添加された栄養素は危険?!「1日分の栄養素」のフレーズの信憑性

栄養補助食品や健康食品に、「本製品1食で1日分の○○が摂取できます」といったキャッチコピーを見かけることがあります。○○は「野菜」だったり「ビタミンC」だったり目的に合わせた用語が使われます。
どのように目的の摂取量を含む製品を製造しているのか、不思議に感じたことはありませんか?天然の食材は、季節や生育環境によって含まれる栄養素は増減します。野菜だと土壌や肥料の与え方なども大きな影響があります。
「1日分の○○が摂取できる」食品では、化学反応や栄養素の性質を利用して製造された合成栄養素を添加しています。合成栄養素は、粉末状や液状で保存もしやすく、製品に必要な栄養素を正確に添加することができます。
ここでは、合成栄養素と天然栄養素のメリット、デメリットや合成栄養素を使用した製品の活用について紹介していきます。

推奨量の栄養素を摂取するのは難しい

栄養バランス満点の食事の用意は大変

健康維持には、栄養バランスのよい食生活が大切です。外食や市販のお弁当が多い場合、満腹感や美味しそうな見た目、価格などが選択基準として優先されがちです。特に野菜不足になってしまうことが多くなります。

野菜には、食物繊維、ビタミン類、ミネラル、ファイトケミカルなどが多く含まれています。人体の材料となるアミノ酸(タンパク質)や活動に必要なエネルギーのもとになる脂質や糖質は、肉類や炭水化物(お米やパン)から摂取できるので、野菜不足はついつい見逃しがちです。しかし、効率よくタンパク質やエネルギーを生成するには、野菜に含まれる栄養素が不可欠です。

単純に人体を維持するだけでなく、全体の調子を整え、身体の機能を正常に保つには野菜に含まれる栄養素が不可欠です。外食時にもサラダを追加する、自宅では野菜料理を献立に取り入れるなど、意識して野菜の摂取を心がけましょう。1日の野菜摂取量の目安は、成人の場合350g以上が目標とされています。

350gの野菜はかなりの分量になります。しかし、野菜は火を通すことでかなり体積を減らすことができます。調理法を工夫すれば、350gの野菜の摂取も飽きずに続けることができるでしょう。ただ、調理法によっては野菜に含まれる、肝心の栄養素が失われてしまうこともあります。

栄養バランスのために野菜を多めに摂ろうとしても、どの野菜を選ぶのか、どのように調理するのかというところまで考慮しないと、完璧な栄養バランスを保つことはできません。管理栄養士などプロの仕事でもないかぎり、完璧な栄養バランスの食事を続けるのはかなり難しいことなのです。

サプリメントや健康食品を上手に活用

どの野菜にどどのような栄養素が多く含まれているのか、おおまかにでも把握しておきましょう。それだけでも、今日はどの栄養素が不足気味だな、この栄養素は摂取しにくいな、といった自身の食事傾向がわかってきます。

不足気味の栄養素がわかれば、それを含む食材を使った献立を検討することもできます。食材の入手や調理に手間がかかりそうなら、その栄養素を補えるサプリメントや健康食品を活用しましょう

野菜に含まれる栄養素を簡単に紹介します。

食物繊維

水溶性と不溶性の2種類(水に溶ける溶けない)があります。水溶性食物繊維は、腸内環境を整え、血糖値の上昇を抑えたりコレステロールの吸収を抑えてくれます。多くふうむ野菜は、キャベツ、大根などです。
不溶性食物繊維は、便秘予防や満腹感をもたらしてくれる効果があります。結果的に食べすぎを抑えてくれるのでダイエット時にも役立ちます。切り干し大根や明日葉、かんぴょうなどに含まれます。

ビタミン類

野菜といえばビタミンが豊富という印象があります。ビタミンにも多くの種類があるので、個別に把握しておきましょう。

ビタミンAは目や皮膚、粘膜の健康に欠かせない栄養素です。ほうれん草、ニラ、人参、かぼちゃなど色の濃い野菜に多く含まれています。

ビタミンCは、肌、血管、骨などの健康に保つコラーゲン生成に欠かせない栄養素です。鶏肉などコラーゲンを含む食材を食べるときは、ビタミンCも一緒に摂取することで体内でのコラーゲン生成が活発になります。含まれる野菜はピーマン、ブロッコリー、カリフラワーなどがあります。

