【健康食品見極め方】栄養機能表示食品だから効果がある!は間違い?!

『食後の血糖値の上昇・中性脂肪の吸収を穏やかにする』
このようなキャッチコピーをしているドリンクを見たことありませんか。

こちら、特定保健用食品、通称、トクホと呼ばれるとある商品のキャッチコピーです。
血糖値や中性脂肪で悩まれている方からすると、素敵な文言が並んでいて、とても魅力的な商品だと思います。

健康食品と薬機法についてまとめた記事を読まれた方は、「あれ?」と思うかもしれません。効果効能書いているけど、大丈夫なの?と。

また、トクホに詳しい方は、トクホって本当に効果あるの?と思っている方もいるかもしれません。

今回は、そんなトクホ(特定保健用食品)、機能性表示食品、栄養機能食品についてまとめてみました。

健康食品と薬機法

まずはおさらいを兼ねて、健康食品と薬機法の関係をまとめてみました。

薬機法

薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」といいます。

「薬機法」は正式名称のとおり、医薬品、医療機器等の品質と有効性および安全性を確保するなど、製造・表示・販売・流通・広告などについて細かく定めた法律です。

ここで、重要なのことは薬機法は医薬品、医療機器等について定めている法律であり、健康食品の定義を行っている法律ではないということです。
正確には、医薬品、医療機器等の定義を定めているので、そのルールに表現次第では、健康食品であっても抵触してしまうということです。

健康食品

実は健康食品を細かく定義している法律はなく、簡単に言ってしまうと「健康に良いと言われている食品」が健康食品と呼ばれています。

ただし、あくまでも食品なので、医薬品と誤解されるような表現はしてはいけないというルールがあるため、効く治るといった効果効能を表現してはいけません。

しかし、冒頭のように一部の健康食品、サプリメントでは効果効能をうたっているものもあります。

それらの違いはなんでしょうか。
それは特定の条件をクリアし、個別ルールに則り、表現の幅が広がったかどうかの違いです。

今の日本では大きく分けて、3つの食品があります。
1、特定保健用食品(トクホ)
2、機能性表示食品
3、栄養機能食品

これらについて細かくまとめてみました。

特定保健用食品(トクホ)

特定保健用食品とは、生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含み、消費者庁長官の許可を得て特定の保健の用途に適する旨を表示できる食品のことです。

特定保健用食品に含まれる保健機能を有する成分を「関与成分」といい、通常、特定保健用食品は有効性・安全性を消費者庁が個別に審査します。有効性の証明として、査読付きの研究雑誌に掲載されることが条件となっています。

また、定められた試験機関によって関与成分の含有量の分析試験も行う必要があります。このような審査を経て認可された食品は特定保健用食品として特定保健用食品のマークと、特定の保健機能について表示することができます。

現在までに「血糖・血圧・血中のコレステロールなどを正常に保つことを助ける」「おなかの調子を整える」「骨の健康に役立つ」などの保健機能の表示が許可されていて、多くの食品のキャッチコピーに用いられています。

また、保健機能の表示は同じでも、関与成分の種類によっては作用機序が異なることもありますので、商品を選ぶ際に注意して確認してみてもいいかもしれません。

機能性表示食品

2015年に機能性を分かりやすく表示した食品の選択肢を増やすことを目的として、新たに加わりました。

特定保健用食品と同様に保健機能を表示することができる食品ですが、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではなく、個別の審査も行われていません。

その保健機能の科学的根拠や安全性などの情報を事業者の責任で消費者庁へ「届け出」を行うことで機能性表示食品を名乗ることができます。

具体的には以下の資料が必要です。
1、最終製品を用いた臨床試験
2、最終製品又は機能性関与成分に関する文献調査

機能性の評価をどちらで行ったかによって、保健機能の表示が次のように異なります。
1の場合:「〇〇の機能があります」
2の場合:「〇〇の機能があると報告されています」

