【飲む美容食】味噌汁で手軽に免疫力アップ!

「誰でも簡単にできる健康管理法があれば・・・」忙しい日々を過ごす現代人にとって、このような悩みが尽きることはありません。

とくにコロナ禍の現在では、免疫力を上げることも再び注目されています。

今回はSNSでも大人気となりつつある『医者が考案した長生きみそ汁』(著者:順天堂大学医学部教授 小林 弘幸氏)を参考に、みそ汁の優れたパワーや自律神経と腸内関係の密接な関係性についてご紹介します。

誰でも簡単に実践ができ、免疫力アップにもつながるので気になる方は是非参考にしてみてください。

腸内環境と自律神経を整えることが健康への近道

近年増えている生活習慣病や、コロナウイルスなどの感染対策には腸内環境と自律神経を整えることが最も効果的。

本題に入る前になぜ腸内環境と自律神経を整えることが重要なのか順番に説明していきたいと思います。

腸脳相関のメカニズム

メンタルや臓器の働きをコントロールしてくれる自律神経と便通を左右する腸内環境。
一見、この2つは全く関係ないように思えますが実は密接に影響しあっているのはご存知でしょうか?

この関係を「腸脳相関」と呼び、一方がバランスを崩すともう片方のバランスも崩れやすくなります。

自律神経とは知覚や運動神経とは違い、独立して働く神経のこと。
活動を活発にする「交感神経」とリラックスを促す「副交感神経」の2種類があり、1対1がベストな状態といわれています。

一方、腸内環境は「善玉菌」「日和見菌」「悪玉菌」の3種類から成り立っており善玉菌が多いほど、お腹の不調が改善されます。

この腸脳相関が互いに作用を高め合うことで、生活習慣病やウイルスや細菌による感染症から私たちを守ってくれているのです。

腸が第2の腸と呼ばれる理由

実は、胃や腸には数億個にも及ぶ神経細胞が密接しており、独自の神経ネットワークがあるため脳からの指令がなくても腸管の機能が調節できます。

そのため腸は「第2の脳」とも呼ばれ、腸が病原菌に感染したり腸内環境が悪くなると、脳にも不快感を覚えやすくなります。

また緊張やストレスにより、お腹が痛くことがあるのもこの「腸脳相関」によるもの。
これらの神経細胞は、自律神経の一部にあたるためどちらかが不調をきたすと、連動しあいます。

腸内に存在する免疫細胞は体全体の7割

さらに腸内には神経細胞だけでなく、人間の体全体の7割にも及ぶ免疫細胞が存在しています。
そのため腸脳相関により、腸内環境が悪化してしまうと免疫システムが正常に働きません。

免疫システムが誤作動を起こすと、通常であれば体に無害なものも有害と判断してしまうことがあるため免疫力が低下するだけでなくアレルギー症状も起こりやすくなります。

すべてが連動しているため体調管理は難しいと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
反対の発想で腸脳相関の仕組みを賢く利用すれば、誰でも簡単に体調管理が可能なのです。

自律神経と腸内環境を整えるのに最適な味噌

腸内環境を整えるために欠かせないのが、腸内細菌のバランスを整えること。
腸内細菌のバランスを整えるには、善玉菌を増やす乳酸菌や善玉菌のエサとなる食物繊維などの摂取が有効とされています。

日本食の代表である味噌は発酵食品であるため乳酸菌が多く、ストレス抑制効果のあるGABAやセロトニンが含まれるため、腸内環境や自律神経を整えるのにピッタリ。

昔から「みその医者殺し」という言葉があるように、味噌の原料である大豆には植物性たんぱく質やビタミン、食物繊維などが多く含まれています。

さらに発酵させることでアミノ酸をつくりだし、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などの数多くの健康成分を含むようになります。

毎日のみそ汁習慣が身につけることで腸内環境が整い、腸脳相関で自律神経にも嬉しい効果が期待できますよ。

がん予防にも美肌にも効果的?味噌の優れた健康効果

味噌にはさまざまな栄養素が含まれることから、メタボ予防や骨を強くするなどの健康効果だけでなく美容にも嬉しい効果があることが認められています。

前項でご紹介した栄養素以外にも、味噌を発酵する際には「脂肪酸エチル」が生成されるのはご存知でしょうか?