ビタミンKは血液の凝固のバランスをとる役割を持っています。出血が止まりにくくなる、あるいは血管内で固まり血栓になってしまう、という病気の予防になります。カルシウムの吸収を助けてくれる働きもあるので、骨そしょう症の予防にもなります。サラダ菜、白菜、パセリ、ほうれん草、小松菜などに含まれます。

ビタミンB群のひとつ、葉酸も野菜から摂取する栄養素です。DNAの合成を助け、正常な赤血球作りに関わります。正常な細胞分裂にも必要なので、妊娠している方は特に意識して摂取するようにしましょう。アスパラガス、モロヘイヤ、小松菜、ほうれん草、レタスなどに含まれます。

ビタミンEは脂溶性の酸化防止剤の役割と病気の予防・治療を助けてくれる役割を持っています。ひまわり油、ベニバナ油などの植物油やナッツ類に含まれます。

ミネラル類

多くのミネラルから代表的な3つを紹介します。
カリウムは、体内の余分な塩分の排出を促します。その結果、細胞の状態や血圧を正常に保つように働きます。ほうれん草、アスパラガス、かぼちゃ、キャベツなどに含まれます。
カルシウムは意識して摂取している方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。骨や歯の材料になるほか、筋肉や神経の働きにも作用します。切り干し大根、モロヘイヤ、チンゲン菜などに含まれます。
鉄は赤血球のヘモグロビンに結びつき、体内の酸素を供給を行います。鉄分が不足すると貧血が起こりやすくなります。ほうれん草、切り干し大根、小松菜などに含まれます。

ファイトケミカル

植物の色や香り、アクなどを構成する成分をファイトケミカルといいます。非常に多くの種類があり、身体を活性酸素から守ってくれます。ポリフェノール、カロテノイドという名称は耳にされたことがあるのでないでしょうか。これらは代表的なファイトケミカルです。緑茶のカテキン、ブルーベリーなどのアントシアニンがよく知られるポリフェノールです。カロテノイドはβカロテンというかたちで、かぼちゃや人参に多く含まれています。トマトに含まれるリコピンもカロテノイドの仲間です。

購入時は製品名やパッケージの但し書きを確認

必要な栄養素をきちんと摂取するためには、これらの野菜を上手く献立に取り入れ調理する必要があります。しかし、これだけの情報を一気に把握してメニューを用意するのはかなり大変なことです。そこで市販の健康食品やサプリメントが活躍します。

栄養素が足りないのはもちろん問題ですが、摂りすぎても悪影響を及ぼすケースがあります。健康食品などのパッケージには、健康食品1食分で1日の必要量のどの程度の栄養素を摂ることができるか記載があります。1食で1日分に該当するものも、3分の1に該当する場合もあるので、過不足なく多くの種類の栄養素が摂れるようにチェックするようにしましょう。

具体的に製品名が「1日分の鉄分」のようにわかりやすいものもあります。一方で1日分の野菜ジュースのような製品もあります。栄養素の量の計算が不要で便利そうですが、実は落とし穴があります。成人の場合1日350gの野菜の摂取が推奨されています。1日分の野菜ジュースは原材料として350gの野菜を使ったジュースという意味です。製造過程で栄養素が目減りすることもありますし、特定の野菜に偏っている可能性もあります。飲みやすいように糖分が添加されていることもあるので、カロリー過多になる可能性もあります。便利な製品ですが、どのような材料を使っているのか注意しつつ利用しましょう。

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サプリメントや健康食品に使われる添加物

添加物を使用する目的

栄養補給を目的とするサプリメントや健康食品にはかならず、天然原料だけでなく添加物が使用されています。もちろん、身体に害のあるものではありません。添加物の利用には2つの目的があります。

健康食品ではありませんがペットボトルのお茶類には、ほとんどビタミンCが添加されています。ふだん自宅でお茶を淹れるときにビタミンC(レモン汁など)をいれることはありませんよね。レモンティーくらいだと思います。にもかかわらず、ペットボトルの緑茶でもウーロン茶でもビタミンCが添加されています。
この目的はきれいな色を保つためです。ペットボトルを開栓して外気に触れると酸素の影響で、お茶の色がだんだん黒ずんできます。これを防ぐのがビタミンCの役割です。ビタミンCの抗酸化作用できれいな色のお茶を長く楽しむことができます

健康食品やサプリメントに添加物が使われるもうひとつのケースは、栄養強化剤としての添加です。つまり鉄分や亜鉛、ビタミン類などの栄養成分が、元の原料だけでは不足する場合、目標とする栄養量に近づける目的で栄養素を添加します。