栄養機能食品

人の生命・健康の維持に必要な特定の栄養素の補給のために利用されることを目的とした食品で、科学的根拠が充分にある栄養機能について表示することができます。

栄養素の名称と機能だけでなく、「日本人の食事摂取基準」に基づいた一日の摂取目安量(上限・下限量)や摂取上の注意事項も表示する義務があります。

そして、国が決めた基準に沿っていれば、特定保健食品や機能性表示食品のように許可や届け等なくして、食品に含まれている栄養成分の栄養機能を表示することができます。

現在認められている栄養素一覧です。
また、それぞれ「摂取をする上での注意事項」などの表示も義務つけられており、過剰摂取とならないよう注意も必要です。

ビタミン

栄養成分栄養成分の機能
ビタミンAビタミンAは、夜間の視力の維持を助ける栄養素です。ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。
ビタミンB1ビタミンB1 は、炭水化物からのエネルギー産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。
ビタミンB2ビタミンB2 は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。
ビタミンB6ビタミンB6 は、たんぱく質からのエネルギーの産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。
ビタミンB12ビタミンB12 は、赤血球の形成を助ける栄養素です。
ビタミンCビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。
ビタミンDビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。
ビタミンEビタミンEは、抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素です。
ビタミンKビタミンKは、正常な血液凝固能を維持する栄養素です。
葉酸葉酸は、赤血球の形成を助ける栄養素です。葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素です。
ナイアシンナイアシンは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。
パントテン酸パントテン酸は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。
ビオチンビオチンは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。

ミネラル・n-3系脂肪酸

亜鉛亜鉛は、味覚を正常に保つのに必要な栄養素です。亜鉛は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。亜鉛は、たんぱく質・核酸の代謝に関与して、健康の維持に役立つ栄養素です。
カリウムカリウムは、正常な血圧を保つのに必要な栄養素です。
カルシウムカルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。
鉄は、赤血球を作るのに必要な栄養素です。
銅は、赤血球の形成を助ける栄養素です。銅は、多くの体内酵素の正常な働きと骨の形成を助ける栄養素です。
マグネシウムマグネシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。マグネシウムは、多くの体内酵素の正常な働きとエネルギー産生を助けるとともに、血液循環を正常に保つのに必要な栄養素です。
n-3系脂肪酸n-3系脂肪酸は、皮膚の健康維持を助ける栄養素です。

表示がある商品とない商品の違いは

特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品、栄養機能食品が何かがわかったところで、冒頭のトクホには効果があるのか。という点についてです。

トクホは確かに臨床研究を行い、その効果が認められたものなので、効果はあると言われています。

しかし、ここで注意が必要なのは医薬品ではないということです。

『食後の血糖値の上昇・中性脂肪の吸収を穏やかにする』
このように糖尿病や高コレステロール血漿の治療としての効果があるわけでも、血糖値や中性脂肪の上昇を抑えるわけではありません。

日々のバランスの良い食事へのプラスアルファだということを忘れてはいけません。

そして、確かにトクホの効果は認められていますが、もし同じ成分が含まれている商品があった場合、効果はないのでしょうか。

その答えは「わからない」です。

普段の料理をイメージしていただきたいのですが、全く同じ食材でも多少の調理方法の違いで、味が異なる料理が生まれます。

それと一緒で、同じ原料であっても作り手(メーカー)が異なれば、全く同じ健康食品ではなりません。そのため、各健康食品毎に必要な試験を行い、効果を確かめています。

しかし、トクホの認証を得るために臨床試験を行っているので、その分、開発のための費用がかかっているため、コストがかかります。
メーカーもビジネスでそれら商品を販売しているので、コストを回収するためには、その分値段があがってしまいます。

また、開発時の初期費用がかかるため、ゆえに資本力のある企業しか取れない仕組みとも言われています。

以上のことから、トクホという表示の有無だけが良い商品かを証明しているかは言い難いとも考えられています。

消費者は何を基準に選べば良いのか

それでは、消費者は何を基準に商品を選べばいいのでしょうか。

先ほど、トクホなどの記載の有無だけが良い商品かを証明しているわけではないと述べましたが、実際に効果があったという研究結果があるということは事実です。

そのため、ピンポイントでその効果を期待しているのであれば、特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品、栄養機能食品の表示がある商品を選ぶのも良いかもしれません。

その時に注意することは、パッケージ等をきちんと確認することです。

テレビCMや広告などで有名だからという理由で選ぶのではなく、必要としている効果があるかどうかが重要なので、パッケージ裏に書かれている期待される効果をしっかり確認しましょう。

また、健康食品に詳しく、成分をみたら期待される効果がわかるという方は、特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品、栄養機能食品の表示ではなく、裏の成分から判断してもいいかもしれません。

先ほど述べたように、認証を得るためにコストをかけて開発しているため、同じ成分であっても、その分値段が上がってしまいます。

そのため、成分がわかるという方は大手だから、認証が取れているからという理由以外で選んでみても良いかもしれません。

ただし、その時注意が必要なのは同じ成分でも臨床での研究が行われていないので、同じ効果があるわけではないということです。

まとめ

特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品、栄養機能食品についてまとめてみました。

メーカーがコストをかけ、効果を証明したものであることがわかったかと思います。
しかし、認証の有無が必ずしも良い商品の証明になるわけではありません。

また、それら健康食品はあくまで、食品であり、バランスの取れた食事の補助であることを忘れずに、日々の生活に取り入れてみるといいでしょう。

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