この脂肪酸エチルは酵母や乳酸菌、麹菌同様にがんを抑える効果があることが報告されています。
実際に1981年の日本癌学会では、味噌汁を頻繁に飲む人ほど胃がんになる可能性が低いことが発表されました。

この他にも大豆に含まれるリノール酸にはコレステロールを下げる作用や、シミのもととなるメラニンの産出を抑える効果があり、最近の研究では1日2杯味噌汁を飲むと頬のシミを減らすことがわかっています。

また味噌には各層の水分保持に関わるセラミドの産出を促す作用があります。
美白や美肌効果を目指す方にとっても味噌汁は欠かせない食品といえるでしょう。

味噌汁を毎日飲むだけで誰でも簡単に健康長寿

優れたパワーを持つ味噌ですが、味噌のみで継続して食べるのは容易ではありません。
そこでおすすめなのが具材をアレンジできて手軽に飲める味噌汁です。

毎日一杯飲むことで、味噌の栄養価にプラスして具材の栄養素も摂取できます。
そこで心配なのが塩分。高血圧の方はとくに気になるのではないでしょうか。

実は味噌の塩分は血圧上昇と関係がありません。

その証拠として国内で発表されている数々の研究データによると、味噌に含まれる塩分は食卓塩と違って血圧が上昇しないことが報告されています。

ベジファーストで食後の血糖値上昇を緩やかに

定食やランチで味噌汁が出てきた場合、どのタイミングで飲みますか?
ダイエットや美容に興味がある方や生活習慣病を予防したい方は、ぜひ最初のひとくちに味噌汁をすすってみましょう。

味噌を使った料理の中でも、味噌汁が1番おすすめの理由は具材の栄養分がそのまま摂取できる点にあります。

食事を食べる順番として野菜などの食物繊維をはじめとして、肉や魚などのたんぱく質、その次に脂質、最後に炭水化物などの糖質を摂取すると食後の血糖値が上がりにくいといわれています。

このような食べ方を「ベジタルファースト」と呼び、近年生活習慣病予防やダイエットの基本として注目されています。
野菜やキノコ、海藻類が入っている味噌汁を最初に飲むことで、具材の食物繊維がそのまま摂れ、胃腸が温まることで消化酵素の分泌が良くなります。

また鰹節や昆布をたっぷり使って出汁をとった味噌汁だと、うま味成分である「グルタミン酸」や「イノシン酸」が食事の満足感を高めてくれます。

味噌汁で手軽にできるベジファーストで、血糖値の上昇をコントロールしましょう。
ファスティングの回復食にもおすすめですよ。

黄金比率で味噌を配合するとより健康的に

より味噌汁で健康効果を実感したいなら、白みそ80gと赤みそ80g、すりおろした玉ねぎ1個とりんご酢大さじ1を黄金比率で配合した「長生き味噌汁」がおすすめ。

製氷機に入れて凍らせておくと、食べる分だけ使えて保存もきくので非常に便利です。(2週間を目安に使い切りましょう)

赤みそには抗酸化作用がある「メラノイジン」という成分がたっぷり含まれ、白みそにはストレスを軽減してくれるGABAも多く含まれます。

さらに白みそはスプーン1杯でヨーグルト100gに匹敵する乳酸菌が含まれ血液をサラサラにしてくれる玉ねぎにも善玉菌のエサとなるオリゴ糖が多く含まれているため、効率よく善玉菌を増やしてくれるのです。


りんご酢は善玉菌が好むグルコン酸を多く含まれ、カリウムも豊富に含まれるため余分な塩分を排出してくれます。
実際に食品メーカーのミツカンによる臨床試験ではリンゴ酢を1日15~30ml、3ヶ月摂取すると血液中の中性脂肪が低下したことがわかっています。