必要量を確実に補強できる栄養強化剤

1例として成人男性のビタミンAの摂取量を取り上げます。1日の摂取目標量は850〜900μgです。ビタミンAはほうれん草やかぼちゃなどに含まれますが、使用する野菜の種類や出来栄え、収穫時期などによって栄養素の含有量は異なります。しかも、他の栄養素は不要でビタミンAだけが欲しい、となると野菜での摂取は困難です。

このような場合に化学合成や人工的に野菜から抽出した合成ビタミンAが利用されます。成栄養素は粉末や液体の状態で保管されており、計量して添加することで目的値どおりの健康食品やサプリメントを製造することができます
このように栄養の補填目的で添加される栄養素を栄養強化剤と呼びます。これがサプリメント、健康食品で使われるもうひとつの添加物です。

原材料として表示されない栄養強化剤

栄養強化剤として、添加する場合は原材料表記に記載しなくても良いと定められています。そのため、原材料表記をチェックしてもどのような栄養強化剤が使用されているかはわかりません。しかし、多数の栄養素をバランスよく摂取できる健康食品は、様々な栄養強化剤を添加していると考えてよいでしょう。
商品パッケージにどの栄養素がどのくらい摂取できるか、明記されている製品もたくさんあります。それらの量の調整には、ほぼ間違いなく栄養強化剤を使用しています。

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栄養強化剤を使用することによるメリット・デメリット

栄養強化剤使用のメリット

栄養強化剤の大きなメリットは、必要な栄養素を必要なだけ含む食品を作ることができることです。普段の食生活で不足気味の栄養素をピンポイントで補給することも、全体的な栄養バランス調整など目的に合わせた製品を作ることができます。
粉末や液状の栄養強化剤は保管もしやすく、製造工程もシンプルにできます。
消費者も必要な栄養素が適量配合された製品を選ぶことができるので、健康管理に活用しやすくなります。

栄養強化剤使用のデメリット

栄養強化剤の製法には様々な方法があります。天然の栄養素と同じ働きができるものを安価につくるには、多くの工夫が必要でメーカーごとに製法が異なることもあります。しかし、どこのメーカーの栄養強化剤を使用しているかも公開されていません。食物の出所や添加物が気になる方にとっては、不安が残ることもあるでしょう。
また、人工栄養素が天然栄養素と同じように作用しない場合もあります海外での臨床試験ですが、人工ビタミンEと天然ビタミンEで身体への作用が異なるというケースが報告されています。
ビタミンEという名称からは単一の物質のように思えますが、食物中の8種類の同族体の総称です。よく使用さえるトコフェロール類には、以下の5つの種類があり化学合成のものと天然抽出のタイプがあります。

dl-α-トコフェロール(化学合成)
d-α-トコフェロール(天然抽出)
d-γ-トコフェロール(天然抽出)
d-δ-トコフェロール(天然抽出)
ミックストコフェロール(天然抽出後でα(アルファ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)に分割される前の状態)

ビタミンEは脂溶性の酸化防止剤としても使われます。代替ビタミンEとしてはα-体が適しており、酸化防止剤としてはδ-体が適しているという性格の違いがあります。

ビタミンEは摂取量が不足していても、欠乏症などの影響が現れにくい栄養素ですが、病気の予防・治療の役割があると言われています。海外の臨床試験で心臓疾患の発症が抑えられたという報告もあります。しかし、その後の信頼性の高いデータではビタミンEサプリメントではそのような効果が認められないという報告もあります。

またビタミンE単体のサプリメントは、1日の必要値以上に合成ビタミンEを配合されている場合が多くあります。これは天然に比べて合成ビタミンEの働きが劣っているためです。しかしビタミンEの過剰摂取は、血液の凝固力を下げたり、他の薬の効き目を妨げるリスクがあります。ビタミンE単体のサプリメントを利用する際には、かかりつけ医や薬剤師へ相談しながら選ぶことをおすすめします。

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栄養強化剤で作られた完全食

ほぼ栄養強化剤のみで食事を代替する完全食

自然の野菜や肉、魚に含まれる栄養素はほとんど栄養強化剤で置き換えることが可能になっています。かつては比較的栄養バランスに優れた卵や玄米を完全食と呼んだこともありましたが、今では栄養強化剤を主原料としたそれだけで必要な栄養がまかなえる完全食も販売されています
メーカーや製品によって異なる場合もありますが、市販の完全食1食分を朝昼晩のいずれかと置き換えるように利用します。バンタイプやパスタタイプのように形や味にもバリエーションを持たせて継続利用できるように工夫されています。

