健康での役割はあまり多くのことが判明していませんが、合金などの金属機器の部品として私たちの生活を支えています。

リサイクル可能で耐年数が長いニッケルはこれからのSDGsの世の中ではさらに活躍すると言われています。

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