リンゴ酢に含まれるリンゴポリフェノールは活性酵素を除去してくれるのでアンチエイジングにも効果的ですよ。


このように長生き味噌汁は、それぞれの栄養成分の相乗効果でさらに健康効果を発揮してくれます。
自分で用意するのが面倒な方は、これらの材料がすでにミックスされ液体状で便利な「健康みそ汁」がマルコメから販売されているので是非チェックしてみましょう。

さらに乳酸菌の効果を実感したいなら加熱は50℃

善玉菌を増やし腸内環境を整えるのに欠かせない乳酸菌ですが、より乳酸菌のパワーを活かしたいのであれば、味噌汁の加熱は50℃前後がおすすめ。

というのも味噌の乳酸菌は50℃、酵母は70℃前後で死滅してしまうから。
できれば味噌汁を作る際も、いったん火をとめて10分程放置してから味噌を溶いた方が良いでしょう。

ただし熱々の味噌汁でも、大豆の栄養成分や発酵による健康効果がなくなるわけではありません。

腸内環境を本格的に整えたい方や、生きた乳酸菌・酵母の力を感じたいという方だけ実践してみましょう。

コロナ対策にも効果的

近年ではコロナ禍でアルコール消毒の徹底やマスク着用など、感染予防対策が強化されています。
しかし新型コロナウイルス感染症には細胞に感染すると人間の免疫細胞を暴走させ、自ら体内の炎症を拡大させる作用があるため、感染予防対策だけでは不十分といえるでしょう。

実は免疫細胞は、炎症が始まると自らさらに炎症を起こし免疫細胞を呼び寄せるといった特性があるのです。
新型コロナウイルスに感染した肺細胞はこの炎症を過剰な状態まで引き起こし、ついには心肺が機能停止するほどの肺炎となってしまうのです。

その作用を阻止するには「レギュラトリーT細胞」を活性化させる必要があり、このレギュラトリーT細胞は腸内に多く生息している免疫細胞にあたります。
規則正しい生活と毎日のみそ汁習慣で腸内環境が整ってくるとレギュラトリーT細胞が活性化され、バリア機能が高まります。

毎日の感染対策も大切ですが、まず腸内環境を改善し免疫力を高めることが新型コロナウイルス感染予防にもっとも重要なのです。

さまざまな具材と組み合わせてみよう!

目的や用途に合わせて効率良く栄養素を摂取したいなら、さまざまな具材を組み合わせてみましょう。
便秘が気になるなら食物繊維が豊富なゴボウやレンコン、ダイエット中の方には植物性タンパク質が豊富な豆腐や低カロリーで腹持ちが良いキノコもおすすめ。

アンチエイジングや美肌効果を求める方にはβカロテンが豊富なカボチャやリコピンが含まれるトマト、カブなども美味しく頂けます。

胃の粘膜を保護したい方はナメコや長イモなどのトロトロ食材を組み合わせてみると良いでしょう。

みそ汁は具材の溶けだした水溶性ビタミンも丸ごと摂取できるので、食欲がない日でも効よく栄養が摂れます。

また長生きみそ汁の味は玉ねぎやリンゴ酢が入っていてもクセがないので、みそ汁以外の炒め料理やドレッシング代わりにも使えますよ。

まとめ

普段は目立たないみそ汁ですが、さまざまな具材と組み合わせることでスーパーフードに変身します。
二日酔いや疲れた時に、無意識にみそ汁が飲みたくなるのも納得ですね。
お金がかかる健康法はいくらでも存在しますが、長生きみそ汁は誰でも簡単に実践できます。
自分に合ったオリジナルレシピを考案して、健康的な毎日を過ごしましょう。

参考文献
小林 弘幸.『医者が考案した長生きみそ汁』:株式会社アスコム,2018年,122p.9784776209959

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