完全食のメリット

完全食は、1食で1日に必要な各栄養素の3分の1が摂取できるように設計されています調理もゆがくだけや水に溶かすだけと手間がかからないため、ゆっくり食事の時間が取れない方でもきちんと栄養バランスのよい食事を摂ることができます。価格も1食あたり100円前後のものもあり、気軽に利用することができます。

完全食のデメリット

形状やフレーバーの工夫はありますが、完全食だけでは飽きてしまいます。またドリンクタイプは咀嚼の必要がないので、そればかりだと噛む力が衰えてしまう可能性もあります。また咀嚼運動は満腹感を高める効果もありますが、咀嚼が少なくてすむ完全食では満腹感や食事の満足感を得るのは難しそうです。

また本当に完全食に配合されている栄養素だけで、健康維持に十分かという点にも疑問が残ります。主要な栄養素はほとんど解明されていますが、天然の肉や野菜の栄養素が全て解明されているわけではありません。
配合されている栄養素の量は、平均的な成人の数値を参考にしています。しかし、人によってライフスタイルは様々です。生活習慣によっては完全食の栄養素量では、過不足が生じる可能性もあります。

身体に必要な栄養素をほとんど網羅している完全食ですが、天然の素材を調理した食事に完全に置き換えるのはあまりおすすめできません。仕事の繁忙時期の置き換えや、日々の食事の1食を置き換えるなど、通常食の代打として利用するのがよさそうです。

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天然食材を中心に、サプリメントや健康食品を活用

天然食材を使った料理のメリット

外食でも家庭料理でも、天然食材を使用した料理は日常生活の大きな楽しみになります。外食で新しいメニューを発見したり、家庭でオリジナルレシピを考案したりすることも楽しいことです。
また食事は。往々にして誰かとのコミュニケーションの架け橋にもなります。生命活動を維持する以上の大きな付加価値を、従来の食事スタイルは持っています。

サプリメントや健康食品は栄養素の調整役

化学合成や天然物からの抽出で作られた、人工栄養素は食事の主役でなく健康のサポーターとして利用することをおすすめします。
人には往々にして、好みのメニューや苦手な食材があるものです。そのような好き嫌いでによる栄養バランスの偏りの調整役として、サプリメントや健康食品を検討してみましょう。また仕事などが忙しく、栄養バランスまで検討する余裕がないときの栄養補助の目的で使用するのもよいでしょう。

野菜好きの方でも、1日に350gの目標量を続けるのは大変です。火を通せば量は減りますが、多くの栄養素や酵素が減ってしまいます。栄養強化剤が配合された青汁は、野菜不足の解消に貢献してくれることでしょう。またマルチビタミンのようなサプリメントも有効な手段です。

過剰摂取のリスクに注意

サプリメントや青汁などの健康食品には、1食(あるいは1回の服用)で1日の必要量に対してどの程度の栄養素量が摂取できるか記載されています。複数のサプリメントや健康食品を併用する場合は、かぶっている成分がないかよく確認してください栄養素のなかには過剰摂取が身体に害を及ぼすことがあるからです。
ミネラル類の過剰摂取は、高血圧などの生活習慣病の原因になることがあります。また抗酸化作用の強い栄養素は、がんの化学療法や放射線治療の有効性を変化させてしまうこともあります。

1日の必要栄養素量はネットで検索すればすぐにいくつものサイトが見つかります。ただ様々な栄養素について全てチェックするのは、面倒な作業でもあります。サプリメントや健康食品に過剰に依存せず、不足気味の栄養素の調整役として利用するようにしましょう。また何かの病気で通院中の方は、サプリメントや健康食品の利用前に医師に相談してください。
様々なライフスタイルの中には、何らかの栄養素が不足しがちになっている可能性もあります。ほとんどの栄養素は栄養強化剤として簡単に添加することができます。1度ご自身の食事内容を見直し、献立の改善や健康食品、サプリメントの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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*1 東京都福祉保健局 健康ステーション
*2 主な栄養素の1日の摂取基準(大塚製菓HPより)
*3 添加表示が免除される添加物(栄養強化剤)
*4 食品添加物基礎講座(アサマ化成HP)
*5 栄養強化剤の目的と役割(マーソ株式会社・COLOR+DA HP)
*6 BASEFOOD HPより
*7 COMP 商品ページ
*8  WIRED -本当に「食事の代替」になる? 完全栄養代替飲料を、1カ月ひたすら飲み続けた結果-
*9 厚生労働省 eJIM

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